川崎病の検査:心臓エコー検査、心臓カテーテル検査など
川崎病が疑われた場合にはさまざまな検査が行われます。診断を行うための検査や全身状態を調べる検査、
1. 問診
見られていた症状が診察時にはなくなってしまっていても、自宅で症状が見られた場合は「症状あり」として診断するので注意が必要です。例えば、自宅で眼が赤かったけど診察時点では白く戻っているという場合も「眼の症状あり」と考えます。
また、家族に川崎病の人がいるかどうかについて聞かれることもあります。家族に川崎病になったことがある人がいると川崎病になりやすいというデータがあるため、一つの判断材料として家族の状況(既往歴)が聞かれます。
2. 身体診察
川崎病は全身の血管に
3. 血液検査
血液検査値は川崎病の診断基準には入っていませんが、検査値が診断の参考になることがあります。そのため以下の項目について検査されることがあります。
【血液検査で観察される項目の例】
白血球 数- 炎症の影響を受けて、15,000/μl以上に増えることがある
血小板 数- 血小板が増えることが多く、発熱から7日後以降にしばしば450,000/μl以上に上昇する
- まれですが、逆に血小板が少なくなることもある
赤沈 (血沈 )- 炎症の影響を受けて、しばしば40mm/1時間以上になる
CRP (C-Reactive Protein)- 炎症の影響を受けて、しばしば値が上昇する
- 3.0mg/dlや3.5mg/dl以上になる、といった報告がある
- 肝細胞逸脱
酵素 (AST、ALT)- 軽度-中等度に上昇することが多い
- ナトリウム
- ナトリウム値が下がっていることが多い
- アルブミン
- 低下していることがある
BNP 、NTproBNP- 心臓への影響から上昇することがある
これらの検査項目は診断を決定的にするものではありませんが、特に診断が難しいときに参考材料として有用です。
4. 心電図検査
川崎病の急性期に
川崎病に
5. 心臓超音波検査(心臓エコー検査)
川崎病の子どもに対して心臓エコー検査を用いて次のようなポイントを観察します。
【心臓エコー検査で観察されるポイント】
冠動脈 が太くなっていないか- 冠動脈にこぶ(冠動脈瘤)ができていないか
- 心臓の動きが悪くなっていないか
- 心臓内の血液の流れに逆流が起きていないか
- 心臓周囲に液体が溜まっていないか
また、検査を繰り返し行うことで、冠動脈瘤が時間によって大きさが変化しているかどうかをみることができます。入院治療中には何回か心臓エコー検査を受けることになりますが、退院後も定期的に行う場合があります。
6. 心臓カテーテル検査
川崎病の急性期には身体の負担がかかる心臓カテーテル検査は行なえませんが、症状が回復してきたところで心臓カテーテル検査を行います。また、さらにしばらくしてからもう一度カテーテル検査を行うことがあります。そうすることで、冠動脈瘤の大きさの変化や冠動脈の太さが時間によって変化する様子を正確に評価できます。心臓を専門とする小児科医に定期的な検査が必要と判断された場合には、予定を忘れずに受診するようにして下さい。
7. 画像検査
川崎病になると画像検査を受けることがあります。よく行われる検査は、
レントゲン検査(X線写真)
川崎病と診断されてレントゲン検査を受けることがあります。検査するタイミングは、川崎病を
- 心臓が大きくなっていないか
- 冠動脈が白く写っている部分がないか(血管の石灰化を反映している)
レントゲン検査は数秒で撮影できる検査です。しかし、詳しく調べることにはあまり向いておらず、心臓の様子を詳しく調べる場合にはCT検査やMRI検査を行います。
CT検査
CT検査は放射線を使って身体の輪切り画像を作ることができます。レントゲン検査よりも詳しく調べることができる一方で、レントゲン検査よりも放射線による被曝が強いです。
MRI検査
MRI検査は磁気の力を用いて身体の輪切り画像を調べることができます。放射線を使うわけではないので被爆しません。一方で、撮影時間が長いことや動くものを調べることが難しいというデメリットもあります。MRI検査で冠動脈を調べるときには、心臓の動きを同期する一手間を加えてから撮影します。この一手間が簡単ではないため、MRI検査で心臓を調べることができる医療機関は限られます。