ひけっかくせいこうさんきんしょう
非結核性抗酸菌症(NTM感染症)
結核菌以外の抗酸菌による感染症。ほとんどが肺への感染
6人の医師がチェック 126回の改訂 最終更新: 2024.02.22

非結核性抗酸菌(NTM)症の検査について:胸部CT検査、喀痰検査など

非結核性抗酸菌症は、非結核性抗酸菌というタイプの菌が肺に住み着いてしまう病気です。胸部CT検査などの画像検査で肺にそれらしい影があること、および痰や肺の中から非結核性抗酸菌が検出されることにより診断されます。ここでは、非結核性抗酸菌症に関する検査について詳しく解説します。

1. 胸部X線(レントゲン)検査

X線検査は簡単に行えるので、肺の病気が疑われる人で、あるいは健康診断などでよく撮影されます。非結核性抗酸菌症では、肺に粒状の影や空洞が出現することが多いです。X線検査で異常が疑われた人は、より精密な検査として胸部CT検査を勧められることが一般的です。

2. 胸部CT検査

CT検査では胸部の輪切りの写真を撮影することで、X線検査よりも精密に肺の様子を観察できます。最も多いタイプの非結核性抗酸菌症の一種:肺マック(MAC)症では、両肺の真ん中の高さの前側(中葉・舌区)に病変が集中することが多いです。他にも菌の種類によって異常が出る場所や影の見え方が異なるので、CT検査ではどのような菌による非結核性抗酸菌症かある程度推測することもできます。

3. 血液検査

血液検査は、非結核性抗酸菌症の診断を確定させるために必須の検査ではありません。一方で、比較的簡単に行える検査なのでよく行われています。血液検査には、隠れている他の病気を探したり、全身の状態をチェックするという意味があります。

◎抗MAC抗体検査(キャピリア®MAC検査)

非結核性抗酸菌症に特徴的な血液検査項目として、「抗MAC抗体検査」があります。MAC症以外の非結核性抗酸菌症でも陽性という結果が出ることはありますが、この検査で陽性になれば少なくとも非結核性抗酸菌症である可能性は高いと考えられています。健康診断など肺の病気が疑われていない人で抗MAC抗体がチェックされることは基本的にありません。X線検査やCT検査で非結核性抗酸菌症が考えられた人に対してのみ、抗MAC抗体検査が行われることが一般的です。

その他にも血液検査は、非結核性抗酸菌症の治療による副作用をチェックする際にも役立ちます。非結核性抗酸菌症の治療では複数の抗菌薬を年単位で使用していくため、様々な副作用を定期的に血液検査でチェックすることが不可欠です。

4. 喀痰検査

CT検査などの画像検査で肺にそれらしい影があること、および痰や肺の中から非結核性抗酸菌が検出されることにより非結核性抗酸菌症は診断されます。痰の中に含まれる菌を調べて、非結核性抗酸菌が存在するかどうか確認するのが喀痰(かくたん)検査です。

非結核性抗酸菌は、土壌中や水回りなど生活環境中にも存在する菌です。したがって痰などから検出された非結核性抗酸菌が本当に悪さをしている菌か、環境中のものが偶然混じっただけなのかを十分に確認する必要があります。そのため、痰から菌が検出されてもすぐには確定の診断とならず、2回以上繰り返して痰の検査をされることが一般的です。

痰に対する検査内容には次のようなものがあります。

【喀痰検査の内容】

  • 塗抹検査
  • 培養検査
  • 薬剤感受性検査
  • PCR検査 など

以下にそれぞれの内容について説明していきます。

◎塗抹(とまつ)検査

塗抹検査では、採取した痰を染色して顕微鏡でチェックします。非結核性抗酸菌が痰の中に存在しそうかどうかはこの検査で分かりますが、どのようなタイプの非結核性抗酸菌なのかは判断が難しいです。また、この検査では結核菌と非結核性抗酸菌が似たように見えるので、結核菌との区別がつきにくい点も問題となります。さらに、菌の量が少ないと実際には痰の中に非結核性抗酸菌が混じっていたとしても観察できないことがあります。

◎培養検査、薬剤感受性検査

培養検査は痰の中に含まれる非結核性抗酸菌を、数週間から数ヶ月かけて増殖させる検査です。これによって、塗抹検査では検出できない少量の菌量でも菌を検出できるようになります。また、菌量が多くなることで、どのような菌種なのかを詳細に調べることができるようになります。育てた菌にどのような抗菌薬が効きやすいのかをチェックする「薬剤感受性検査」が行われることもあります。

◎PCR検査

PCR検査では菌の遺伝子を増幅させ、痰の中にどのような菌がいるか調べます。培養検査は大事な検査であるためよく行われますが、時間がかかるのが難点です。そこで、採取した痰に対してPCR検査を行うことで、数日ほどで結核菌や非結核性抗酸菌の存在を確認することができます。ただし、PCR検査では珍しいタイプの菌を検出したり、抗菌薬の効きやすさを判断することはできません。

5. 気管支鏡検査

気管支鏡検査は「肺カメラ」とも呼ばれます。肺カメラでは基本的には口からカメラを入れて、空気の通り道である気管・気管支のほうへとカメラを進めます。そこで、菌がいると想定される部位に水を掛け、菌をその水ごと回収してきます。

気管支鏡検査を受ければ、痰が出にくくて喀痰検査ができない人でも、喀痰検査と同様の検査ができます。また、気管支鏡検査では環境中からの菌の混入は起こりにくいと考えられます。そのため、気管支鏡検査で検出された非結核性抗酸菌は、病気の真の原因であると1回の検査で判断できます。ただし、珍しいタイプの菌や、環境中によくいるタイプの菌が検出された人では、1回の検査で診断が定まらないこともあります。

参考文献

日本結核病学会/編, 非結核性抗酸菌症診療マニュアル, 医学書院, 2015