大動脈瘤の治療について:手術やカテーテル治療(ステントグラフト挿入術)の適応やその内容について
大動脈瘤が大きいほど破裂のリスクが高いことがわかっているので、瘤が大きい場合には手術や
1. 大動脈瘤の治療とその選び方
大動脈瘤が小さければすぐに手術はせず、「大きくしないための治療」をしながら様子を見ます。一方、大きくて破裂の危険性が高い大動脈瘤では、「大きくしないための治療」をしながら「破裂予防のための手術やカテーテル治療」が検討されます。手術やカテーテル治療の必要性は大動脈瘤の最大短径を目安に判断されます。
胸部大動脈瘤であれば、最大短径が男性5.5mc・女性5cm未満、腹部大動脈瘤であれば5.5cm未満であれば、
2. 大動脈瘤を大きくしないための治療
大動脈瘤の形成や拡張には
【動脈硬化の危険因子】
- 生活習慣病
- 生活習慣に関連したもの
- 肥満
- 喫煙
生活習慣病の治療についてはそれぞれのリンク先を参考にしてください。なお、大動脈瘤がある人の血圧は正常範囲が通常より厳しく、
3. 手術・カテーテル治療:破裂の危険性が高い人への治療
大動脈瘤が破裂する危険性が高い人に対しては手術またはカテーテル治療が検討されます。 手術では大動脈瘤を切除して、その部分を人工血管に置き換えます(人工血管置換術)。一方、カテーテル治療では細い管を血管に挿入して、人工血管を管越しに大動脈瘤がある部位に送り込んで留置します。人工血管を留置することによって大動脈瘤に血液が流れ込まなくなり、破裂を予防することができます。
手術:人工血管置換術
破裂の危険性が高い大動脈瘤には人工血管置換術という手術が検討されます。
人工血管置換術は、大動脈瘤を切り取り、その部分を人工血管に置き換える方法です。胸やお腹を切り開く必要があります。
また、胸部大動脈瘤に対して人工血管置換術を行うには、心臓の動きを止めなければなりません。その際には、手術中に心臓の代わりとして、
カテーテル治療:ステントグラフト挿入術
医療行為に用いられる細い管をカテーテルと言います。カテーテル治療では手術と違って胸やお腹の皮膚を大きく切る必要はありません。
足の付け根や腕の皮膚を小さく切って、血管にカテーテルを挿入します。管状のカテーテルにはガイドワイヤー(細い針金のようなもの)や、ステントグラフトが挿入できます。カテーテルを通じて、ガイドワイヤーの先端を大動脈瘤の近くに導きます。ガイドワイヤーを使って、ステントグラフトを大動脈瘤に運び、内側からたたまれたステントグラフトをゆっくり広げます。大動脈瘤が内側からカバーされているのを確認して治療が終了となります。
参考文献
「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン 2020年改訂版」(2020.10.31閲覧)