らとけのうほう
ラトケのう胞
脳内のトルコ鞍という部位に出来るのう胞(液体成分が貯まって球状に膨らんだ病変)
4人の医師がチェック 58回の改訂 最終更新: 2017.06.15

Beta ラトケのう胞のQ&A

    ラトケ嚢胞の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    本来、出生前の胎内で吸収されるはずのラトケ嚢とよばれる組織が残っていることが原因とされています。ただし症状が出るのは40代、50代が多いです。

    ラトケ嚢胞は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    亡くなった方の剖検による報告では、全体の22%(5人に1人)の頻度で見つかるという報告があります。 一方で、(おそらく何らかの症状があるために)下垂体部分の手術を行った方の2-9%がラトケ嚢胞だったと報告されています。

    ラトケ嚢胞と頭蓋咽頭腫の違いについて教えて下さい。

    両方とも内部に嚢胞(液体が貯まっている袋)を作ります。ラトケ嚢胞はほとんど大きくならず、症状を出すことが稀なため、原則として症状がなければ治療の必要はありません。 一方、頭蓋咽頭腫は腫瘍ですので、大きくなることが多く、手術治療が必要になります。手術自体も技術的に難しい疾患であり、全摘出できない場合には再発することも多いため、放射線治療の追加が必要なこともあります。

    ラトケ嚢胞が発症しやすくなる、またはラトケ嚢胞の人が他に注意すべき病気はありますか?

    ラトケ嚢胞ができやすくなる原因や、大きくなる要因は特に知られていません。

    ラトケ嚢胞は、他人にうつる病気ですか?また、遺伝する病気ですか?

    感染症ではないので、他の人にうつることはありません。また、遺伝するといったこともこれまで確認されていません。

    ラトケ嚢胞は、どんな症状で発症するのですか?

    視神経を圧迫することで、視力が悪くなったり、視野が狭くなったりして見つかることがあります。

    見つかるラトケ嚢胞のほとんどは脳ドックや、頭痛・めまいのための精密検査でたまたま見つかります。

    ラトケ嚢胞の、その他の症状について教えて下さい。

    正常な下垂体を圧迫することで、ホルモンの異常が起こり、疲れやすい、生理が遅れる、来なくなる、妊娠していないのに乳汁が出るなどの症状で見つかることがあります。

    ラトケ嚢胞が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    重症化することは稀と考えられますが、視神経の圧迫が強くなると失明する可能性があると考えられます。

    ラトケ嚢胞は、どのように診断するのですか?

    脳CTやMRIにより診断されます。脳の下垂体と言われる部分に、液体がたまっている袋のように見えます。画像検査では、嚢胞のうすい壁の中身が液体であることがわかります。

    ラトケ嚢胞の、その他の検査について教えて下さい。

    主にトルコ鞍部にできる他の腫瘍と見分けるためですが、ホルモンの検査を行うことがあります。 また視神経を圧迫している可能性がある場合には、眼科で視力や視野を調べます。

    ラトケ嚢胞と診断が紛らわしい病気はありますか?

    この部分にできる腫瘍としては、下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫、転院性脳腫瘍などがあります。

    下垂体腫瘍に嚢胞(みずたまり)ができることはあまりありませんが、中に出血を起こしていた場合は、時期によってはラトケ嚢胞と紛らわしいことがあります。

    頭蓋咽頭腫は内部に嚢胞を作ることがあるため、区別が必要ですが、多くの場合壁の部分に厚みがあるため、見分けられることが多いです。ホルモンの症状や視神経の圧迫がない場合には、経過観察によって壁の厚みが増すかどうかも、診断の手がかりになります。

    ラトケ嚢胞の治療法について教えて下さい。

    まず、治療が必要になることはまれです。 視神経を圧迫して、視力が下がっている場合や、視野が狭くなっている場合、正常化錐体が圧迫されてホルモン異常がある場合には治療を勧めます。

    治療が必要な場合には、通常は鼻の穴から、トルコ鞍という下垂体・ラトケ嚢胞がはまり込んでいる部分の底に穴をあけ、その穴を通じて嚢胞内の液体を吸い取ります。ラトケ嚢胞の中身は液体なので、すぐに取り除くことがあります。 これで完治することが多いですが、なかには再発するものがあります。何度も再発する場合には開頭手術により壁をできるだけ取り除くこともあります。

    ラトケ嚢胞の治療薬の使い分けについて教えて下さい。

    通常は、下垂体腫瘍と同様に鼻経由で手術を行いますが、再発を繰り返す場合には開頭術により嚢胞の壁を取り除きます。 細菌では鼻からでも様々な道具を用いることができるようになっているため、髄液漏などの危険性はやや上がりますが、鼻から嚢胞の壁を取り除くことも行われています。

    ラトケ嚢胞の薬は、生涯飲み続けることになるのですか?

    手術などの結果、分泌されるホルモンが足りなくなることがあると、場合によっては生涯ホルモンを補充する薬が必要になることがあります。

    ラトケ嚢胞では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    手術が必要な場合は、およそ5-8日程度の入院が必要です。

    ラトケ嚢胞は、再発を予防できる病気ですか?

    内部の液体を抜くだけの治療では再発を起こすことがあります。しかし、基本的には再発しないケースが大半です。

    ラトケ嚢胞は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    治療を行った場合、内部の液体を抜くだけでも再発しないことが多いです。再発が見られた場合、嚢胞の壁の全部でなくても、大きく取り除けば再発せずに経過することがほとんどと考えられます。

    ラトケ嚢胞が視力低下の症状で見つかった場合、手術すれば視力は戻りますか?

    視力低下がどの程度長い期間続いていたかによります。多くの場合は改善したり、気付いていなくても視神経の圧迫が取れることで、視野が明るくなったという方がいます。

    ラトケ嚢胞がホルモンの症状で見つかった場合、腫瘍を取れば治りますか?

    元通りにならず、ホルモン剤の内服や点鼻薬が必要な方もいます。

    ラトケ嚢胞だから、もう外来に来なくてよいと言われました。大丈夫でしょうか。

    小さいラトケ嚢胞で、何度かMRIで経過を見ていても大きくならない場合には、定期的に通院する必要はないと思われます。 視野が狭くなってきたり、生理不順・乳汁が出るなどの症状があれば、再診するという形でよいでしょう。

    ラトケ嚢胞だと思うけれど、定期的に経過をみましょうと言われました。なぜですか?

    ラトケ嚢胞と頭蓋咽頭腫など、この部分にできる他の腫瘍との鑑別が難しいことがあるので、何度か経過を見て、大きくならないかどうかを確認するのがよいでしょう。