ざこつしんけいつう
坐骨神経痛
坐骨神経が圧迫されることで、足の痛みやしびれが生じる状態の総称
13人の医師がチェック 117回の改訂 最終更新: 2018.02.12

坐骨神経痛(座骨神経痛)によるしびれや痛みに有効な薬は?リリカ、ロキソニン、ボルタレン、アセトアミノフェン、漢方薬など

坐骨神経痛は、腰から足にかけてのびている「坐骨神経」が圧迫・刺激されてあらわれる痛みやしびれなどの症状です。

腰痛に引き続いてあらわれることが多く、臀部(お尻)や太もも、すね、足先などに症状があらわれます。

ここでは坐骨神経痛の治療に使われる薬について解説します。

 

1. プレガバリン(商品名:リリカ®)

 

坐骨神経痛の治療では、理学療法神経ブロック療法などと並んで、薬による治療(薬物療法)が行われます。

痛みに対してはいわゆる痛み止め(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬)が主に使われています。

しかし、しびれや発作的にあらわれる鋭い痛みなどの神経性の痛みには「神経障害性疼痛治療薬」という種類の薬がより有効であるとされています。

 

神経障害性疼痛治療薬とはその名からわかるように神経の痛みの改善が期待できる薬です。

プレガバリン(商品名:リリカ®)はその代表的な薬で、腰痛に関わる病気以外にも糖尿病性神経障害帯状疱疹後疼痛、など神経性の痛みやしびれを引き起こす病気に対して有効とされています。

プレガバリンはいわゆる痛み止めであるNSAIDsなどとは異なる仕組みで効果をあらわします。(詳しくは「リリカの効果と副作用」で解説していますので合わせてご覧下さい。)

痛みを伝える体内の神経伝達物質が過剰に出されている状態になると、神経の痛みは引き起こされると考えられています。プレガバリンはこの神経伝達物質の過剰放出を抑えることで痛みやしびれなどを改善する作用をあらわします。

プレガバリンは「神経に作用する薬」のため、注意すべき副作用には眠気やめまい、ふらつきなどがあり、特に高齢者へ使う場合には転倒や骨折などに注意が必要です。

これらの副作用を十分考慮して、症状・年齢・体質などに合わせた適切な量で薬が使われれば問題が生じないことが多いため、坐骨神経痛以外でも多くの疾患・症状に対して有用な薬になっています。

 

2. 血流を改善することで痛みやしびれを改善するプロスタグランジンE1製剤(PGE1製剤)

 

座骨神経痛の原因の一つである腰部脊柱管狭窄症は、腰の脊柱管という部分が狭くなることによって血管や神経が圧迫され、腰の痛みだけでなく足の痛みやしびれなどもがあらわれます。

また、普段はなんでもないが歩き出すと足がしびれて歩きにくくなるが、前かがみで休むとまた歩けるようになるといった間欠跛行も代表的な症状です。

 

プロスタグランジンE1製剤(PGE1製剤)は悪くなった血液の流れを改善することで腰部脊柱管狭窄症の症状改善が期待できる薬です。

 

プロスタグランジンは体内で様々な生体反応に関わっている伝達物質です。その中の一つであるプロスタグランジンE1(PGE1)は血管を広げる作用や血小板凝集(血液が固まりやすくなる)の改善し血液の流れを改善する作用などをあらわします。

このPGE1を元に高い有効性と安全性を持つ薬として造られたのが、リマプロストアルファデクス(商品名:オパルモン®、プロレナール®など)です。

この薬はバージャー(Buerger病)の名前でも呼ばれる閉塞性血栓性血管炎に伴う潰瘍や痛み・冷感などの改善で使われていました。

その後、腰部脊柱管狭窄症への有効性も確認されました。実際に後天性腰部脊柱管狭窄症における間欠跛行に伴う足の痛みやしびれの解消や歩行能力の改善(間欠跛行における歩く距離を改善)する効果が確認されています。

 

副作用として、下痢や吐き気などの消化器症状、血流改善によるほてりなどが表れる場合もあります。また非常に稀ですが、血小板凝集が抑えられることによる出血などが起こる可能性もあり注意は必要です。

 

3. NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の飲み薬や坐薬について

 

一般的に「痛み止め」と言われている薬の多くはこのNSAIDsという薬の種類に含まれます。

体内で痛みや炎症、発熱などを引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の働きを抑えることで、鎮痛や抗炎症効果などをあらわします。

主な薬剤にロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン®など)やジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン®、ナボール®など)があります。

飲み薬だけでなく、次で解説している貼り薬(湿布薬など)や塗り薬の成分としても使われていて、処方薬の他、市販薬(OTC医薬品)としても多くの製剤が存在します。

 

有用性が高く人の健康維持に欠かせない薬の一つですが、飲み薬や坐薬の主な副作用として腹痛や吐き気などの胃腸症状があり注意が必要です。

注意すべき副作用についてはNSAIDsの代表的な薬であるロキソプロフェンナトリウムを例にしたコラムで詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。)

 

NSAIDsの中には一般的に胃腸症状が少ないとされているCOX2選択的阻害薬という種類の薬としてセレコキシブ(商品名:セレコックス®)なども開発され治療の選択肢が広がってきています。

 

4. 痛み止めの貼り薬(湿布薬など)や塗り薬について

 

