けいしつえん(だいちょうけいしつえん)
憩室炎(大腸憩室炎)
憩室に感染や虚血による炎症が起きた状態。大腸憩室に起こることが多い
4人の医師がチェック 66回の改訂 最終更新: 2022.06.05

憩室炎の治療について

ほとんどの憩室炎は手術を行わない治療で症状が改善します。食事を中止して腸を休める治療と抗菌薬抗生物質)を使う治療を組み合わせて行うことが多いです。一方、重症の憩室炎には手術が行われることもあります。このページでは憩室炎の治療について知っておきたいさまざまな知識を説明しています。

1. 憩室炎の治療で入院が必要か

急な発熱や腹痛が現れて憩室炎が疑われる人には、憩室炎の診断や重症度の判断をするためにいくつかの検査を受けます。

検査の結果重症と判断された人には、入院を強くすすめられます。具体的には下記の状態の人です。

  • 炎症が腸の外に広がって、お腹の中にが溜まっている人
  • 炎症がお腹全体に広がって、汎発性腹膜炎の状態になっている人
  • 憩室炎の炎症が広がって、腸と他の臓器がつながってしまった人

憩室炎が重症化していくと、炎症が全身にまわって命に関わる可能性があります。手術が必要だったり、長期に渡って食事を中止したりすることもありますので、入院での治療がすすめられます。

上記にあてはまるほど重症ではなくても、高熱や強い腹痛がある人は入院をすすめられることになります。

一方で、痛みや熱の程度が比較的軽い人には、外来での通院治療が行われます。外来で治療を行う際には、症状の経過をみるために比較的頻繁に通院するよう指示されることがあるかもしれません。外来治療では、薬や食事などを自分で管理しなくてはいけません。自己管理が難しく、外来では症状がなかなか治まらない人は、入院での治療に切り替えられることがあります。

炎症の強さによって個人差はありますが、手術を行わない保存的治療では1週間前後の治療期間を想定してください。しかし、上記にあてはまるような重症化した憩室炎の人は、1ヶ月以上の入院期間を要することもあります。

2. 手術を行わない治療(保存的治療)

憩室炎の炎症がそれほど広がらずに重症化していないけれども、腹痛や発熱などの症状が強い人には、手術を行わない保存的治療がすすめられます。

保存的治療は大きく分けて以下の2つです。

  • 腸を休めるための治療
  • 抗菌薬(抗生剤)を使う治療

これに加えて、必要に応じて痛み止めや吐き気止めの薬を使用しながら身体の回復を待ちます。保存的治療について以下で詳しく説明します。

腸を休めるための治療

腸を休めるとは、具体的にいうと食事を中止することです。食事をすると食べ物を消化・吸収するために腸が働かなくてはなりませんが、炎症によってダメージを受けた腸は、うまく機能することができません。また、食べ物を運ぶために腸が動くことがきっかけで、炎症が起きている憩室の壁に穴が開いてしまう可能性も高まります。

憩室炎に限らず、色々な原因で腸炎とよばれる状態になっている人は、まず食事を中止して腸を休めることが効果的です。風邪を引いたら学校や仕事を休んでゆっくり過ごすことが早く治す近道ですが、腸も炎症を起こしたら消化や吸収を一旦休んで安静にさせることで症状が改善していきます。

入院をすることになった人は食事を中止し、点滴で水分を補います。憩室炎は発熱や下痢を起こして身体が水分不足になりやすい状態です。脱水予防のために水分は十分に補われます。

絶食によって栄養が摂れなくなるなるのが心配になると思いますが、およそ1週間以内であれば、炎症が強い時期に高い栄養価を摂るメリットはそれほどないといわれています。ただし、1週間以上にわたり食事の中止が必要となった人は、豊富な栄養成分を投与するために、中心静脈栄養という点滴に切り替えられることがあります。

◎外来での治療期間や絶食後の回復期の食事内容について

入院せずに外来で治療を行うことになった人は、自分で完全に食事を止めることは難しいかもしれません。症状が治まるまでは、水分をこまめに摂ることと、食事を摂るのであればできるだけ消化の良いものを摂るように心がけてください。

