食道裂孔ヘルニアがある人が日常生活で気をつけるとよいこと:食事、肥満解消、姿勢など
食道裂孔ヘルニアがある人では
1. 食事の注意点
食事の工夫で確実に胃食道逆流症を予防できたというデータはありません。しかし、胃食道逆流症の治療の一環として勧められている食事の注意点が、予防にもつながると考えられます。参考までに、可能な範囲で取り組んでみてください。
大食いを避ける
食べ過ぎた翌日に胸やけを感じた経験がある人もいるかと思います。食べる量が多すぎると胃の中の圧力が上がったり、消化吸収が間に合わず胃の中に長い時間留まる食べ物が増えたりして、胃酸逆流の一因になると考えられます。適度な食事量にするよう心がけてください。
脂っこい食事を避ける
脂質の多い食事は胃と食道の接合部分の締まりを低下させ、胃酸逆流を増やすと言われています。また、消化吸収が遅れて胃のなかに食物が溜まりやすくなります。特に胃食道逆流症の
寝る直前の食事を避ける
食べてすぐ横になると胃酸の逆流量が増えると言われています。食事のあとはできるだけ身体を起こした姿勢を維持するように心がけてください。理想的には食事から就寝まで3時間程度あけると良いですが、あくまで目安ですので可能な範囲で気をつけてみてください。
2. 日常生活の注意点
日常生活の注意点についても胃食道逆流症の予防効果をはっきりと示すデータは今のところありませんが、逆流を起こりにくくする下記の習慣を取り入れると、予防に期待ができると考えられます。
肥満解消に努める
肥満の人ではおなかの中の圧力が上がって胃が胸側に押し上げられ、胃酸が逆流しやすくなります。胃食道逆流症の症状がある人では減量することで症状の改善につながるという報告もありますので、可能な範囲で体重を減らすことを心がけてください。
コルセットをつける時間を短くする
腰痛などの治療でコルセットを装着することがあるかもしれません。おなかにコルセットを巻くとおなかが膨らみにくくなり、おなかの中の圧力上昇につながります。その結果、胃を胸側に押し上げる力が強くなり、胃酸の逆流が増えると考えられます。コルセットは治療に必要なものですので無理に外す必要はありませんが、つけなくても良いタイミングではコルセットを外したほうが胃食道逆流症が起こりにくくなります。
前かがみの姿勢を避ける
前かがみの姿勢をとるとおなかの圧力が上がり胃酸の逆流につながります。日常生活の中でこの姿勢をまったくとらないのは難しいかもしれませんが、例えば床掃除の時は屈まずに使えるワイパーを利用するなど、可能な範囲で工夫することが望ましいです。
重いものはなるべく持ち上げない
重いものを持ち上げるときには息を止めておなかに力を入れる、いわゆる「いきむ」状態になります。いきむとおなかの圧力が上昇して胃酸逆流が起こりやすくなります。完全に避けるのは難しいと思いますが、できるだけ重いものを持ち上げる機会を減らすようにしてみてください。
寝るときは頭を少し高くする
就寝中の胃酸逆流を予防するために、頭を少し高くした状態で眠ることが有効であるとの報告があります。この少し頭を高くした姿勢をセミファーラー位(Semi-Fowler position)といい、ベッドの頭側を持ち上げたり枕を増やしたりしてこの姿勢をとります。頭が胃よりも高い位置にあれば、重力に助けられて胃から食道への逆流を減らすことができます。
3. 食道裂孔ヘルニアで通院は必要か?
食道裂孔ヘルニアがあっても無症状であれば医療機関に通院する必要はありません。
食道裂孔ヘルニアのために胃食道逆流症が起こっているときには