せっしょくひふえん
接触皮膚炎(かぶれ)
刺激物やアレルゲンによって引き起こされる皮膚の炎症の総称。いわゆる「かぶれ」のこと
9人の医師がチェック 44回の改訂 最終更新: 2022.03.30

接触皮膚炎(かぶれ)の治療について

接触皮膚炎が起きたら原因物質に触れないようにする、皮膚の保湿するなどの対処法を行います。また、薬物療法としてステロイドの塗り薬・飲み薬や抗ヒスタミン薬を使い、皮膚のかゆみや炎症が長引かないようにします。

1. 接触皮膚炎の対処法

接触皮膚炎の治療では、原因物質に触れないようにすることが何より大事です。また、皮膚に保湿剤を塗ることで原因物質が皮膚に直接接触するのを避けられます。

原因物質に触れない

接触皮膚炎を起こす刺激物やアレルギー物質に触れないようにすることは治療として最も大切です。逆に言えば、原因物質と触れている状態が続いていると、薬物療法をしても十分に軽快しないことがあります。

具体的な対応としては、原因となっているものが金属アクセサリーであれば(ネックレス、時計など)これらを着用しない、シャンプーや化粧品であれば別のものに変える、食器用洗剤などが原因の場合にはゴム手袋しながら使用するなどが挙げられます。

原因物質がはっきりとわからないでも、もし疑わしいものがあれば、そのものに触れないようにしてください。

皮膚の保湿

ワセリンや保湿クリームにより皮膚の保湿を行っておくと、皮膚と原因物質が直接触れるのを防ぎ、皮膚の反応が起こるのを防ぐことができます。赤ちゃんのおむつかぶれに使用する場合には、ベビーワセリンなどの赤ちゃんにも使えるものを選ぶようにしてください。

2. 薬物療法

接触皮膚炎の薬物療法としては以下があります。

  • ステロイドの塗り薬(ステロイド外用薬
  • ステロイドの飲み薬(ステロイド内服薬
  • 抗ヒスタミン薬(アレロック、ザイザルなど)

ステロイドの塗り薬(ステロイド外用薬)

ステロイド薬は皮膚の炎症を抑える作用があり、皮膚の赤み、痒みなどの症状を改善します。接触皮膚炎で使われるステロイドには塗り薬(外用薬)と飲み薬(内服薬)の2種類があります。塗り薬では皮膚に直接作用することで、飲み薬で見られるステロイドの副作用を減らすことができます。

ステロイドの塗り薬は効果の強さに合わせて下記のように5段階に分類されており、症状の強さや皮膚炎が起きた場所に応じて使い分けられています。I群(ストロンゲスト)が最も強く、V群(ウィーク)が最も弱いです。

【ステロイド外用薬の強さ】

ステロイドの塗り薬は内服薬に比べて副作用が少ないですが、全くないというわけではありません。具体的には皮膚の色素消失(白く色が抜ける)や感染症などに注意が必要です。もし、ステロイドの塗り薬を使用中に体調の変化を感じることがあれば、お医者さんに相談するようにしてください。

ステロイドの飲み薬(ステロイド内服薬)

ステロイドの塗り薬でも改善しない重症な接触皮膚炎の場合には、ステロイドの飲み薬を使うことがあります。飲み薬にも皮膚の赤み、痒みなどの症状を改善する効果が期待できます。具体的にはプレドニゾロンという薬を20mg、1週間内服するなどの使われ方をします。ステロイドの飲み薬は症状がおさまれば減量もしくは中止します。これは、ステロイドの飲み薬を続けた時に問題となる以下の副作用を避けるためです。

  • 数日間飲んだ場合に問題となる副作用
    • 眠れなくなる
    • 気分が落ち込む、または高ぶる
    • 血糖が上昇する
    • 血圧が上昇する
    • コレステロールが上昇する
  • 数週間飲んだ場合に問題となる副作用
    • 感染症にかかりやすくなる
    • 体重が増加する
    • 骨がもろくなる
    • 白内障緑内障になる

このように副作用が多い薬ですが、使用期間を短くすることで効果を得ながら副作用を減らすことができます。ステロイドの飲み薬の使用中になんらかの体調変化があった場合にはお医者さんに相談するようにしてください。

抗ヒスタミン薬

接触皮膚炎のかゆみ症状の緩和に抗ヒスタミン薬アレロック®ザイザル®タリオン®など)が使われることがあります。ヒスタミンはかゆみを引き起こす原因物質です。抗ヒスタミン薬はヒスタミンの作用を抑えることで効果を発揮します。副作用として眠気や倦怠感などが出ることがあるので、使用中は車の運転は控えるようにしてください。