入院していて炎症が治まってきた人も、急にこれまで通りの食事が食べられるようになるわけではありません。腸の負担にならないように消化の良い食べ物からはじめて、段階的に普段食べるような食事に近づけていきます。

具体的には、まずは重湯(お粥の上澄み)から始めます。その後水分の多いお粥から徐々に普通のご飯へと戻していきます。おかずはできるだけ食物繊維が少ないものにして、野菜や肉などはしっかり煮込んでやわらかくしたものから食べ始めます。

以下に、消化の良い食べ物の例をいくつか挙げます。

  • 柔らかく炊いたお米やお粥
  • 食パン
  • 柔らかく煮たうどん
  • 白身魚
  • 脂身の少ない肉類(繊維が固くないもの。鶏ささみやヒレ肉など)
  • 豆腐、納豆
  • 食物繊維の少ない野菜(人参、大根、カブ、ほうれん草、白菜、キャベツ、じゃがいもなど)

胃腸に負担をかけないようにするには、できるだけ脂肪が少なく、固い繊維が含まれないような食事を心がけてください。

抗菌薬(抗生剤)を使う治療

保存的治療では、腸を休めたうえで抗菌薬(抗生剤、抗生物質)を用いた治療も併せて行われることが多いです。俗に「散らす」と呼ばれるもので、抗菌薬が感染を抑えることを期待した治療です。

重症化していない憩室炎の治療に関する海外の調査では、抗菌薬は一概に必要とはいえないという報告もありますが、日本では抗菌薬を使った治療は一般的に行われています。憩室炎が重症化している人にも、手術などの治療と併せて抗菌薬の治療が行われます。

抗菌薬の種類にはさまざまなものがあります。憩室炎の原因となる菌は、もともと身体の中に住み着いている腸内細菌であることが多いです。そのため、腸内細菌に多いグラム陰性桿菌や嫌気性菌とよばれる種類の菌を標的とする抗菌薬がよく選ばれます。

また、お腹の中に膿ができていたり、腹膜炎腹水が溜まっていたりする人は、手術や処置(採血や経皮的ドレナージ術など)の時に細菌培養検査が行われることがあります。細菌培養検査の結果から、その患者さんに最も適した抗菌薬に変更されることもあります。

抗菌薬を投与する期間については、はっきりとした根拠のある報告はありませんが、症状や血液検査などの結果をみながら炎症が改善するまで使われます。ほとんどの人は1週間くらいですが、重症の人ではそれよりも長く使われることがあります。

3. 手術での治療

腹膜炎になっていない憩室炎のほとんどは、基本的に手術を行わない保存的治療で様子をみることになります。しかし、以下の状況にある人では、保存的な治療によって一旦憩室炎の症状をおさめたあとに、追加の治療として手術がすすめられることがあります。

  • 少なくとも2回以上憩室炎を繰り返していて、症状が強い人
  • 憩室炎を繰り返すことで腸が狭くなっていて、日常生活で不便がある人
  • 他の臓器と腸が憩室によってつながっている(孔ができている)人

上記の人は、保存的治療で炎症を抑えるだけでは十分に症状が改善されないことが多いです。憩室炎を何度も繰り返すと腸が次第に狭くなっていき、食事のたびにお腹が張りやすなるなど、日常生活を送るのに支障が出る人がいます。お医者さんと患者さんのあいだで十分に話し合ったうえで、必要と判断されれば手術することになります。

また、一度瘻孔ができると自然に穴がふさがるのは難しくなります。緊急度は高くないことも多いですが、重症であることに変わりありません。抗菌薬で炎症をある程度抑えたうえで、根本的な治療としての手術が検討されます。

一方で、緊急手術に踏み切らなくてはならない人もいます。憩室に穴があいてしまい、腸液や便がお腹の中に漏れて汎発性腹膜炎を起こしている人では、その状態が長引くと炎症が全身へ広がっていきます。全身の炎症は命に関わる可能性がありますので、速やかに手術する必要があります。

憩室に穴があいたといってもお腹全体に炎症が広がっているのではなく、憩室のそばに膿ができていて炎症の範囲が限られている(限局的な腹膜炎)人は、手術を受けずに済むことがあります。

