ししゅうびょう
歯周病(歯周炎、歯肉炎)
細菌感染により歯の周囲に炎症が起きる病気
4人の医師がチェック 45回の改訂 最終更新: 2018.11.12

歯周病(歯周炎・歯肉炎)の治療

歯周治療では原因となる歯垢を取り除く治療が基本になります。必要に応じて歯垢(プラーク)が残りやすい歯並びや噛み合わせを改善する治療や、深くなった歯周ポケットを浅くするための治療などが行われます。歯垢を取り除く治療では歯磨きなどのセルフケアと、歯科で行われるケアの両方が重要になります。ここでは歯周病の治療について詳しくみていきます。

1. 歯周病の進行の程度と行われる治療方法

歯周病は歯周ポケットの深さに応じて進行の程度が判断されます(歯周病の進行の程度については「歯周病(歯周炎・歯肉炎)の検査」を参照)。進行の程度や個々のかかっている病気に応じて治療が選択されます。

治療は大きく次の2つに分けられます。

  • 歯周基本治療(歯垢・歯石の除去、歯根面の掃除など)
  • 歯周外科治療(組織付着療法、切除療法など)

歯肉炎、軽度の歯周炎、中等度の歯周炎の治療

歯肉炎、軽度の歯周炎、中等度の歯周炎では歯周基本治療を行います。歯周基本治療で歯周病の進行を止めることが期待でき、場合によっては改善することがあります。治療で症状が安定した場合でも引き続き定期的に歯科に通院することが重要です。

重度の歯周炎の治療

重度の歯周炎では歯周基本治療に加えて歯周外科治療が行われます。外科治療とはいわゆる手術のことです。グラグラしている歯は抜歯を勧められることがあります。できれば歯を残したいと考えるのも理解できますが、重度の歯周炎を起こしている歯が残っていると周囲の歯にも悪影響が出ることがあるため、抜歯を行なった方がいい場合もあります。

以下で、歯周基本治療と歯周外科治療について詳しく説明します。

2. 歯科(歯医者)で行う治療方法:歯周基本治療

歯周基本治療は歯周病の治療で基本となる治療です。歯周病の原因となる歯垢などを取り除くとともに、歯垢がたまりやすくなるような環境を改善し、歯周組織の炎症を抑えます。歯周基本治療には次のようなものが含まれます。

【歯周基本治療】

  • プラークコントロール:歯垢を除去しその後もつかないようにすること
  • スケーリング:歯石や歯垢の除去
  • ルートプレーニング:歯根面の掃除
  • 歯垢がたまりやすくなる原因の治療
  • 抜歯
  • 定期歯科検診
  • その他:歯周レーザー治療

歯肉炎や初期の歯周炎は歯周基本治療のみで改善が見込めます。なかでも歯垢の除去(プラークコントロール)は治療の中心になるもので、歯科医院で行うケアだけでなく、自分で行うケアも重要です。

以下では歯科で行う歯周基本治療について詳しく説明します。

プラークコントロール:歯垢を除去しその後もつかないようにすること

プラークコントロールは歯周病の治療の最も基本となるものです。歯周病の原因である歯垢(プラーク)をしっかりと除去し、その後も継続的なケアを続けて歯垢がつかないようにすることを指します。プラークコントロールは歯周病の治療にも予防にもなります。また、歯垢が残っていると他の歯周病治療を行なったときの効果が低下します。

◎歯垢や歯石を除去する

プラークコントロールでは毎日の正しいセルフケアが最も重要ですが、歯が重なっていたりするとうまく歯ブラシが届かないことがあります。自分では歯垢の除去が不十分になるところは歯科で定期的に除去を行います。

また、歯科では正しい歯磨き方法の指導も行われます。セルフケアの方法については「歯磨き(ブラッシング)などのセルフケア」に詳しく書いてありますので参考にしてください。

歯の見えている部分についた歯垢は、自分で行う歯磨きや歯科でのスケーリング(歯石や歯垢の除去)などで除去します。歯周ポケット(歯と歯茎の溝)はセルフケアでは掃除が難しいため、歯科でのスケーリングやルートプレーニング(歯根面の掃除)で歯石や歯垢の除去が行われます。

