急性胃炎・急性胃粘膜病変(AGML)で行われる検査とは
AGMLの検査ではまず
1. 問診
問診では受診のきっかけになった症状を中心に、これまでにかかった病気や普段から飲んでいる薬の内容などについて詳しく聞かれます。
症状について
どのような症状がいつから起こったかを質問されます。痛みについては以下のようなポイントについて聞かれることが多いです。
- いつから症状が始まったか
- 痛みの場所はどこか
- 痛みの強さはどのくらいか
- どのような痛みか(キリキリ痛む、ずーんと重い痛み、など自分の言葉で表現してください)
- ずっと同じくらいの痛みが続いているか、痛みに波があるか
- 食事によって痛みが悪くなるか
- 痛みを和らげる姿勢があるか
症状の特徴や経過はとても大切な情報なので、できるだけ詳しく伝えるようにしてみてください。
これまでにかかった病気について(既往歴)
今までに経験した病気について、何歳のころにどのような病気にかかったか、どのような治療を行ったかを質問されます。特に胃炎や胃・十二指腸潰瘍の経験がある人は、それらが再発している可能性もありますのでお医者さんに伝えるようにしてください。
普段から飲んでいる薬について
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や副腎皮質ホルモン、
飲酒や喫煙について
飲酒量が多い人やアルコール度数の高いお酒を飲む人は、アルコールがAGMLの原因となることがあります。普段から飲んでいるお酒の種類、量、週に何日飲酒するかなどを質問されます。
また喫煙は胃潰瘍などの原因になることがあるため、一日の喫煙量やこれまでの喫煙期間などについて聞かれます。
2. 身体診察
身体診察では腹部を中心とした
痛みがある場所を中心に、手で押さえた時に痛みが強くなるか(圧痛)、押さえた手を離したときに痛みが強くなるか(反跳痛)、手で押さえたときにおなかの筋肉が緊張するか(筋性防御)、押さえたときに痛みが他の場所に広がるか(放散痛)などをチェックします。
3. 画像検査
画像検査では上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で胃粘膜の状態を調べます。胃や十二指腸にAGMLに特徴的なサインが見られた場合にはAGMLと確定診断することができるので、とても重要な検査です。またAGML以外の病気が隠れていないかを調べるために、腹部超音波検査やCT検査などを行う場合もあります。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
先端に
AGMLでは胃に
びらんや潰瘍から出血が見られることがあり、胃内に赤色や黒色の血液がたまっていることもあります。内視鏡検査中も勢いよく出血が続いている場合には、血を止めるための道具や薬物を使った止血治療を併せて行います。
また、胃がんを疑うような病気が見られた場合には、細胞をつまみとって顕微鏡で観察する「病理検査」を行うことがあります。
腹部超音波検査
腹部超音波検査(
CT検査
CT検査は放射線を使って身体の断面像を作り、身体の内部の病気を調べるための画像検査です。おなかの中の臓器について細かく調べることができ、AGML以外に腹痛を起こすような病気が隠れていないかを調べることができます。おなかの臓器をさらに詳しく調べたい場合には、
参考文献
・小俣政男, 千葉勉/監修, 「専門医のための消化器病学第2版」, 医学書院, 2013
・Jensen PJ, Feldman M, Acute hemorrhagic erosive gastropathy and reactive gastropathy. UpToDate (2020.5.2最終更新)
・Feldman M, Jensen PJ, Gastritis: Etiology and diagnosis. UpToDate(2020.5.2最終更新)
・gastropedia:急性胃粘膜病変(2020.7.31閲覧)