膿の大きさが3㎝以下と小さく、症状が比較的軽い人は、まずは抗菌薬の投与で症状が改善するのか様子をみることになります。

膿の大きさが3㎝以上と大きい人は、経皮的膿瘍ドレナージ術を受けることになります。この治療は、お腹に針を刺して溜まった膿を吸い上げる方法です。患者さんの状態などによりドレナージ術ができないと判断された人や、ドレナージしてもなかなか症状が改善しない人には手術を検討されることになります。ドレナージ術の詳細については後の章を参照して下さい。

大腸切除術について

手術では、憩室炎を起こしている憩室を含めた大腸の一部を切除してつなぎ直します。大腸は長さ約1.5メートルの筒状の臓器です。手術で切り取る腸の長さは人によってさまざまで、憩室がある場所や炎症の広がり具合、腸の傷んでいる範囲を考慮して決められます。数cmで済む人もいれば、20cm以上の腸を取り除く人もいます。

憩室のみを切ってつなぐことができればいいのですが、次のような理由でそれは困難です。憩室炎の炎症は憩室だけでなく周囲の腸の壁にも広がっていることがほとんどです。炎症のある腸の壁は浮腫み(むくみ)が強く、縫い合わせてもつながりにくい状態です。憩室だけを切り取ってつなげても穴が塞がる可能性は低いので、憩室だけを取り除く手術が行われることはほとんどありません。

手術の前には、さまざまな精密検査を受けて腸の状態が調べられます。画像検査から腸が傷んでいる範囲を予想して、手術の方法が検討されます。手術では憩室を含めて炎症で傷んだ腸を取り除き、状態のいい腸どうしをつなげるように最善が尽くされます。

(検査についてもっと知りたい人は「憩室炎が疑われた人に行われる検査について」を参照してください。)

お腹の壁に便の出口を造る:人工肛門(ストーマ)について

人工肛門(ストーマ)

人工肛門とは、お腹の壁に穴をあけて造る便の出口のことです。憩室炎から腹膜炎を起こして緊急手術を受けることになった人には、人工肛門が必要になる可能性が少なからずあります。実際に人工肛門を造る必要があるかどうかの最終的な判断は、お医者さんが手術中にお腹の状態を確認してみて決まることが多いです。そこで緊急手術を受けることになったほとんどの人は、人工肛門ができる可能性について、手術の前にお医者さんから説明されることになります。

腹膜炎は炎症が非常に強い状態で、憩室のそばだけでなく広い範囲で腸が著しく傷んでいることが多いです。腸の傷みが強い人や、命の危険が迫っているほど重篤な状態の人にとって、腸どうしをつなぐ手術は合併症の起こるリスクが高いです。そこで傷んだ腸を取り除いたあとに、残った腸どうしをつながずに人工肛門が造られます。

一方で、緊急手術であっても、手術中に腸の状態がそれほど悪くないと判断されたり、全身の状態が比較的落ち着いていたりすれば、人工肛門を造らずに腸をつなぎ合わせることになります。

人工肛門はもともとある肛門のところに作るのではありません。お臍の横のあたりに穴を開けて新たに便の出口を造ります。

前述の大腸切除術の手術で炎症を起こしている腸を切り取ったあと、残った腸同士をつながずに、腸をお腹にあけた穴に繋げて人工肛門を造ります。具体的な手順は次の通りです。

まず、お腹の壁に直径3cmほどのトンネルを作ります。お腹の壁にあけたトンネルを通して腸を持ち上げて、腸の出口をお腹の表面の穴に縫い付けます。お腹の穴に繋げるのは、口から続いている側の腸です。これによって、食べたものがもともとの肛門の方まで流れることなく、人工肛門から便として排出されます。肛門とつながっている側の腸は、一緒にお腹の壁に縫い付けられることもありますし、端を縫い閉じてお腹の中に置いておくこともあります。

なお、緊急手術でなくても人工肛門になる人がいます。繰り返す炎症によって腸の傷みが激しかったり、重い持病を持っていたりするために、腸を切り取ってつなげても上手く腸のつなぎ目が塞がらない可能性が高いと判断された人です。

