[医師監修・作成]更年期障害の症状について:ほてり・発汗・不眠など | MEDLEY(メドレー)
こうねんきしょうがい
更年期障害
閉経の前後で女性ホルモンが減ることによって、自律神経と精神状態に異常が起こった状態。
16人の医師がチェック 118回の改訂 最終更新: 2021.11.24

更年期障害の症状について:ほてり・発汗・不眠など

更年期障害の症状は顔のほてりや発汗、不眠、気分の変化、頭痛など多様です。人によって症状は大きく違いますが、日常生活に支障が及んでいることは珍しくはありません。このページでは更年期障害で現れやすい症状の例とと、閉経にともなう萎縮性膣炎骨粗鬆症についても説明します。

1. 更年期症状の症状について

更年期とは閉経前後5年ずつ、合わせて10年間のことを指します。ただ、何年後に閉経になるかを完全に予測することは難しく、月経が止まったからといって閉経したとは言い切れない場合があります。月経が12か月以上止まったことによって閉経したことがはっきりするのです。そのため、閉経前には更年期がいつから始まったかもはっきりしないことも多いですし、個人差がかなりあると考えてください。

更年期には、卵巣機能の低下などにともなって身体にさまざまな変化が起こります。具体的には次のような症状が現れます。

【更年期障害の症状】

  • ほてり、のぼせ、汗
  • 不眠・いらいら・うつ
  • 物忘れ
  • めまい
  • 動悸・胸部絞扼感(胸が締め付けられる感じ)
  • 頭痛・肩こり
  • 背中や腰の痛み
  • 関節痛

更年期症状の治療には、それぞれの症状に対応した治療のほか、ホルモン補充療法、漢方薬、心理療法などが使われます。治療についてはホルモン補充療法についてのページ漢方薬についてのページでも説明しています。
次に症状を一つひとつ取り上げて説明していきます。

ほてり、のぼせ、汗

ほてりやのぼせ(ホットフラッシュ)、発汗といった症状はまとめて血管運動性神経症状とも呼ばれ、更年期障害の代表的な症状とされます。

ほかの症状と同様に、症状の程度は人によって違います。

血管運動性神経症状に対しては、ホルモン補充療法の効果があることがはっきりしているので、効果が期待できます。

ただし、似た症状はほかの病気で出ることもあります。たとえば甲状腺機能亢進症は更年期の女性にもよくある病気で、発汗などの更年期障害と似た症状が現れることがあります。似た症状であっても原因となる病気が異なれば治療法が違うので、原因をはっきりさせることが重要です。

不眠、イライラ、うつ

不眠も更年期障害が原因になることがあります。眠ろうとしてもなかなか眠れない、または眠っている途中で目が覚めてしまうといった症状です。不眠と効くと睡眠導入剤による治療が思い浮かぶかもしれませんが、更年期症状と判断された場合には、ホルモン補充療法が行われることがあります。

また、更年期症状として、ちょっとしたことでイライラするようになったり、不安を感じやすくなったりすることもあります。ほかの精神的な症状として、うつ症状が現れることもあります。
更年期障害としてのうつ症状に対しては、抗うつ薬や認知行動療法といったうつ病と共通する治療法が使われる場合がありすし、不眠と同様にホルモン補充療法が行われる場合もあります。
気分の変化を特徴とする病気は精神科や心療内科で専門的に診察していますが、更年期の女性であれば産婦人科などで更年期障害を調べることも理にかなっています。

物忘れ

物忘れも更年期障害として現れることがあるとされます。ただし、物忘れに代表されるような認知機能の低下は正常な加齢現象としても現れるもので、閉経と関係しているかどうかは区別しにくい面があります。また、ホルモン補充療法の認知機能に対する効果は確認されていません。

もし物忘れの症状を感じたら、特に注意するべき点は、治療で改善できる病気を見逃さないことです。たとえば甲状腺機能低下症慢性硬膜下血腫が物忘れを起こしていて、治療をすると物忘れが改善する場合もあります。更年期障害でかかっている産婦人科があれば、担当の医師に相談するのもいいですし、神経内科や脳神経外科などに紹介してもらう方法もあります。認知症の詳細情報をあわせてご覧ください。

めまい

更年期障害では、ふらふら、くらくらするようなめまいを感じることがあります。同じ「めまい」という言葉でも、目の前がグルグル回転するようなめまい(回転性めまい)は、メニエール病良性発作性頭位めまい症など耳が原因の病気で起こりやすい症状です。回転性めまいを専門的に診察している診療科は耳鼻咽喉科などです。メニエール病の詳細情報良性発作性頭位めまい症の詳細情報をあわせてご覧ください。

また、めまいの原因には神経の病気や心臓の病気なもがあり、中には深刻な病気もあります。そのため、めまいが更年期症状なのかどうかは注意して見極める必要があります。産婦人科の診察を受ける時でも、めまいがあればしっかり伝えてください。

