かんのうほう
肝のう胞
肝臓の中に液体の溜まった袋(のう胞)ができる病気。悪性化することはなく、基本的に治療の必要性もない
5人の医師がチェック 100回の改訂 最終更新: 2019.11.19

肝のう胞の症状について

肝のう胞は肝臓にできる袋状の病変で、なかに液体が溜まっています。肝のう胞があっても症状を感じることはまずありません。しかし、ごくまれに肝のう胞に感染、出血などが起こると症状が現れる人がいます。また、肝のう胞が多発している人のなかには、腎臓にも「のう胞」がたくさんあって腎不全の症状が生じる人もいます。このページでは肝のう胞でどのような症状が現れるのか説明をします。

1. 肝のう胞があってもほとんど無症状

肝臓の構造

肝のう胞のある人のほとんどは症状を感じません。症状がある肝のう胞では、細菌や寄生虫への感染など他の要素が伴っていることが多いです。

2. 細菌に感染した肝のう胞の症状:発熱など

まれですが、肝のう胞に感染が起こることがあります。たとえば、大腸菌肺炎桿菌といった腸内に常在している細菌が、胆汁の通り道や血流を経て、肝のう胞にたどり着いて感染します。細菌が肝のう胞に感染すると、発熱や腹痛などの症状が起きます。

3. エキノコックス症による肝のう胞の症状

エキノコックスという寄生虫が体内に入り、肝臓に感染すると肝のう胞ができます。エキノコックスが寄生しているキツネやイヌの糞が口に入ることで感染します。日本では主に北海道でみられます。

感染しても5-15年は自覚症状が出ないため、検査をしないと気づかぬうちに肝臓にのう胞ができてしまします。この肝のう胞が次第に巨大化して、発熱や腹痛などの症状が生じるようになります。エキノコックス症は早期に発見しないと治療が難しくなることがあるので、症状がないからといって見過ごせない病気です。

4. 巨大肝のう胞の症状:腹部の圧迫感

肝のう胞の大きさは、数mm程度から20cmを超えるものまでさまざまです。肝のう胞がどれくらい大きいと症状が出るのかは一概にはいえませんが、巨大な肝のう胞の人は腹部圧迫感や腹痛、食欲不振などの症状を感じることがあります。

5. 出血性肝のう胞の人の症状:ふらつき

ごくまれなことではありますが、肝のう胞の内部から出血することがあります。出血量が多くなると血液が不足して、ふらついて倒れそうになったり、低血圧状態(ショック)になることがあります。

6. 多発性肝のう胞の症状

肝のう胞がたくさんある人の中には、腎臓にものう胞がたくさんできる「常染色体優性多発嚢胞腎(ADPKD)」という病気の人がいます。ADPKDの人は、数多くできた肝のう胞や腎のう胞の影響で腹部膨満感や腹痛といった症状が現れます。また、長年かけて腎機能が悪くなって、身体のむくみ意識障害、息苦しさといった症状が出ます。これらの腎不全の症状は、利尿剤の内服や人工透析によって緩和できます。

参考文献

・Bakoyiannis A et al. : Rare cystic lesions:A diagnostic and managing challenge.World G Gastroenterol.2013 19(43):7603-7619.
・丸山彰一/監, 「エビデンスに基づく多発性嚢胞腎(PKD)診療ガイドライン2017」, 東京医学社, 2017