人工肛門は、腸の状態が良くなるまでの一時的な手段として造ることもあります。一時的な人工肛門の予定で造られた場合には、炎症が落ち着いて数ヶ月経ったあとに、人工肛門を塞いで腸をつなぎ直す手術が行われます。一度作った人工肛門を塞ぐことができるかどうかは患者さんそれぞれの状態によります。かかりつけのお医者さんに自分の状態を確認して相談してみてください。

手術に伴う合併症について

手術では合併症が起こることがあります。合併症とは手術によって引き起こされるさまざまな問題のことです。主な合併症として以下のものがあります。

  • 縫合不全
  • 創感染(創部感染)
  • 腸閉塞
  • 下痢
  • 便秘
  • 発熱

それぞれについて説明します。

◎縫合不全

手術で切り開いた腸は縫い合わせてきれいに閉じるのですが、縫った部分が開いてしまうことがまれにあります。これを縫合不全といいます。炎症によって腸が傷ついていると、縫合不全の起こるリスクは高まります。大腸の縫合不全により、便が腸の外側に漏れ出てしまうと、お腹の中に膿が溜まったり、お腹全体に腹膜炎が起こったりして、深刻な事態につながる恐れがあります。治療をしないと命に関わる可能性がある合併症です。

縫合不全は、手術の後に食事を再開してみて、身体に異常が起こらないかを確認することでおおよそ分かります。食事を始めたことでお腹の痛みや発熱などの症状があらわれた時には、縫合不全を疑って詳しい検査が行われます。手術を受けた患者さんは、縫合不全の可能性がほとんどないと判断されれば退院できることが多いです。 もし縫合不全がわかったらすぐに絶食をして、抗菌薬を使って感染の治療を行います。これらの治療で改善が見込めない場合や症状の強い場合は、一時的に人工肛門を造るなどの再手術が必要になることも多いです。

◎創感染(そうかんせん)

手術後の創(きず)に感染が起きて、腫れたり痛んだりすることです。手術創感染とも言います。命に関わるほどの重症になることは少ないですが、回復を遅らせる要素になります。ときに膿ができて傷口が開いたままになってしまうこともあります。 感染している症状が出た時には傷口を解放してシャワーなどで洗浄して治療します。

腸閉塞(ちょうへいそく)、イレウス

手術でお腹の中を扱った影響で、腸の機能が一時的に麻痺することがあります。また、炎症で周りの組織と腸が段々と癒着(くっつく)していくこともあります。腸閉塞イレウスは腸の中を食物が通過できなくなっている状態です。麻痺や癒着があると起こりやすくなります。 手術を受けた人の多くは手術後に時間の経過とともに自然と腸の動きが回復していきます。しかし腸の動きが回復するのに長く時間がかかったり、腸どうしがくっついたりして腸閉塞イレウスの状態になると、お腹の張り、腹痛、吐き気、嘔吐、便を出しにくいなどの症状が現れます。

腸閉塞を起こした人には、腸の動きを回復させるために緩下剤や腸管蠕動運動促進薬が使われることが多いです。しかし、症状が改善しない人には鼻から細いチューブ(経鼻胃管、イレウス管)を入れて腸に詰まった内容物を排出する治療や、重度の場合は手術が必要になることもあります。

◎下痢や便秘

大腸は食べ物を消化・吸収する最終段階の場所で、消化された食べ物の水分を吸収し便へと形を変えていくところです。また、大腸の中でも肛門に近いところは便を溜めておく役割も担っています。大腸切除術でより広い範囲の大腸を切り取った人ほど腸の機能が落ちてしまい、下痢や便秘などの排便異常を起こす人がいます。

排便異常の症状の強さや期間には個人差がありますが、数ヶ月から数年かけて徐々に身体は慣れていき、便の状態は安定していくことが多いといわれています。

◎発熱

憩室炎の手術後に熱が出ることはしばしばあります。手術後に熱が出たからといって必ずしも緊急事態ではありません。発熱の原因にはさまざまあります。まずはどうして発熱しているのかを調べたうえで、それぞれに合った対策が検討されます。

