ひけっかくせいこうさんきんしょう
非結核性抗酸菌症(NTM感染症)
結核菌以外の抗酸菌による感染症。ほとんどが肺への感染
6人の医師がチェック 126回の改訂 最終更新: 2024.02.22

非結核性抗酸菌(NTM)症の症状について:咳、痰、体重減少など

非結核性抗酸菌症は、非結核性抗酸菌というタイプの菌が肺に住み着いてしまう病気です。全く症状のない人もいれば、しつこい咳や痰に悩まされる人もいます。ここでは非結核性抗酸菌症の症状について説明します。

1. 非結核性抗酸菌症の主な症状

非結核性抗酸菌症はいったん発症すると、残念ながら完治させるのが難しい病気です。完治が期待できるタイプの非結核性抗酸菌症もありますが、頻度としては珍しいものです。そのため、非結核性抗酸菌症による症状がある人では、症状は長引くことが多いです。よく出てくる症状には以下のようなものがあります。

【非結核性抗酸菌症で出やすい症状】

  • 長引く咳
  • 黄色い痰
  • 血混じりの痰
  • 微熱
  • 全身の怠さ
  • 体重の減少 など

これらの症状がよく出ますが、特に自覚がなく健康診断などで発見されることも珍しくありません。また、体重の減少については、病気によって体重が減るという面もありますが、そもそも痩せている人の方が非結核性抗酸菌症にかかりやすいとも考えられています。

病状が進行した人や、病気の勢いが強い人では以下のような症状が出ることもあります。

【非結核性抗酸菌症で出ることのある症状】

  • 高熱
  • 夜間に大量の発汗
  • 喀血(肺から血を吐くこと)
  • 息切れ
  • 呼吸困難 など

いずれの症状も、非結核性抗酸菌症以外でも出てくることがあります。なので、これらの症状で困っている人は、まず胸部X線レントゲン)検査ができる程度の規模の医療機関(内科)を受診してください。咳や痰などの症状が目立つ人は、呼吸器内科を受診すると専門的に診てもらえます。また、非結核性抗酸菌症は呼吸器内科が専門の病気です。

なお、非結核性抗酸菌は子どもの首のリンパ節に感染したり、免疫の機能が著しく低下した人の腸や血液に感染することもまれにあります。肺以外の非結核性抗酸菌症では小児科や感染症科、あるいは感染した臓器を専門とするお医者さんが診てくれることになります。

2. 非結核性抗酸菌症に関連した症状

非結核性抗酸菌症の治療では、やや特殊な抗菌薬を複数かつ年単位で使用することがよくあります。そのため、治療薬の副作用に注意が必要です。副作用は血液検査で分かるものも多いですが、以下のような症状は血液検査などには現れにくいものです。

【非結核性抗酸菌症の治療時に注意すべき自覚症状】

  • 目の見えかたの異常
  • 皮疹
  • 発熱
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 足の痺れ など

お医者さんは、定期的に血液検査や胸部X線(レントゲン)検査などを行って副作用が出てこないか注意して診察しています。しかし、上に挙げたような症状は、検査値の異常が出る前に本人が気付くことも多いものです。これらの症状を自覚した人は、担当のお医者さんに早めに相談するようにしてください。

なお、目の見えかたの異常については、自分で気づきにくいことも多いものです。したがって、定期的な視力検査や視野検査を眼科などで行うこともよくあります。

参考文献

日本結核病学会/編, 非結核性抗酸菌症診療マニュアル, 医学書院, 2015