めたのーるちゅうどく
メタノール中毒
アルコールの一種であるメタノールを摂取してしまうことによる中毒。主に眼に障害がでる
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最終更新: 2018.03.02
メタノール中毒の基礎知識
POINT メタノール中毒とは
アルコールの一種であるメタノールを飲む、あるいは吸い込むことによる中毒です。通常のお酒にはエタノールが含まれています。メタノールは燃料や溶剤、医薬品の原料として広く用いられています。メタノールも飲むと酔えるため、お酒の代わりに飲んでしまったり、間違えて飲んでしまうことがあります。また、工場などで急激に、あるいは長い間に渡って吸い込み続けてしまうケースもあります。 メタノール中毒は、中毒を起こした当日は通常の飲酒後と同じような症状が出ます。しかし、翌日から頭痛、めまい、吐き気、腹痛、視力低下、物が二重に見えるなどの異常が出現し始め、摂取量が大量であった場合には心臓や呼吸に重大な問題をきたすこともあります。また、長年に渡って少しずつ中毒を起こした場合には、眼の症状だけが目立つことが多いです。 診断はメタノールの摂取歴を慎重に調べることが重要になりますが、確定診断のために尿中のメタノール濃度を測定することがあります。 治療としては、大量に飲み込んでしまった場合には、飲み込んですぐであれば吐かせたり胃を洗浄したりします。エタノールを摂取することも治療になります。その他、必要に応じて点滴治療などを行います。 メタノール中毒が心配な方や治療したい方は救急科を受診してください。
メタノール中毒について
- メタノールを飲む、あるいは吸い込むことによる中毒
- メタノールもお酒と同様にアルコールの一種
- 燃料や溶剤、医薬品の原料として広く用いられている
- メタノールは体内で有害なホルムアルデヒドから有害な蟻酸(ぎさん)に分解される
- 蟻酸が様々な有害な
症状 を引き起こす
- 急性中毒と慢性中毒がある
- 急性中毒はメタノールを飲む、あるいは大量に吸い込むことで、当日から起こる中毒
- 慢性中毒は長期間に渡ってメタノールを吸い込むなどして数ヶ月-数年単位で起こる中毒
メタノール中毒の症状
- 急性中毒の場合は半日~1日程度の間、酩酊状態がでるだけで他の
症状 がみられないことも多い- 翌日から頭痛、めまい、吐き気などが起こり、物が二重に見えるなど視力の低下や異常がみられる
代謝性アシドーシス (血液が酸性になること)になることもある- 1週間以内に、視神経
萎縮 (いしゅく)と視野狭窄 (きょうさく)などの視力障害が起こり、失明 してしまうこともある - メタノールを多量に摂取した場合は、けいれん、循環障害、呼吸
麻痺 を起こして死に至ることもある - 慢性中毒の場合は、主に視力障害が起こる
メタノール中毒の検査・診断
- メタノールの摂取歴が明らかな場合には検査は不要
- メタノールの摂取があったか不明の場合には、尿中メタノール濃度を調べることがある
- 慢性中毒の場合には、眼の検査をすることである程度メタノール中毒を疑うことができる
メタノール中毒の治療法
- 摂取後1時間以内は飲んだメタノールを吐かせる、胃の洗浄
- エタノールの投与、
透析 - エタノールを投与すると、メタノールの分解が遅れ、蟻酸が出来にくくなる
代謝性アシドーシス に対しては、炭酸水素ナトリウム(メイロン®)の投与