◎洗口剤などを使って歯垢や歯石を付きにくくする

歯垢や歯石をしっかりと除去した後は、洗口剤などを使って口の中を歯垢がつきにくい環境に整えます。歯垢の付着を抑えるには低濃度のクロルヘキシジン溶液が効果的とされていますが、その他にもフェノール化合物、ポピヨンヨードなどが用いられます。スケーリングを行なった後の2-4週間使用すると良いとされています。

洗口剤の届きにくい歯周ポケット内には次のようなことが行われます。

  • 歯周ポケット内洗浄
  • 抗菌薬の歯周ポケット内投与

歯周ポケット内の洗浄は薬剤を注射器などに入れて行いますが、この洗浄のみでは効果は不十分と考えられています。そのため歯周ポケット内に抗菌薬の軟膏などを塗ります。

ここまでのプラークコントロールの治療で歯周病が改善しない場合や、持病や服用中の薬などで出血を伴う治療が行えない場合、免疫力が低下している場合などでは抗菌薬の内服が検討されます。

◎抗菌薬を内服する

抗菌薬の使用が検討されるのは次のような場合です。

  • 通常の歯垢除去、歯石の除去などでは十分な効果が得られない難治性(治りにくい)歯周炎
  • 範囲が広く重度の慢性歯周炎
  • 範囲が広く進行の速い歯周炎
  • 糖尿病を持つ人の歯周炎
  • 動脈硬化性疾患を持つ人の中等度〜重症の歯周炎
  • 歯周治療を行うことで菌血症を起こす可能性がある、下記に当てはまる人の歯周炎

通常の歯垢除去や歯石除去などで歯周病が改善しない場合には抗菌薬の内服が検討されます。また、糖尿病の人は歯周病が治りにくく、動脈硬化性疾患の人は歯周病が悪化しやすいことがわかっているため、抗菌薬による治療が検討されます。

歯周病の治療で歯茎を切ったりして出血を伴う治療を行うと、歯周病を起こす細菌が血液中に入り菌血症を起こすことがあります。血液内の細菌は心臓の弁や、体内に入っている人工物(人工弁やシャント血管)に付着して感染を起こすことがあります。その他にも先天性心疾患があると、細菌が脳へ到達して脳膿瘍になる場合があります。そのため、上記の菌血症を起こす可能性がある人には、出血を伴うような治療を避けるために抗菌薬が用いられます。

スケーリング:歯石や歯垢の除去

スケーリングでは歯石と同時に歯垢も除去します。

歯石は歯垢に唾液に含まれるカルシウムが混じって石灰化したものです。歯石は歯垢と違って固く歯にしっかりと付着しています。歯磨きで落とすことは難しいため、歯科で専用の器具や機器を使って除去します。

ルートプレーニング:歯根面の掃除

歯周病では歯根の表面(歯根面)のセメント質や象牙質が削れています。ザラザラとしていると歯垢がつきやすくなります。ルートプレーニングとは歯垢の再付着をふせぐために歯根面を滑らかにする治療です。

歯垢がたまりやすくなる原因の治療

歯垢がたまりやすくなる原因を取り除く治療を行うことで、歯垢を除去した効果が長続きするようになります。歯垢がたまりやすくなる原因には次のようなものがあります。

  • 歯石
  • 不適切な虫歯の修復
  • 虫歯
  • 口呼吸
  • 悪い歯並び

歯石はザラザラとしていて歯垢がつきやすくなるので十分に取り除きます。不適切な虫歯の詰め物や被せ物は歯磨きでの歯垢除去がしにくくなるため治します。また虫歯があった場合も、歯の欠けた所に歯垢がたまりやすいので治します。

また、口呼吸は口が乾燥することで歯垢が残りやすくなるため、口呼吸の原因となる鼻づまりなどの治療が考慮されます。

悪い歯並びなども歯垢がたまりやすくなる原因になりますが、これは歯科基本治療が行われた後の治療になります。

抜歯

重度の歯周炎では歯を支える歯槽骨が壊れて歯がグラグラするようになります。歯が痛くて食べ物が噛めない場合や、治療を行なっても歯垢などを十分に除去できない場合、周りの歯に悪影響がでる場合などでは抜歯が行われます。

