ようつうしょう
腰痛症
さまざまな原因により、腰が痛くなる病気の総称
13人の医師がチェック 171回の改訂 最終更新: 2023.06.28

腰痛に関するよくある疑問にお答えします

腰痛は普段の生活から気をつけられる点がたくさんあります。それらの注意点を押さえることで、腰痛の出現や悪化を防ぐことができます。このページでは、医師の視点から特に注意してほしいことを説明していきます。

1. 腰痛が出やすいタイミングは?

腰痛が出やすいタイミングは、「腰に急激に力が入ったとき」です。代表的な例を挙げて、具体的に説明していきます。

寝起き

寝起きに腰痛を経験したことのある人は少なくないと思います。寝ている間に重いものを持ったわけでもなければ、ぶつけたわけでもないのに朝起きたときに急に腰が痛くなっているのです。このようなことはなぜ起きるのでしょうか?

まず考えられるのが、ベッドの問題です。硬いベッドでも柔らかいベッドでも、その人の体に合っていないと、腰痛を引き起こす可能性が大きくなります。特に硬いベッドで寝ていると、腰痛を起こしやすいとされています。もちろんこれには個人差がありますが、寝起きに腰痛をよく感じる人はベッドを見直してみる価値はあります。

次に寝相の問題も考えられます。全く身体を動かさないで寝ている場合や寝ている時に変な体勢(背中を曲げすぎていたり伸ばしすぎた姿勢)では、腰や首などに負担がかかりやすく腰痛を起こしやすいのです。寝相の問題が疑われる場合は、枕が合っていない可能性を考え、睡眠をとる時の状況を少し変えてみると良いかもしれません。

また寝ているときには大量の汗をかいていることはよく知られていますが、このときの脱水状態が筋肉をかたまらせてしまい、急性腰痛を引き起こすという説もあります。

いずれの原因にしても、睡眠環境、睡眠中の動き、水分摂取など、予防できることは対策したほうが良いということです。

重いものを持った時

重いものを持つと腰に負担がかかることは想像に難くないと思います。重要なのは、その負担が腰のみにかからないようにすることです。

膝を伸ばしたまま腰を曲げて荷物を持つ、重いものを持ったまま後ろを振り向くといった動作は、腰に負担がかかります。下にある物を持ち上げる時や重い物を持っているとき、膝を曲げて身体全体で持つようにしたり、一度荷物を置くなど、無理な姿勢を取らないようにしましょう。

腰痛予防のための荷物の持ち方

腰が痛くなりやすいその他の日常生活の動き

上記の動作以外でも腰が痛くなりやすい場面は日常生活の中で多くあります。

例えば、顔を洗うときの動作や洗い物をするときの姿勢です。洗面台やシンクの高さが身長に対して低いと、思っているよりも前かがみにならなければいけなかったり、無理な姿勢を続けることになります。

また身長が洗面台に合っていたとしても、洗面台から離れたところから前かがみになると、腰に負担がかかり腰痛を引き起こしやすいと言われています。

対処法としては、できるだけ洗面台やシンクに近づいて作業する、片方の足を一歩前に出すといったことが考えられます。

2. 腰痛が出たら安静にする? 運動する?

腰痛が出たら安静にしなさいと言われたことはありませんか?

ひどい腰痛があったりしびれがひどかったりする場合は、運動する前に医療機関で診察を受けてください。これ以外の場合にあまり動かないようにしていると、筋力が落ちたり職場に復帰するのが遅くなったりしてしまいますし、精神衛生上にも良い作戦とは言い難いです。

「腰痛診療ガイドライン2019」では、痛みの強さに応じて、適度に運動することが推奨されています。ただし、これは腰痛が生じてから4週間以内の急性腰痛(ぎっくり腰)のことは指しておらず、腰痛が出てから4週間以内の急性期には運動は勧められていません。急性腰痛の場合では、いわゆる身体を積極的に動かす運動ではなく、腰痛が強くならない範囲内で日常生活を送るくらいの動きを行うことが勧められています。

3. 腰痛にはどういった運動が効果的?

結論から言うと、明確にこの運動がいい、というものはわかっていません。しかし、実際に腰痛に苦しんでいる人は、自分に適した運動をしたいと思うのが本音でしょう。ここでは、それぞれの運動についてどのような利点が考えられるか説明します。

水泳

体重などの負担が関節にかからず、腰痛時の運動の中として良いと思っている人もいると思います。しかし、実は腰痛に対する水泳の効果が科学的なデータで証明されているわけではありません。

裏を返せば、水泳をしてはいけないという根拠もなく、水に浸かることで腰への荷重が減ることも確かです。ここで注意するべきは、強い痛みを感じるような動きはしないことです。痛みが増さない範囲の運動をすることは腰痛を改善するため、加減しながらゆっくり泳いだり水中歩行を行ったり、自分流に使い分けてください。