動悸・胸が締め付けられる感じ

更年期症状として胸がドキドキする感じ(動悸)や締め付けられる感じが現れることもあります。

区別するべき病気としては、心臓の病気が考えられます。たとえば不整脈は動悸の原因になります。狭心症心筋梗塞は、胸が締め付けられるような痛み(狭心痛)を現すことがあります。そのため、こうした症状があって診察を受けると、原因を調べるために心電図などの検査が行われることも考えられます。狭心症の詳細情報心筋梗塞の詳細情報をあわせてご覧ください。

頭痛・肩こり

更年期症状として頭痛や頭が重い感じ、肩や首のこりが現れる場合もあります。肩こりが関係する頭痛として緊張型頭痛と呼ばれるものがあります。緊張型頭痛は更年期以外にも多くの男女に現れる頭痛で、頭全体が締め付けられるような感じや、頭が重い感じが特徴とされますが、症状には個人差があります。更年期の女性に緊張型頭痛のような症状が現れた場合、閉経が関係しているかどうかは区別しにくいことがあります。治療としては、痛み止めの内服薬などが使われます。

背中や腰の痛み

背中や腰の痛みは、更年期障害のほか、加齢にともなう変化としても多くの人に現れます。腰痛があっても画像などで明らかに観察できる変化がなく、原因を見分けられないこともよくあります。

骨や神経の病気によらない腰痛症に対する一般的な治療としては、運動や温熱療法、痛み止めの薬などがあります。ぎっくり腰の詳細情報をあわせてご覧ください。

関節痛

更年期の女性では、関節痛もよくある症状です。更年期症状としての関節痛のほか、加齢による変形性関節症が更年期の女性に現れることもあります。

変形性関節症とは、膝関節や股関節などの関節の軟骨がすり減り、炎症を起こした状態です。関節が痛くなったり、動きが制限されたりすることで、日常生活に支障が出てきます。変形性関節症は、加齢とともに発症し進行する自然な変化です。すり減った軟骨が元に戻ることはありません。治療としては、リハビリテーションや装具療法、痛み止めの薬、手術などによって、痛みや動きの制限を少なくすることを目標にします。肥満があると症状が出やすいため、肥満とともに変形性関節症がある人では減量を勧められることもあります。

関節の痛みがあると「リウマチかな?」と思うかもしれません。確かに関節リウマチも関節痛を起こす代表的な病気のひとつで、更年期の女性にも現れますが、人数としては変形性関節症のほうが多いです。関節リウマチは持続的な炎症により関節の痛みや変形などを起こす病気で、炎症を抑える薬などの治療があります。関節リウマチの詳細情報をあわせてご覧ください。

2. 女性ホルモン量の変化にともなう症状について:萎縮膣炎・骨粗鬆症

更年期症状と呼ばれるもの以外にも、閉経にともなう変化として、萎縮性膣炎骨粗鬆症が多くの女性に現れます。これらに対してもホルモン補充療法が有効です。

膣乾燥感・性交時痛(萎縮性膣炎の症状)

閉経にともなう変化として、膣の萎縮や乾燥感、性交での痛みなどを特徴とする萎縮性膣炎が現れるようになります。

萎縮性膣炎の症状に対する治療には、膣に入れる薬を使う方法やホルモン補充療法があります。性交時の痛みに対して潤滑剤を使うなどの対処も可能です。

骨粗鬆症

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は骨がもろく折れやすくなっている状態です。閉経によって骨の量が減るため、更年期に骨粗鬆症と診断される女性も多くいます。

骨粗鬆症では骨折しやすいことが問題になりますが、骨粗鬆症そのものに症状はありません。そのため、骨粗鬆症の診断には骨密度の検査値が基準とされます。

骨粗鬆症による骨折としては、けがをした時の骨折だけでなく、気がつかないうちに脊椎背骨)の椎体骨折と呼ばれる骨折が起こっている場合もあります。椎体骨折は、背骨の一部が体重のかかる上下方向に押し潰されている状態です。椎体骨折の症状として、背中や腰の痛みや変形、身長が縮むことなどを自覚する場合もあります。椎体骨折のほか、転んだ時に股関節にある大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)が折れることも多いです。

骨折や骨の痛みの原因は骨粗鬆症だけではありません。乳癌などの骨転移多発性骨髄腫によって症状が現れる場合もあります。このため、骨折をきっかけに、原因としてほかの病気が隠れていないかを調べる検査が行われることがあります。

骨粗鬆症が見つかった人では、骨折を防ぐ治療が検討されます。閉経後の骨粗鬆症にはホルモン補充療法が有効です。ほかの治療としてビスホスホネート製剤などもあります。