詳しい抜歯の基準については「歯周病での抜歯はどのような時にするのか」を参考にしてください。

定期歯科検診

歯周病治療で重要なことは、一度歯周病が改善した後も定期的に受診を続けることです。治療からしばらく時間がたつと適切な歯磨きを怠ってしまったり、歯磨きをしていても歯石が付着したりします。そのまま放置しておくと歯周病が再発することがあります。歯石の除去は一般的に1年に3-4回が勧められます。定期的な受診を行って再発の有無の確認と、家での歯磨きが適切に行えているか確認してもらってください。

その他:歯周レーザー治療

レーザー治療は近年治療で用いられるようになった方法です。レーザー治療では歯周基本治療で行う歯石除去と歯根面のクリーニングをあわせて行うことができます。通常は超音波などで歯石を除去したり歯根面をきれいにしたりしますが、レーザー治療では光分解で行います。超音波などを用いた方法より、セメント質の削りすぎを防いだり、効果が長持ちするのではないかと言われています。

◎レーザー治療の費用について

歯周病のレーザー治療は保険適用の治療ではなく自費診療です(2018年9月現在)。使用するレーザーの種類や回数によって費用が異なります。一般的には15-35万円前後になりますが、幅があるので治療を受ける歯科に問い合わせてみてください。また、医療費は確定申告時に医療費控除の対象となります。所得によって控除額は異なりますので確認してみてください。

3. 歯科(歯医者)で行う手術治療:歯周外科治療

歯周外科治療は歯周病に対する手術治療です。歯周基本治療を行った後にも歯肉が下がっている人や歯周ポケットが深い人に対して行います。基本的には重度の歯周炎の人に行われる治療です。

歯周外科治療が勧められるのは次のような人です。

  • 歯周基本治療を行った後に深い歯周ポケットが残っている人
  • 歯周組織の形の異常により、歯垢の除去がしにくく歯周炎が再発しやすい人
  • 歯周組織の形の異常により、適切な歯の治療や、詰め物をすることができない人

これらに当てはまる人に行われる歯周外科治療について詳しくみていきます。治療は目的によって次の4つに分けられます。

  • 組織付着療法
  • 切除療法
  • 歯周組織再生治療
  • 歯周形成手術

どの治療が選択されるかは、歯槽骨の欠損状態、口の中の衛生状態、歯周ポケットの深さ、処置時の出血のしやすさによって異なります。一つひとつ説明します。

組織付着療法:フラップ手術など

組織付着療法は歯根面や歯周ポケットに溜まった歯周病原細菌(歯周病を起こす細菌)や細菌からでた物質を徹底的に取り除く方法です。

  • 歯周ポケット掻爬術
  • 新付着術
  • フラップ手術
    • フラップキュレッタージ(アクセスフラップ手術)
    • ウィドマン改良フラップ手術

歯周ポケットが浅い時や歯根の形態が複雑ではない時は歯周ポケット掻爬術や、新付着術が行われ、歯周ポケットが深い時や歯根の形が複雑な時はフラップ手術が行われます。

歯周ポケット掻爬術は歯周ポケット内の炎症を起こした部分を削る治療で、フラップ手術より手術時間が短く身体の負担も少ないですが、直接見ながらできないため、病気の部分の除去が不十分になることがあります。

新付着術は歯肉を切開して歯根の表面をスケーリング、ルートプレーニングして縫合します。フラップ手術より身体の負担は少ないですが、歯肉と歯根の付着がうまくいかないこともあります。

フラップ手術はまず、歯肉を切り開いて歯槽骨から歯肉を剥離します。剥離することで、炎症を起こした歯肉や歯周病原細菌に溶かされたセメント質、歯根の歯石を直接見ながら除去することができます。また、歯槽骨の形を整え、歯根面をきれいに磨きます。この方法により歯肉組織が歯根面に付着するのを促して、歯周ポケットを小さくできます。フラップ手術では積極的に骨を切除したり、形を整えたりすることはしません。

それぞれの病状に合わせてどの手術が適しているか選択されます。

切除療法

歯肉などを切開したり切開後に適切な位置で縫合し直すことで、歯周ポケットを小さくしたりなくしたりする方法です。切除療法を行うと、手術後に歯肉退縮が起こるので一時的に知覚過敏になることがあります。

