[医師監修・作成]神経因性膀胱で知っておくとよいこと | MEDLEY(メドレー)
しんけいいんせいぼうこう
神経因性膀胱
脳や自律神経の障害などにより尿を我慢したり出したりする膀胱の機能がコントロールできなくなる病気
6人の医師がチェック 85回の改訂 最終更新: 2022.02.07

神経因性膀胱で知っておくとよいこと

神経因性膀胱という病気を耳にした人は多くはないかもしれません。そのため、さまざまな疑問があるかと思います。このページでは患者さんからよく受ける質問をベースにして、知っておいて欲しいことを中心に説明します。

1. 神経因性膀胱は高齢者に多い病気なのか

神経因性膀胱になった人の年齢を大規模に調べた研究報告は多くはありません。そこで、神経因性膀胱の原因から、高齢者に多い病気なのかという問いについて考えてみたいと思います。神経因性膀胱の主な原因は次のものになります。

【神経因性膀胱の原因となる主な病気】

二分脊椎脊髄損傷は若い人にもみられますが、原因の多くを占める脳血管障害や糖尿病といった病気は高齢者に多く見られます。こういった事実から神経因性膀胱は高齢者に多い病気と考えてもよいと思われます。

2. 神経因性膀胱と他の病気との違いについて:膀胱炎や過活動膀胱との違い

神経因性膀胱と似ている症状が現れる病気はいくつかあります。その中でも多いのが、膀胱炎過活動膀胱です。治療法やその後の経過が異なるので、神経因性膀胱が心配な人もこの2つの病気は押さえておいてください。

膀胱炎

膀胱に起こる炎症のことです。炎症の原因の多くは細菌による感染です。男性に比べて女性に多いです。神経因性膀胱でも多く見られる頻尿が主な症状になります(その他の症状は「こちらのページ」を参考にしてください)。治療は原因に合わせて選ばれますが、原因の多くを占める細菌感染に対しては抗菌薬が用いられます。神経因性膀胱とは異なり、比較的短期間(1週間以内)で治ることが多いです。膀胱炎についてより詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。

過活動膀胱

膀胱の収縮が過剰に起こり頻尿や過剰な尿意切迫感などの症状が現れる病気です。神経の病気(パーキンソン病多発性硬化症など)が原因となっている場合は神経因性膀胱に分類されることもあります。一方で原因がはっきりしない場合は単に過活動膀胱と呼ばれることが多いです。治療法は神経因性膀胱と同じく排尿日誌や膀胱訓練、薬物療法が主体となりますが、尿が膀胱の中に溜まりっぱなしになることは少ないので、自己完結導尿や尿道カテーテル留置などが必要となることは、ほとんどありません。病気の程度によって治療期間は異なり、程度が軽ければ短期間で治る人もいます。過活動膀胱についてより詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。

3. 神経因性膀胱の人がなりやすい病気について:水腎症や尿路感染症など

神経因性膀胱の影響でなりやすい病気がいくつか存在します。特に「水腎症」と「尿路感染症」の2つは注意が必要です。

水腎症

身体の老廃物や余分な水分は尿として体外に排出されます。尿は腎臓で作られて、腎盂尿管・膀胱と流れていきます。神経因性膀胱の人では膀胱から先に尿が流れにくくなるので、その上流である尿管や腎盂にも尿が溜まります。尿が溜まった尿管や腎盂は拡張し、この状態を水腎症と言います。水腎症になると、腎臓の機能が低下したり、後述する尿路感染症にかかりやすくなります。また、腎機能が低下すると、十分に尿が作れなくなり、老廃物や余剰な水分が身体に溜まっていきます。腎機能の低下は浮腫倦怠感などの症状として現れ、腎臓の機能が大きく低下すると、命に危険が及ぶこともあります。

水腎症にならないためには、尿が膀胱に過剰に溜まるのを避ける必要があるので、神経因性膀胱の治療をきちんと行う必要があります。水腎症についてより詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。

尿路感染症

尿路とは、尿を作り、体外へ排出する経路を担う臓器の総称です。具体的には腎臓・尿管・膀胱・尿道を指します。尿路感染症とは尿路に細菌や真菌などが感染することで、尿の流れの停滞が原因となります。膀胱から先に尿が流れにくくなる神経因性膀胱の人は尿路感染症にかかりやすいです。尿路感染症にならないためには、神経因性膀胱のをきちんと治療する必要があります。

尿路感染症についてより詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。

4. 神経因性膀胱は治るのか

神経因性膀胱の原因はいくつかあり、治るかどうかは原因によります。例えば一時的な神経の不調であれば治る可能性は十分ありますが、糖尿病による神経障害や脊髄損傷が原因の場合は治すのは難しいです。 治らないといわれた場合は、長期に渡り神経因性膀胱と付き合わなければならないので、受け入れがたい事実とらえる人も中にはいるかもしれません。しかしながら、症状を和らげ上手に付き合って行く方法が存在します。悲観的になりずぎず前向きに捉えてもらえればと思います。 治療の詳しい内容については「こちらのページ」を参考にしてください。

参考文献

・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014

・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011