憩室炎の手術後に起こる発熱の原因となるものは以下が多いです。

発熱の原因 説明
手術熱(サージカルフィーバー) 手術で身体に負担(侵襲)が加わったことが原因で熱が出る
脱水 脱水になると発熱することがある。手術後は腸の機能が落ちてしまうことで、吸収ができなかったり下痢を起こしたりして、気付かないうちに脱水になることがある
縫合不全 縫合不全によって膿が溜まったり腹膜炎が起こったりして熱が出る
創部感染症、その他の部位の感染症 憩室炎の手術によって創部感染症が起こることがある。他にも全身麻酔を受ける影響で尿路感染症肺炎、カテーテル関連血流感染症などが起こることもある
副腎不全 手術の影響で全身に炎症が起こり、炎症をおさえる副腎皮質ホルモンが相対的に足りなくなることがある。この状態を副腎不全といい、発熱を伴うことが多い
血栓症 手術中に長い時間同じ体位でいることや脱水になることで血管内に血栓ができることがある

手術熱は明らかな異常ではなく単なる生体反応です。つまり、手術による大きな侵襲(しんしゅう、傷付けること)が身体にかかると、特に異常がなくても発熱することがあります。しかし、明らかに何日も発熱が続いたり、発熱以外にも症状を伴ったりする場合は異常が起きている可能性が高いので、我慢せずに医療者に相談してください。

4. お腹に溜まった膿に針を刺して吸い上げる治療:経皮的膿瘍ドレナージ術について

憩室炎の炎症が強くなると、憩室の壁に穴が開いてしまうことがあります。憩室に穴があくと、腸の中の消化液や便、ガスなどがお腹の中に漏れてしまいます。しかし穴が小さければ、穴の周りに他の組織が集まって蓋のような役割を果たしてくれるので、漏れる量は少なくて済みます。この場合、炎症は広がらずに狭い範囲に膿が溜まることが多いです。

膿の大きさがおよそ3cm以内におさまっていれば、抗菌薬の投与だけで膿が消えていく可能性があります。しかし、それ以上の大きさになると抗菌薬だけでは改善しない人が多いので、溜まっている膿を物理的に身体の外に出す必要があります。手術をせずに膿を身体の外に出す方法として、経皮的膿瘍ドレナージ術があります。

経皮的膿瘍ドレナージ術はお腹に針を刺して膿を吸い出す方法です。経皮的膿瘍ドレナージ術ができるかどうかは、超音波(エコー)検査やCT検査といった画像検査の結果から判断されます。画像検査で膿の場所を特定し、身体の表面から膿に到達するまで針を安全に刺せるルートが確保できると判断されれば行うことができます。

針を刺す時も、超音波検査やCT検査でリアルタイムに画像を見ながら行われます。身体の表面から膿の中まで針の先端が無事に到達したら、針を伝って細い管を膿の中へ通します。膿は管を通じて身体の外へ吸い上げられてお腹の中がきれいになっていきます。管はしばらく身体の中に置いておきます。身体の中の膿が完全になくなり、膿が溜まっていたスペースも潰れてしまったら管は抜いて治療は終わりです。

治療の経過は個人差があります。ちょうど良い場所に膿を吸い上げるための管を置くことができなかったり、管を置いているのに膿がなかなか小さくならなかったりと治療が上手く進んでいかない人も中にはでてきます。その場合には、医者と相談したうえで手術に踏み切ることもあります。

参考文献:

・大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン 2017
・「ハリソン内科学 第5版」(福井次矢, 黒川 清/日本語版監修) 、MEDISI、2017
・「NEW外科学 改訂第3版」(出月康夫, 古瀬彰, 杉町圭蔵/編集)、南江堂、2012
・眞部紀明、今村祐志、鎌田智有、他 大腸憩室疾患の疫学. 胃と腸 2012; 47:(7): 1053-1062.
・Stollman N, Raskin JB: Diverticular disease of the colon. Lancet 363: 631-639,2004
・Yamauchi N, Shimamoto T, Takahashi Y, et al: Trend and risk factors of diverticulosis in Japan. PloS One 10: e0123688, 2015