痛み止めの外用薬(貼り薬や塗り薬など)の多くは、先ほど解説したNSAIDsが主成分になります。

貼り薬や塗り薬は使う場所にほぼ限定して効果があらわれるようになっているため、飲み薬や坐薬のような胃腸症状などの全身作用は起こりにくい半面、患部のかぶれなどの皮膚症状には注意が必要です。

処方薬としては、ケトプロフェンという皮膚からの吸収性が高いNSAIDsを成分にする製剤(モーラス®など)や飲み薬でも使われているロキソプロフェンナトリウムを成分にした製剤が貼り薬や塗り薬などの外用薬として使われています。

また、市販薬でもインドメタシンやフェルビナクなど処方薬としても使われているNSAIDsを成分とする外用製剤が発売されていて、セルフメディケーション(自分自身で健康の維持・増進,病気の予防・治療にあたること)する際に有用です。

 

5. アセトアミノフェン

 

NSAIDsとは少し異なる仕組みで痛みや発熱などを抑える薬です。

(NSAIDsとアセトアミノフェンの違いに関しては、「「ロキソニン」と「カロナール」は何が違うの?解熱鎮痛剤の特徴について解説 」でも詳しく解説しています)

痛みを抑える効果は一般的なNSAIDsに比べるとやや劣りますが、比較的高い安全性があり子どもから高齢者まで幅広い年齢で使えるのがメリットの1つです。

「医師の診断の下で使用に対して有益性が危険性を上回る場合」などの条件はつきますが、妊婦でも使用可能な薬になっています。

 

また、アセトアミノフェンは比較的幅広い量で調節が可能な薬であり、多くのNSAIDsで注意すべき胃痛などの胃腸症状(消化器症状)があらわれにくいのも特徴の一つです。

 

アセトアミノフェンは多くの製剤の解熱鎮痛成分となっていて、PL配合顆粒などの総合感冒薬などの構成成分としても使われています。

 

またNSAIDsと同様に市販薬の成分としてもよく使われていて、タイレノール®Aなど多くの製剤が発売されています。コマーシャルなどで腰痛や神経痛に早く効くと謳われているラックル®速溶錠もアセトアミノフェン製剤です。

 

アセトアミノフェンは確かに高い安全性を持つ薬ですが、副作用が全くないわけではなく、特に比較的長い期間に渡り服用を継続した場合の肝機能障害には注意が必要とされています。

一般的に坐骨神経痛や腰痛などで使われるアセトアミノフェンの量ではこの副作用が起こることは非常に稀とされていますが、肝炎などの肝疾患を持病で持つ人や肝機能の低下を健康診断などで指摘されたことがある人などは特に注意が必要になります。

 

6. 坐骨神経痛に効く漢方薬とは?

 

加齢に伴う腰痛や坐骨神経痛に漢方薬が効果を発揮する場合があります。

特に高齢であったり、冷え性であったり、元々胃腸が弱い場合などには漢方薬が有用とされています。

以下に簡単に説明していきます。

 

  • 八味地黄丸(ハチミジオウガン)

特に高齢者で腰や下肢の脱力感などがある場合

  • 牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)

特に高齢者で脱力感に加えしびれが強い場合

  • 桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)

関節痛や神経痛があり胃腸が弱い場合

  • 疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)

疲労がたまっているような状態で夜間や冷えによって痛みが増すような場合

  • 五積散(ゴシャクサン)

痛みに加え上半身ののぼせや下半身の冷えがあるような場合

  • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)

四肢の強い冷えを伴うような場合

  • 芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)

急な筋肉の痙攣を伴うような痛みのある場合

 

漢方薬は一般的に安全性が高い薬ですが、生薬成分が体質に合わない場合や生薬成分を過剰に摂取した場合には副作用があらわれることもあります。

特に甘草(カンゾウ)は多くの漢方薬に含まれる生薬であり、甘草を含む複数の漢方薬を同時に使う場合や、甘草の成分であるグリチルリチン酸製剤(商品名:グリチロン®など)を併用する場合などでは、偽アルドステロン症(偽性アルドステロン症)などがあらわれる可能性もあり注意が必要です。

 

7. その他の治療薬

 

その他の薬を坐骨神経痛に使う場合があります。

神経の修復を助けるビタミンB12(商品名:メチコバール®など)、筋肉の張りをほぐすことで痛みなどを和らげる筋弛緩薬や抗不安薬、神経に対する作用により痛みを和らげる効果が期待できる抗うつ薬などが坐骨神経痛の痛みやしびれを和らげる目的で使われています。

 

8. 栄養補助剤(サプリメント)

よくコマーシャルなどで「サプリメントが坐骨神経痛に効く」といったフレーズを耳にすることがあります。

実際にコンドロイチンやグルコサミンなどで痛みが楽になったという話は聞いたことはありますが、これらの摂取により例えば腰部脊柱管狭窄症が治療できるかと言えばそれは違います。

あくまでサプリメントは食品であり、不足している栄養素などを補うことでなんらかの症状が和らぐ可能性はありますが、病気自体を治療するものではありません。

脊柱管狭窄症やヘルニアなどが原因である場合、そのままにしておくと更に症状が悪化し日常生活に支障が出ることも考えられます。

市販の薬や補助食品でも改善しないような痛みやしびれに関しては、病院やクリニックで早めに受診して適切な検査と治療を受けることが大切です。

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