歯周組織再生治療:骨の再生治療

歯周組織再生治療は、壊れた歯周の組織の再生を目的とした治療です。重度の歯周炎で歯肉や歯槽骨がなくなっている人に行われます。まず、歯肉(歯茎)を切開して歯周ポケット内と歯槽骨の清掃を行います。その後、再生をうながす薬を塗布して、再度歯肉を縫合します。再生をうながす薬にはさまざまなものがあり、一人ひとりの状態に合わせて選択されます。一部の大学病院をのぞいて保険診療外で行われているため、費用については歯科に問い合わせてみてください。

歯周形成手術

歯周形成手術は歯周病で破壊されて変形した歯周組織などを手術で改善させる手術です。歯垢除去を行いやすい口の環境にすることで、歯周病の悪化および再発を防止し、口の中の見た目も改善させます。色々な手術方法が含まれ、下がった歯肉(歯茎)対して歯肉を作ったり、歯肉と唇を繋ぐ小帯を切除したりするような手術があります。

4. 歯磨き(ブラッシング)などのセルフケア

歯磨きは歯周病の最大の原因である歯垢を除去する重要な方法です。歯科でいくら歯周病の治療を受けても、セルフケアが十分できていないと病状は改善されません。歯垢は歯に密着していてうがいでは取り除くことはできないため、しっかりとした歯磨きが必要です。ここでは適切な歯磨きの方法や、歯磨き粉の選び方などについて説明します。

奥歯など磨きにくい部分をケアする歯磨きの方法

歯磨きでは歯垢をしっかり落とすことが重要です。歯垢のつきやすいところは次の通りです。

  • 歯と歯の間
  • 歯と歯茎(歯肉)の境目
  • 噛み合わせの面

これらの部分に歯ブラシの毛先がしっかり当たるように磨きます。歯垢はこびりついていて落ちにくいので、歯ブラシを小刻みに動かしながら、1-2歯ずつ20回以上磨くようにします。このとき力を入れすぎないように注意します。

歯と歯茎の境目を磨く時には、歯ブラシを歯茎に45度の角度であてて磨きます。45度にあてると毛先が歯周ポケットに入り込みやすくなるからです。歯茎に炎症がある時は少量の出血を起こすことがありますが、炎症がおさまってくると出血しにくくなります。

その他の歯磨きのポイントは次の通りです。

◎磨く順番を決めておく

磨く順番を決めておくと磨き残しが起きにくくなります。例えば奥歯から前歯、反対側の奥歯を磨いてから裏側にいき、最後に噛み合わせ部を奥歯から手前に磨くなどです。

◎奥歯にもしっかり毛先を届かせる

奥歯は歯垢がたまりやすく磨きにくい部分です。奥歯の背が周りの歯より低いと特に毛先が届きにくくなります。コツは指で唇を横にひっぱって斜めから歯ブラシを入れることです。奥歯の表面、歯間、歯と歯茎の間など磨き残しそうなところを1本ずつ磨きます。

◎奥歯の裏側は縦に磨く

磨きにくい奥歯の裏側は歯に対して直角に歯ブラシを当てて、縦に細く動かすとよいです。歯ブラシの先が歯茎に当たっていることを意識すると効果的です。

◎前歯と犬歯は毛先で1本ずつ

前歯と犬歯は、歯の並びに対して歯ブラシを縦にして上下に動かしながら1本ずつ磨きます。犬歯が八重歯の場合には、となりのへこんでいる歯に毛先が当たりにくいので注意してしっかり磨いてください。

歯ブラシの選び方

歯周病の治療のための歯ブラシの選び方のポイントは次の通りです。

  • 奥歯まで届くもの
  • 毛が柔らかいもの
  • 毛先が細くなったもの

奥歯まで届くようにブラシのヘッドの部分が少し小さいものがお勧めです。毛先が硬いと歯や歯茎が傷つきやすいので、柔らかいものを選びます。また、歯ブラシの毛先が細くなっているものの方が、歯と歯の隙間や歯周ポケットなどの細かいところまで磨きやすいです。

歯ブラシの毛先が開いたら新しいものに交換してください。大抵1ヶ月程度が目安です。

電動歯ブラシは歯磨き時間を短くしたい人は用いてもいいかもしれません。しかし、電動歯ブラシのみでは歯間などまで磨くことは難しいため、手での歯磨きや歯間ブラシやデンタルフロスなどを併用することをお勧めします。

