じりつしんけいしっちょうしょう
自律神経失調症
自律神経のバランスが崩れた際に起こる症状の総称。めまいや耳鳴り、頭痛など様々な症状が出現する
18人の医師がチェック 245回の改訂 最終更新: 2022.12.26

自律神経失調症の症状②ー女性に多い症状:生理不順、めまい、微熱、だるさ、頭痛など

女性に出やすい自律神経失調症の症状には生理不順や、めまい、頭痛、微熱があります。イライラ、便秘、下痢、手足のしびれなどもしばしば見られます。女性は男性と比べてホルモンバランスの変化が大きく、自律神経失調症の症状にも影響する可能性があります。

1. 女性に自律神経失調症があらわれる背景について

自律神経失調症が起きる背景として、以下のような状況がしばしばあります。

  • 仕事や家庭でストレスを抱えている
  • 育児のため夜中に起きることが多く、生活リズムが乱れがち
  • 育児や家事を一手に引き受けがちで、年中休みなく働き続け自分の時間がない

こうした状況は必ずしも女性に限ったものではありませんが、自律神経失調症があらわれる要因になると考えられます。特に、授乳中の女性は夜中にも起きなければならず、自律神経失調症になりやすい背景があるといえます。

2. 女性ホルモンの変化が症状に影響することがある

女性では、月経・妊娠・出産・閉経をきっかけに女性ホルモンの分泌に変化が起きます。この変化に伴い、さまざまな症状が現れることがあります。

月経(生理)前に身体や心の不調を感じ、月経が始まると徐々に改善していくことを繰り返す病気を月経前症候群PMS)といいます。また、閉経をきっかけにさまざまな症状を起こす病気を更年期障害といいます。

自律神経失調症と月経前症候群更年期障害の症状には共通するものがあり、もともと自律神経失調症がある人は、女性ホルモンの変化が起こるタイミング(月経前や更年期)では症状が悪化しやすくなる可能性があります。

ただし、症状が似ていることから、症状からはその原因が自律神経失調症なのか月経前症候群(あるいは更年期障害)なのかを判別するのは難しく、少なくとも自己判断するべきではありません。病気に対するアプローチはそれぞれで異なるからです。

女性ホルモンの乱れが原因であれば、薬によってバランスを整えれば症状が改善する可能性があります。しかし、原因を自律神経失調症だと自己判断してしまうと、ストレスへの対処などに重きをおいてしまい、女性ホルモンの乱れへの対処が後回しになってしまいます。

自分は自律神経失調症かもしれないと自己判断せずに、医療機関で詳しく調べてもらってください。

3. 自律神経失調症の症状について

自律神経失調症の主な症状

自律神経失調症の症状は、身体にあらわれる症状(身体症状)と、心にあらわれる症状(精神症状)に大きく分けられます(詳しくはこちらのページ)。

現れうる症状はたくさんあります。ここで注意してほしいことは、症状が他の病気によるものである可能性を忘れてはいけない、ということです。例えば、胸が締め付けられるような感じ(胸部絞扼感)は自律神経失調症でも現れる症状ですが、心筋梗塞狭心症といった命に関わる病気の症状でもあります。ですので、症状があらわれた場合には、これは自律神経失調症によるものだと自己判断するのではなく、医療機関で詳しく原因を調べてもらうようにしてください。特に、今までに経験したことがない症状が現れた場合は必ず受診をしてください。

次に、よくある症状をいくつか取り上げて詳しく説明していきます。

4. 自律神経失調症で女性にみられることが多い症状①:めまい

めまいは代表的な自律神経失調症の症状です。自律神経失調症が原因で起きるめまいには、頭から顔面、首、肩にかけての筋肉の緊張が関係すると考えられています。

自律神経失調症が原因のめまいを経験した人は「ふわふわする」「くらくらする」といった表現を使うことが多いです。一方で、ぐるぐる目の前が回転するようなめまいは、原因として自律神経失調症ではなく、良性発作性頭位めまい症BPPV)が原因であることが多いです。(詳しくは「良性発作性頭位めまい症の詳細情報」を参考にしてください。)

自律神経失調症のめまいの対処法

自立神経失調症のめまいに対処するには、病院での治療とともに自分でできることもあります。

  • 頭から顔面、首、肩にかけての筋肉の緊張を和らげる:お風呂やストレッチ、マッサージや鍼(はり)など
  • ストレスを発散させる:運動、趣味、生活習慣の改善など

上記のものはあくまで一例です。自分にあった方法を探してみてください。

5. 自律神経失調症で女性にみられることが多い症状②:頭痛(片頭痛と緊張型頭痛)

自律神経失調症による頭痛を経験する女性は少なくありません。頭痛にはいくつかタイプがあるのですが、片頭痛偏頭痛)と緊張型頭痛が自律神経失調症と関係があると考えられています。それぞれの特徴を説明します。

片頭痛の症状について

片頭痛は20代から40代の女性に多い頭痛です。自律神経失調症で片頭痛が出ることもありますが、自律神経失調症ではない女性にも片頭痛に悩んでいる人は少なくありません。

片頭痛の症状には特徴があります。

  • 月に1回から数回ほど頭痛の発作が繰り返す
  • ズキズキ・ガンガンと拍動する痛みがある
  • 吐き気・嘔吐がある
  • 頭の全体ではなく右か左の片側だけに痛みが起きやすい

ストレスは片頭痛のきっかけとなる可能性がありますし、生理前や生理中に決まって片頭痛の症状が出る人もいます。詳しくは「片頭痛(偏頭痛)に予兆はある?片頭痛の特徴、種類、診断基準を解説」で説明しているので、参考にしてください。

緊張型頭痛の症状について

緊張型頭痛は首や肩のこりが原因の頭痛で、多くの男女が悩まされています。自律神経失調症では肩こりの症状が出ることも多く、それに伴うかたちで現れます。緊張型頭痛の症状は、頭全体がギューっとしめつけられるような痛みや、頭が重い感じが特徴的です。詳しくは「頭痛は肩こりから?緊張型頭痛の特徴と対策」で説明しているので、参考にしてください。

6. 自律神経失調症で女性にみられることが多い症状③:微熱

自律神経失調症で微熱が続く人もいます。

女性では男性と違い生理のリズムに合わせて体温が変化します。具体的には排卵日から生理前の期間に体温が高くなります。自律神経失調症による微熱では、生理にともなう周期的な体温の変化とは異なり、無関係に微熱が続きます。

7. 自律神経失調症の女性が気をつけるべきポイント

月経などによる女性ホルモンの変化が、体調に影響を与えることを知るのが第一歩です。月経前症候群更年期障害に当てはまらない場合でも、女性ホルモンの周期が自律神経失調症に影響を与えている可能性は十分にあります。例えば月経前から月経中に症状が悪化することが分かっていれば、その期間は過労や夜更かしを避けるような工夫をして、生活への負担を和らげることができるかもしれません。

参考文献

e-ヘルスネット自律神経失調症