せいそうねんてんしょう(せいさくねんてんしょう)
精巣捻転症(精索捻転症)
精巣そのものではなく、精巣とつながっている血管がねじれる病気。精巣が壊死してしまうことがあるので、発症後数時間以内での緊急手術が必要となる
5人の医師がチェック 38回の改訂 最終更新: 2022.02.09

精巣捻転症(精索捻転症)の治療について

精巣捻転症の治療は手術です。陰嚢を切り開いてねじれを元に戻す手術を行いますが、精巣が壊死してしまっている場合には精巣を摘出する必要があります。ここでは手術の詳しい内容と、治療でよくある質問について説明します。

1. 精巣捻転症の治療について

捻転が起きて精巣に血が通わない状態が続くと精巣が壊死(組織が機能を完全に失った状態)してしまいます。時間がたてば経つほど壊死の可能性は高くなるので、できるだけ迅速に治療を始めることが重要です。発症から6時間以内にねじれを元に戻せば壊死を防げる可能性が高くなります。

精巣捻転症の治療は手術です。陰嚢を切り開いてみて精巣が壊死しているか否かで手術内容が変わってきます。

精巣が壊死していない場合の手術

精巣が壊死していない場合は、ねじれている精索(精巣につながる血管などが入った鞘状の構造物)を元にもどします。皮膚を切らずに手でねじれを戻す用手的整復もありますが、確実性が高いとは言えないので、ほとんどの場合は手術(精巣捻転解除術)でねじれを解除します。また、手術の際には捻転を起こしていない側の精巣も調べ、捻転を起こす可能性がある場合には、ねじれにくくする処置(精巣固定術)を行います。

精巣が壊死している場合の手術

精巣が壊死してしまった場合には、精巣を摘出する手術を行います。また、残った片側の精巣が捻転を起こさないように、精巣固定術を行います。

2. 精巣捻転症の治療でよくある質問について

精巣捻転症の治療に関して知っておくと良い内容を3つ説明します。

手術以外の方法はないのか

精巣捻転症の治療は先に説明したように手術です。手術以外の方法として、陰嚢の皮膚越しに精巣を掴んで回し、ねじれを解除する方法(用手的整復)があります。しかし、用手的整復は手術に比べて確実性が低く、また成功したとしても精巣の固定ができないため再発の懸念が残ります。用手的整復にはこのような問題点があるので、ほとんどの場合、手術が行われます。

治療はどこで受ければいいのか

精巣捻転症の治療は泌尿器科で受けることができます。精巣を救うためには6時間以内に手術を行うことが望ましいとされており、治療は早ければ早いほどよいです。このため、緊急対応ができる施設が整った病院を受診するのが望ましいです。受診前に電話やウェブサイトで確認しておくとよいでしょう。

入院の必要性や期間

手術を行った場合、数日間は傷や全身状態の確認が必要となるので、入院が勧められることが多いです。腹部や胸部の手術に比べて、陰嚢の手術は身体の負担が小さく、抜糸も外来でできるので、入院は数日ですみます。

参考文献

・赤座英之/監, 「標準泌尿器科学」, 医学書院, 2014