歯ブラシ以外を用いたセルフケア方法:歯間ブラシ・デンタルフロスなど

歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくく歯垢が残りやすい部分です。歯ブラシのみでは不十分なので、歯間ブラシやデンタルフロスを併用して歯垢を除去することをお勧めします。

デンタルフロスには柄付きのタイプと、ケースに入った長い糸のタイプがあります。どちらも効果は変わらないので使いやすい方を使用してください。

長い糸タイプを使うときは、まず15cmくらいの長さにカットします。切ったフロスを両手の中指に巻きつけて、親指と人差し指でピンと張った状態で使用します。デンタルフロスを歯間を通して、左右に動かしながら上下させて歯間を磨きます。勢いよく入れると歯茎を傷つけるので気をつけてください。

少なくとも1日に1回はデンタルフロスを併用した歯磨きをしてください。糸が引っかかるような感じがしたり、ほつれたりする場合には歯と歯の間に虫歯があるか、歯石がついていることがありますので、歯科で相談してください。

歯間に隙間ができるようになった場合には、歯間ブラシも併用してください。歯茎に沿わせるようにして歯と歯の間に歯間ブラシに入れます。そのままブラシを水平にして2-3回往復して磨きます。

サイズはさまざまなので、はじめは歯科で良いサイズを選んでもらうと良いかもしれません。歯と歯の間に抵抗なく入れられ、動かしてもきついと感じないくらいが適切なサイズと考えられます。歯間ブラシが入らない場合にはデンタルフロスでの清掃を行なってください。

うまく使えない場合などは歯科でやり方を聞いてみてください。

歯磨き粉の選び方

歯磨き粉には数多くの種類があります。炎症を抑える成分や殺菌作用がある成分が入っているものも多いですが、効果に大きな違いはありません。最も大事なことはどの歯磨き粉を選ぶかより、磨き残しの少ない歯磨きを行うことです。デンタルフロスなどを併用し、丁寧にしっかりとした歯磨きを行ってください。

マウスウォッシュ(洗口液)やうがい薬(含嗽剤)の必要性

マウスウォッシュやうがい薬のみではプラークの除去はできません。口の中をさっぱりさせたいときなど、ブラッシングをきちんと行ったうえで補助的に使用しても良いかもしれません。

5. 歯周病治療の疑問点

歯周病に効果のある薬や、治療の痛み、抜歯の基準など、歯周病治療で気になる疑問点について説明します。

歯周病に効果がある市販薬はあるのか

歯周病の治療にはっきりとした効果のある市販薬などはありません。薬用の歯磨き粉やマウスウォッシュ、うがい薬などは補助的に利用してもいいかもしれません。ただし、どの歯磨き粉やマウスウォッシュなどを使うかよりも、歯磨きをきちんと行うことが最も重要です。

歯周病の治療に使われる抗生物質はあるか

歯周病の治療中に抗生物質が使われる場合は次の2つです。いずれも内服薬での治療のほか、歯周ポケット内への薬の使用などで使われます。

  • 歯周炎が急に悪化して起こる歯周膿瘍の治療
  • 歯周基本治療との併用

歯周膿瘍は歯周炎の急激な悪化で起こります。応急処置として、抗生物質を内服したり歯周ポケット内に直接抗生物質を使用したりします。その後歯周炎が改善したら歯周基本治療などが行われます。

歯周基本治療のときにも抗生物質が使われることがあります。歯石の除去(スケーリング)や歯根面の清掃(ルートプレーニング)と同時、もしくは終了後に内服薬が使われることがあります。また、歯周ポケットに投与されたりします。歯周基本治療のときに細菌が血液中に入る可能性があり、心臓の弁の病気や人工弁の手術を受けたことがある人は、歯周基本治療の前に抗生物質が使われます。

詳しくは「歯科(歯医者)で行う治療方法:歯周基本治療」を参考にしてください。

歯科での治療後に歯が痛い時はどうすれば良いか

歯周病の治療を受けた後に歯が痛むことがあります。歯周病の治療では歯と歯茎の間についた歯石をとるため歯の根っこ(歯根部)が露出します。歯根部は神経と近いため冷たいものがしみるようになることがあります。

