こうねんきしょうがい
更年期障害
閉経の前後で女性ホルモンが減ることによって、自律神経と精神状態に異常が起こった状態。
16人の医師がチェック 80回の改訂 最終更新: 2019.01.07

男性更年期障害とは:症状、原因、治療について

男性更年期障害テストステロン男性ホルモンの1つ)の減少によって、起こる身体の不調のことを指します。女性の更年期と似て「気分の落ち込み」や「イライラ」「睡眠障害」といった症状が現れます。ここでは男性更年期障害の概略として、症状や検査、治療について説明します。

1. 男性更年期障害とは

更年期障害は閉経の前後に起こる女性ホルモンの減少を原因とした身体の変調と定義されており、女性に特有のものです。一方、更年期にあたる40代から50代の男性にも、テストステロンという男性ホルモンの1つが減少することによって、睡眠障害・気分変調・勃起能力の低下などの多様な症状が現れます。このテストステロンが減少することによって起こる身体の不調を加齢男性性機能低下症候群(LOH(late-onset hypogonadism)症候群)と言います。また、女性の更年期障害と原因や症状が似ていることから、一般的にLOH症候群を「男性更年期障害」と呼びます。

2. 男性更年期障害の症状

男性更年期障害による症状や身体の変化は次のものです

男性更年期障害の主な症状や身体の変化】

  • 性欲の低下

  • 勃起障害

  • 認知力の低下:ものごとを認識する能力の低下

  • 抑うつ:気分の落ち込み

  • 短気:イライラすること

  • 睡眠障害

  • 筋肉量の減少

  • 内臓脂肪の増加

  • 骨密度の低下

上記の症状や身体の変化は、男性更年期障害以外の原因でも現れます。例えば、抑うつ・疲労感・睡眠障害などはうつ病でも見られます。症状の原因は多岐に渡るため、症状だけで男性更年期障害と診断することはできません。必要に応じて検査を行い、他の原因の有無が確認されます。

3. 男性更年期障害で行われる検査

男性更年期障害が疑われる症状をきっかけに受診すると、診察や検査が行われます。

男性更年期障害が疑われる人に行われる診察や検査】

  • 問診

  • 身体診察

  • 血液検査

この他、必要に応じて尿検査、骨塩量測定、体脂肪率測定、胸部X線撮影レントゲン検査)、心電図検査が行われます。

上記のリストにある「問診」「身体診察」「血液検査」について説明します。

問診

問診は主にお医者さんとの対話形式で行われる診察で、患者さんは自覚症状や身体の変化を伝えます。男性更年期障害が疑われる人には質問票を使った問診が重要視されます。代表的な問診方法としてAMS(Aging males’ symptom)スコアがあります。AMSスコアは症状の有無や重さについて、質問票に患者さん本人が記入することで点数が分かり、その点数を基にして、男性更年期障害の可能性がわかります。
詳しくは「こちらのコラム」を参考にしてください。

身体診察

身体診察ではお医者さんが患者さんの身体を見たり触ったりして、身体の状態がくまなく調べられます。男性更年期障害が疑われる人は「ひげなどの体毛」、「陰茎」、「精巣」に異常が現れやすいので、身体診察ではより詳しく状態が確認されます。

血液検査

男性更年期障害の診断には血液中の遊離型テストステロンの値によって判断されることが多いです。遊離型テストステロンが基準値を下回っている人には、必要に応じてテストステロンが注射で補充されます。
また、血液検査の結果は、男性更年期障害と似た症状が現れる原因の有無を確かめる判断材料にもなります。

 

例えば、貧血(血液のヘモグロビンが基準値より少ない状態)は「だるさ(倦怠感)」の原因になります。貧血の有無は血液検査のヘモグロビンの値によって判断することができます。

4. 男性更年期障害の治療

男性更年期障害の主な治療法がアンドロゲン補充療法です。アンドロゲンとは男性の性機能などに関わっているテストステロンなどの男性ホルモンの総称です。アンドロゲン補充療法は男性更年期障害の原因であるアンドロゲンの不足を補うことで効果を示します。繰り返し注射する方法や陰嚢の皮膚に軟膏を塗る方法などがあります。

アンドロゲン補充療法はどんな人に行われるのか

男性更年障害がある40歳以上の男性の中で、血中の遊離テストステロンが少なくなっている人に対して、アンドロゲン補充療法が検討されます。症状があっても、遊離テストステロンが減っていない人にアンドロゲン補充療法が行われることは少ないです。

アンドロゲン補充療法に注意が必要なのはどんな人なのか

前立腺がん、中等度以上の前立腺肥大症睡眠時無呼吸症候群などの病気が見つかっている人にアンドロゲン補充療法を行うと、悪化する可能性があるので、基本的には行うことができません。このため、検査では治療によって問題が起こる病気の有無が確認されます。

アンドロゲン補充療法の副作用にはどんなものがあるのか

アンドロゲン補充療法の主な副作用には多血症(血液中の赤血球が多くなる病気)があり、状態によっては治療を中止しなければなりません。その他では、心血管疾患、脂質代謝などへの影響や肝毒性などがあります。副作用の有無を確かめるため、治療中は定期的な検査が必要です。

参考:
加齢男性性腺機能低下症候群(LOH 症候群)診療の手引き