体幹トレーニング(コアトレーニング)

腰痛が起こる原因のひとつとして、体幹の筋肉が弱くなっていることが挙げられます。そのため、体幹トレーニングは腰痛予防や再発予防に一役買うことができるかもしれません。

腰痛予防の体幹トレーニングの例

過去の研究でも、体幹トレーニングが腰痛の改善に効果があるといった研究報告(詳細はMEDLEYニュース「コアトレーニングが腰痛を改善する効果は? 」)があります。

運動の頻度は、週に1-3回ほど行うことが一般的とされています。また、運動を行う期間に関しては何週間すれば良いと明確に決められているものではありません。運動に関しては、あまり難しく考えすぎずに、負担になりすぎない程度に心がけることが大事です。

参照文献:Clin Rehabil. 2014 May

4. 腰痛の予防法は?

腰痛を経験した人は2度と腰痛は経験したくないと思うことでしょう。特に急性腰痛(ぎっくり腰)に対してそう思っている人は多いのではないでしょうか。しかし、腰が痛くなった人には腰が痛くなりやすい背景がある可能性が大きく、その背景を変えられなければ、腰痛を再発する危険性は高いのです。ここでは、腰痛の予防策に関して代表的なものを説明していきます。

腰痛やぎっくり腰を予防するには、腰に負担をかけないことです。いくつかの方法を紹介します。

姿勢

良い姿勢悪い姿勢

腰痛を予防するにはよい姿勢が第一です。

できるだけ身体に近いところで作業する姿勢が大事です。また、かがんだりひねったりする動きを極力減らすことでも、腰痛を予防できます。

パソコンを扱う人は腰痛を感じやすいので、パソコンを操作する際は椅子と作業台を調整して、肘を90度に曲げられる姿勢をとってください。

腰痛予防のためのデスクワークの良い姿勢

ベッド

腰痛予防のためのベッドの硬さに関する報告があります。そこには、硬いマットレスより柔らかいマットレスを使用するほうが腰痛を起こしにくいとされています。また、ウォーターベッドも有用であると考えられています。ただし、ベッドが柔らかければそれだけで良いかというとそういうわけではありません。自分に合ったベッドを検討することが大事です。

マットレスの硬さの選びかた

足に合う靴

腰痛の原因として、足元の状態が悪いことも考えられます。

足にあったものを履くのが大前提ですが、その他にはヒールのある靴やクッション性の悪いサンダルも腰痛を起こしやすくします。

  • 足に合っていない靴
  • ヒールのある靴
  • クッション性の悪いサンダル

上のような履物は腰痛を起こします

休息

過労によっても腰痛は出やすくなります。

例えば、重いものを持つ仕事についている人や立ち仕事の人では、疲労が溜まりやすいことが考えられます。その疲労が急性腰痛や慢性腰痛に発展する可能性もあります。適度に休息を取ることで腰痛を予防できることもあります。リフレッシュも含めて休息をとるようにしましょう。

運動

腰痛は運動を適度に行うことでも予防することができます。もちろん、過労は腰痛を引き起こす可能性があるため過剰な負荷は禁物ですが、疲労が蓄積してしまわない程度の運動は行うようにしてください。腰やお腹や膝のストレッチを行うことで、腰痛予防が期待できます。

ストレス発散

腰痛は精神状態とも関係していて、ストレスや不安が強いと腰痛が出やすくなります。そのため、適宜リフレッシュやリラックスできる時間を作ることが腰痛予防に大切です。ご自身が一番リラックスできると思うものを取り入れてください。

5. 仕事を休まなくてはならないくらいの腰痛が出た場合どうしたら良いですか?

腰痛により仕事に行けない人もいると思います。特に急性腰痛(ぎっくり腰)では立つこともままならないかもしれません。

強い腰痛やしびれが出ている場合は安静にする必要がありますが、そうでない場合は痛みが強く出ない範囲で運動するほうが職場復帰が早くなります。行える範囲で運動やリハビリを行うと良いでしょう。

しかし、あまりに腰痛が強くて動けない場合はどうすれば良いでしょうか。その場合は、すぐに職場復帰することは難しいでしょう。腰痛で全く動けなくなると気持ちも弱ってしまい、もしかしたらこのまま日常生活を送るのが難しくなるのではないかと不安になる人も少なくありません。

腰痛で仕事ができなくなった人が、1年間でどの程度まで働けるようになるのかを調べた研究があります(詳しくはMEDLEYニュース「仕事ができないほどの腰痛は治療で治るのか? 」をご参照ください)。この研究によると、リハビリにより、1年間で以前の労働時間の82%程度まで働けるように回復していました。その中には、以前と同じように働いている人もいますが、逆にあまり長く働けていない人もいるという解釈ができます。