ざこつしんけいつう
坐骨神経痛
坐骨神経が圧迫されることで、脚の痛みやしびれが生じる状態の総称
13人の医師がチェック 178回の改訂 最終更新: 2023.02.15

坐骨神経痛の治療:薬物療法、手術療法、ブロック注射、ストレッチなど

坐骨神経痛の治療は、薬物療法、ブロック注射、手術療法、ストレッチや体操などの理学療法の4つに大きく分けられます。まずは手術以外の治療法で、痛みやしびれの緩和を目指すことが多いです。ここではそれぞれの治療について説明します。

1. 坐骨神経痛の治療方針

坐骨神経痛の症状は進行する場合も多く、痛みやしびれが強くなると日常生活に影響が出ます。症状の軽いうちは治療しないことも多いですが、症状がひどくなってきた場合は治療が必要です。

坐骨神経痛の治療は、坐骨神経を圧迫している原因を取り除く治療と、症状を抑えるための治療の2つに大きく分けられます。

原因を取り除く治療は、坐骨神経痛のもととなっている病気自体の治療です。例えば、腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症では手術が必要になります。おしりの筋肉が硬くなる梨状筋症候群では、筋肉の硬さを和らげるためのストレッチなどが行われます。

症状を抑える対症療法としては、痛み止めを使った薬物療法やブロック注射、ストレッチなどの理学療法があります。

【坐骨神経痛の主な治療法】

  • 薬物療法
  • ブロック注射
  • 手術療法
  • 理学療法:ストレッチ、体操、運動など

それぞれどのような治療なのか簡単に解説します。

2. 薬物療法

薬を使った治療では、リリカ®などのプレガバリン、ロキソニン®やセレコックス®などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で痛みを緩和します。症状によっては漢方が処方されることもあります。日常生活に支障が出ない程度の痛みであれば、これらの薬を使いながら様子をみます。

【坐骨神経痛で使われる主な薬】

  • プレガバリン
    • リリカなど
    • 神経が損傷することにより生じる痛みを緩和する
  • プロスタグランジンE1製剤(PGE1製剤)
    • オパルモン、プロレナールなど
    • 血流を改善することで痛みやしびれを改善する
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
    • ロキソニンやセレコックスなど
    • プロスタグランジンの生成を抑えることで炎症や痛みなどを抑える
    • 飲み薬の他に貼り薬も使われる
  • アセトアミノフェン
    • カロナールなど
    • 一般的なNSAIDsに比べると鎮痛効果はやや劣るが、比較的安全性が高く、子どもから高齢者まで幅広い年齢で使える
  • 漢方薬
    • 八味地黄丸、牛車腎気丸、桂枝加朮附湯、疎経活血湯など
    • 加齢に伴う腰痛や坐骨神経痛に漢方薬が効果を発揮する場合がある

それぞれの薬についてさらに詳しく知りたい人は「坐骨神経痛への薬の効果とは?しびれに効く薬、湿布、漢方などについて解説」をご覧ください。

3. ブロック注射

ブロック注射とは、痛みを感じている神経の周辺に局所麻酔薬や抗炎症薬を注射し、神経の情報伝達を抑えることで痛みやしびれなどの症状を緩和する方法です。

病院だけでなく、ペインクリニックなどの専門施設でも行うことができます。

坐骨神経痛に対する主なブロック注射は以下の方法です。

  • 硬膜外ブロック
  • 神経根ブロック

硬膜外ブロックは、脊髄の外側を覆う空間に局所麻酔薬を注入する方法です。

一方、神経根ブロックはしびれや痛みの原因がある程度判明している場合にピンポイントで注入する方法です。局所麻酔薬や抗炎症薬を注入します。神経根ブロックの場合は、安全性を確保するためにレントゲンで腰の部分の状態を確認しながら行います。

4. 手術療法

坐骨神経痛の手術では、原因となっている腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症の手術を行うことになります。

特に手術が勧められるのは、以下に当てはまる人です。

  • 薬を使った治療や神経ブロックなどの保存療法でも良くならない
  • 3か月以上坐骨神経痛が持続している
  • 筋力の低下が進んでいる
  • 坐骨神経痛の原因となるものが画像上で確認できる

ただし、手術をすれば必ず痛みやしびれが改善するかというと、そういうわけではありません。したがって、症状の強くない人では手術を受けるメリットが低く、保存療法を選択することがほとんどです。

一方、歩くこともままならず転ぶ危険性が高かったり、このままでは寝たきりになってしまうといった場合に手術を行うことがあります。

坐骨神経痛の手術は、その原因となる病気(腰椎椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症、変形性脊椎症など)や筋肉の状態を改善する目的で行われます。それぞれの代表的な手術法について以下に詳しく解説していきます。

腰椎椎間板ヘルニアに対する手術法

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは坐骨神経痛を引き起こす代表的な病気です。

背骨と背骨の間にあってクッション材の役割をもつ椎間板の一部分が突出してしまい、神経を圧迫して症状があらわれます。

腰椎椎間板ヘルニアの手術では、神経を圧迫しているヘルニア部分を切除する方法が行われます。

脊柱管狭窄症に対する手術法

腰部脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、脊髄の通り道が狭くなることで神経が圧迫され、坐骨神経痛を含む神経症状を引き起こす状態です。

手術では、神経の圧迫を改善する除圧術を行います。脊髄の周囲の骨を部分的に切除して、狭くなっている通り道を広げる方法です。

除圧術以外でも、不安定な背骨の状態を改善する固定術などが行われることもあります。

しかし、坐骨神経痛を引き起こしている場合に最も選択されているのは、保存療法(手術をしないで様子を見る方法)です。

手術は、何か重大な原因(例えば、がんや骨のひどい変形)が背景にあったり、しびれや痛みが進行しているといった場合に行われます。

梨状筋解離術

坐骨神経の通り道には梨状筋というお尻の筋肉があります。この梨状筋が硬くなると、坐骨神経痛が起こると言われています。

そこで、硬くなった梨状筋を切除して解離することで、坐骨神経への影響を解除するのが梨状筋解離術です。

これらが坐骨神経痛に対する代表的な手術法になります。

しかし、これらの手術が本当に効果があるものか議論の余地が残されています。坐骨神経痛に対して手術を行った人と手術をしなかった人とで比較したところ、手術後しばらくは手術群で効果が見られたものの、13年という長い期間では差がなかったといったような報告もあります。

5. 理学療法:ストレッチ、体操、運動

腰のストレッチ

坐骨神経痛の治療法の代表的なものの1つにストレッチがあります。ストレッチは、筋肉を伸ばしたり身体を動かしながら筋肉の状態を整えていくことです。坐骨神経痛の治療では、筋肉を和らげることを目的にストレッチや体操、運動を行います。

また、坐骨神経痛に限らずさまざまな痛みに対して、運動を行うことによる改善効果が報告されています。精神状態が悪いと痛みを感じやすいことが知られており、運動のリフレッシュ効果が痛みを感じにくくすると考えられます。

運動の種類としては、ウォーキング、ヨガ、ピラティスなど様々なものがあります。これらの方法は自宅など病院やクリニックではない場所でも行うことができます。

ただし、坐骨神経痛の症状がひどい場合に無理に運動をすると、かえって悪化させたり、しびれや痛みが原因で転んだりする可能性もあるため、専門家の指導を受けてから実施するようにしてください。

坐骨神経痛に対する詳しいストレッチ方法に関しては、「坐骨神経痛に効くストレッチ方法とは?」をご覧ください。