どの程度痛むかは個人差がありますが、しみる症状が強い場合には歯科で薬を塗るなどの治療をすることもあるので相談してみてください。通常は、適切なセルフケアを続けて歯周ポケットが浅くなってくればしみなくなります。

歯周病での抜歯はどのような時にするのか

歯周病が進行すると歯を支える歯槽骨が壊されて歯がグラグラするようになります。「できれば歯を残したい」と思うかもしれませんが、周囲の歯への悪影響などが考えられる場合などには抜歯を行うことがあります。具体的には次のような場合に抜歯が検討されます。

  • 治療を行なっても歯のぐらつきにより痛みが強く、咀嚼(そしゃく)がうまくできない場合
  • 治療で歯垢、歯石、周りに悪影響を与える歯周組織を十分に除去できない場合
  • 歯の一時的な固定ができないほどぐらつきが強い場合
  • 治療中に頻繁に感染を起こして膿瘍を作り、周りの組織にも悪影響がでる場合

抜歯した方が良いと判断された場合には、歯周基本治療の中で抜歯が行われます。抜歯が望ましいと判断された場合でも、噛み合わせに必要だと考えられる時などは、他の治療を終わらせた後に抜歯が行われることもあります。抜歯の判断が難しい場合には、歯周基本治療を行なった後に再度歯と歯茎の状態をみて、抜歯を行うかどうかが決められます。

歯周病でもインプラントは可能か

歯周病でもインプラント治療を行うことができます。歯周病で抜歯した場合、噛み合わせを保ったり、食べ物を噛み砕くときの効率をあげたりする効果などがあります。

しかし、インプラントは通常の歯より感染を起こしやすいため、歯周病を起こす細菌によってインプラント周囲炎などを起こします。インプラント周辺から残っている歯に感染が広がることがあるため、インプラントを行う前には十分な歯周病の治療が必要です。

定期的な歯科検診の頻度はどのくらいか

歯周病の症状が安定した後も、半年に1回程度は受診して歯周病の再発がないか確認してもらう必要があります。きちんと歯が磨けていないと歯石がつくので、歯石の除去は1年に3-4回程度が望ましいと言われています。しかし、歯石のつきやすさは個人差があります。かかりつけの歯科でどの頻度で通院すべきか聞いてみてください。

歯周病の治療費はどのくらいか

歯周病の治療には保険診療で行われるものと保険外診療のものがあります。例えば歯周組織再生治療やレーザー治療は保険外診療です。歯周組織再生治療は1本につき2万円程度かかることが多く、レーザー治療は15-35万円と幅があります。どの程度の治療費になるかは歯周病の進行度によっても異なりますので歯科で相談してみてください。

6. 歯周病の認定医・専門医について

日本歯周病学会では歯周病の認定医や専門医の資格を設けています。認定医は3年以上の研修施設での研修後に認定医試験に合格した、基本的な歯周治療の知識と技術を持った歯科医師です。専門医は5年以上の研修施設での研修もしくは、認定医取得後に2年以上研修施設で研修して、専門医試験に合格した歯科医師です。

認定医や専門医ではなくても歯周病の治療を行うことはできますが、通いやすいところに認定医や専門医がいる場合には受診する際の参考にしても良いかもしれません。日本歯周病学会のホームページで調べることができます。

7. 歯周病の名医はどこにいる

どのような歯科医師を名医と呼ぶかは人によってさまざまです。歯周病治療は数多くの技術を用いて行われることから、歯周病の名医とはさまざまな治療について精通し、適切な治療を提供できる医師のことだと言えるかもしれません。一方、治療は長期間に渡るため医師と患者の人間関係も大切です。出会った医師を「名医」と思えるかどうかは相性にもよるということになります。

認定医や専門医など目に見える客観的な指標のみならず、自分と相性がいいかどうかという点も考慮して治療施設を選ぶと良いかもしれません。

【参考文献】

・「歯周病患者における再生治療のガイドライン2012」(日本歯周病学会/編)
・「歯周病患者における抗菌療法の診療ガイドライン2010」(日本歯周病学会/編)
J. Jpn. Soc. Laser Dent. 21:100-109,2010