しゅようせいすいのうほう
腫瘍性膵のう胞
膵臓にのう胞ができる病気
4人の医師がチェック 76回の改訂 最終更新: 2024.02.19

腫瘍性膵のう胞の人が知っておきたいこと

腫瘍性膵のう胞が見つかっても、すぐに治療の必要はなく経過観察になる人が多いです。様子見で良いとはいえ、膵臓に病気があると言われたら、日常生活での注意点があるかどうか気になるところです。ここでは、腫瘍性膵のう胞がある人が知っておくと良いことについてまとめました。

1. 食事で気をつけることはあるか

腫瘍性膵のう胞と言われたら、どのような食事をすればよいのか迷うかもしれません。

特別な食事制限などは必要なく、のう胞が悪化する食べ物や、逆にのう胞が縮小する食べ物というものも現時点では知られていません。栄養バランスのとれた偏りの少ない食事をとるようにしましょう。

ただし、急性膵炎症状を起こしている患者さんは脂肪分の多い食事を避けたほうが良いといわれています。病状によって異なりますが、1日の脂肪摂取量を20-40g程度に制限することが多いです。詳しくはお医者さんと相談してください。

2. アルコールは飲んでも良いか

腫瘍性膵のう胞があっても禁酒しなくてはいけないわけではありません。節度ある量であれば飲酒を継続しても構いません。ただし、急性膵炎の症状を起こしている患者さんはアルコール摂取によって膵炎症状を悪化させる可能性がありますので、禁酒するほうが良いです。

3. 生活習慣で気をつけることはあるか

飲食以外の日常生活や運動についても特別な制限はありません。激しい運動をしてものう胞に影響が出ることはありませんので、心配しすぎず体調に合わせて適度な運動を行ってください。

4. 経過観察と言われたらいつまで通院しなければいけないのか

腫瘍性膵のう胞と診断されても手術の必要がない人は少なくありません。その場合は外来通院で経過観察を行うことになります。通院の間隔やどのような検査を行うか(血液検査、画像検査)は腫瘍性膵のう胞の種類やサイズ、その他の腫瘍の特徴に応じて決められます。

腫瘍性膵のう胞の中でも経過観察になることが多いIPMNとSCNについて次に説明します。

IPMNの経過観察

IPMNと診断され、膵がんが疑われる特徴が見られなければ、外科的手術は行わずに経過観察が行われます。3-6か月後に再検査を行い、以後はのう胞のサイズに応じて定期的に外来通院を行います。おおむね半年から1年ごとの通院と画像検査(腹部エコー検査CT検査、MRI検査)を行うことが多いです。5年間の経過観察してもIPMNに変化がなければ、通院間隔をさらに延長することがあります。いつまで外来通院を続ければよいかについては、まだ結論が出ていない問題です。病状は一人ひとり異なりますので、お医者さんと相談してください。

SCNの経過観察

SCNの経過観察について決まった方法はありません。基本的には良性腫瘍ですので、1年ごとに画像検査を行いながら経過観察を行う医療機関が多いです。

5. 手術が必要と言われたらどの病院を選ぶか

腫瘍性膵のう胞の手術では、膵頭十二指腸切除術または膵体尾部切除術を行うことが多いです。

膵臓の手術は難易度が高いため、日本肝胆膵外科学会が修練施設および高度技能専門医という制度を設けて患者さんに安全な治療を提供できるような体制を整えています。近くに認定を受けた施設や専門医が在籍する医療機関があるかどうかこちらのページで検索ができますので参考にしてください。