[医師監修・作成]大動脈瘤の症状について | MEDLEY(メドレー)
だいどうみゃくりゅう
大動脈瘤
大動脈が部分的に拡張する疾患。胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤がある
6人の医師がチェック 80回の改訂 最終更新: 2022.04.20

大動脈瘤の症状について

心臓から出て全身に向かって血液を送る最も太い血管を大動脈と言います。この大動脈に瘤ができた状態を大動脈瘤と言います。大動脈瘤があってもほとんどの人は無症状ですが、瘤(こぶ)が大きくなるとさまざまな症状が現れます。

1. 大動脈瘤は無症状で偶然に発見されることがある

ほとんどの大動脈瘤は破裂しない限り無症状です。このため、他の目的で受けた検査から偶然発見されることが多いです。症状が現れるのは大動脈瘤が大きくなった場合なのですが、瘤ができた部位によって症状が異なります。

2. 大動脈瘤ができる場所によって症状が異なる

下図のように大動脈は身体の真ん中左寄りにある太く長い血管です。

胸部大動脈と腹部大動脈

大動脈瘤が大きくなると、瘤に接する臓器が影響を受けて症状が現れます。 大動脈は胸部大動脈と腹部大動脈の2つに大別されます。胸部大動脈と腹部大動脈では周りにある臓器に違いがあるので、それぞれで症状が異なります。

胸部大動脈瘤の症状について:声のかすれ、飲みこみにくさなど

胸部大動脈は背中側にあり、周りには気管支や肺、食道(口と胃をつなぐ臓器)、反回神経(声帯へ司令を送る神経)などがあります。これらの機能に影響が及ぶと次のような症状が現れます。

【胸部大動脈瘤の主な症状】

  • 血痰:血液混じりの痰
  • 胸痛
  • 背部痛
  • 嗄声(させい):声のかすれ
  • 嚥下障害:飲み込みにくさ

これらの症状は胸部大動脈瘤だけではなく、他の病気によっても見られるものです。つまり、当てはまる症状があっても胸部大動脈瘤が存在することを必ずしも意味しません。例えば、嗄声は食道がん肺がんでも見られますし、胸痛は狭心症肋間神経痛でも見られます。症状の原因を調べるために診察や検査が行われます。

腹部大動脈瘤の症状について

腹部大動脈の周りには大腸や小腸、腰に向かう神経などがあります。これらの臓器に大動脈瘤の影響が及ぶと次のような症状が現れます。

【腹部大動脈瘤の症状】

  • 腹痛
  • 腰痛
  • 腹部膨満
  • 便秘
  • 腹部の拍動と腫瘤感

胸部は肋骨で覆われているため、身体の表面から胸部大動脈瘤の存在はわかりません。一方で、腹部には臓器を囲う骨はないので、大動脈瘤が拍動するのを身体の表面から触知したり、瘤のかたまりを指先で感じることができます。 ただし、胸部大動脈瘤と同じく症状だけで大動脈瘤が存在しているかどうかの判断をつけるのは難しいので、診察や検査が行われます。

3. 大動脈瘤が破裂した場合の症状について

大動脈瘤が破裂すると、大量出血が起こります。全身を循環する血液が瞬く間に不足し、意識を失ったり、脈が触れなくなります。また、同時に強い胸痛や腹痛も生じます。

残念な話なのですが、大動脈瘤が破裂すると救命が極めて難しくなります。突然死の原因が大動脈瘤の破裂だったというのは珍しい話ではありません。 大動脈瘤で命を落とさないためには、無症状のうちから進行を食い止める治療をしたり、大きくなってしまった大動脈瘤に対して、手術やカテーテル治療を行う必要があります。詳しくは、「大動脈瘤の治療」のページを参考にしてください。

参考文献

大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン 2020年改訂版」(2020.10.31閲覧)