しょくちゅうどく
食中毒
飲食物を介して発症する病気の総称。主に細菌やウイルスが原因となって起こる
9人の医師がチェック 20回の改訂 最終更新: 2017.12.06

リステリアによる食中毒の妊婦に対するリスクと対策

リステリア症はリステリアという細菌によって引き起こされる感染症で、食中毒として発生する場合もあります。妊娠中は特にリステリアに感染しやすく、感染すると母体だけでなく胎児に影響が生じる可能性があるので注意が必要です。

母体にリステリアの感染が起こるとお腹の中の赤ちゃんにも感染し、流産早産、死産などの原因となるため注意が必要です。

妊娠中の女性がリステリアに感染すると、急激な発熱や筋肉痛、関節痛、頭痛、背中の痛み、下痢といった症状があらわれることもありますが、一方で何も症状が出ないこともあります。

治療にはペニシリン系抗菌薬を用います。ペニシリン系抗菌薬は妊娠中も用いることができます。

リステリアの感染経路についてはわかっていない点もありますが、食中毒として感染する場合については、食べ物に気を付けることが対策になると考えられます。次に説明します。

リステリア感染症が見つかってから原因を特定するのは難しい場合もあるのですが、以下の食べ物についてはリステリアの感染源となる可能性が考えられ、アメリカの疾病管理予防センター(CDC)からも妊娠中には食べないようにすることが勧められています。

  • 生ハム
  • 生のスモークサーモン(常温保存可とされたものを除く)
  • 肉のパテ
  • 生のスプラウト(アルファルファ、もやしなど)
  • ソフトチーズなどの乳製品(パスチュライズドミルク製のものを除く)

上記の食べ物を冷蔵庫に保管していても、リステリアが繁殖する危険性があります。したがって、CDCはホットドッグなどであれば食べる直前に中心温度が華氏165度(74℃ほど)以上になるまで加熱することを勧めています。また一般的な注意として、いずれも期限内に消費するべきと考えられます。

加えて、汚染された食べ物からほかの食べ物に汚染が広がることを防ぐには、以下の点にも気をつける必要があります。

  • 上記の食物を取り扱ったあとは、手を洗う
  • 上記の食物を切った包丁やまな板を洗わずに他の食材に使用しない
  • 台所で使用しているふきんを清潔にする

リステリアだけでなく、食中毒予防のための一般的な注意としても、妊娠中は特に以上の点を守って感染しないよう努めてください。