じんましん
じんましん(蕁麻疹)
皮膚が赤く腫れ、短時間で消える症状。原因はアレルギー、物理的刺激、発汗など。市販薬にもある抗ヒスタミン薬の飲み薬が有効。原因不明で長引く場合もある
16人の医師がチェック 246回の改訂 最終更新: 2024.04.04

蕁麻疹に処方される塗り薬

蕁麻疹の治療に、ステロイド外用薬などの塗り薬が処方されることがあります。ほか抗ヒスタミン薬などの塗り薬が処方薬や市販薬として使えます。蕁麻疹に使える塗り薬の例を挙げ、それぞれの特徴と注意点について解説します。

1. 蕁麻疹の塗り薬:ステロイド外用薬

蕁麻疹の症状である皮疹などの皮膚症状に対する塗り薬と言うと、ステロイド外用薬をイメージするかもしれません。ステロイド外用薬は抗炎症作用などをあらわし、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に対して有効な薬です。ただし蕁麻疹に対しては、ステロイド外用薬の使い方に専門的な判断が必要になります。

ステロイド外用薬の副作用と注意点

皮疹の範囲や出現した身体の場所によって、ステロイド外用薬の強さや使用期間を調整する必要があります。ステロイド外用薬は適切な強さのものを選ぶことが大切です。

ステロイド外用薬の副作用として次のものがあります。

副作用の面からステロイド外用薬を避けたほうが良い場合もありますので、医師や薬剤師に塗り方を相談してください。

蕁麻疹にステロイドの市販薬は効く?

市販の塗り薬の中には、ステロイド成分を含むものもあります。蕁麻疹に対しては、ステロイド外用薬の使い方に専門的な判断が必要になります。市販のステロイドの塗り薬を自己判断で使うことはお勧めしません。持っている薬にステロイド成分が入っているかどうかわからないときはすぐに使わず、薬剤師などに相談してから使ってください。

2. 蕁麻疹の塗り薬:フェノール・亜鉛華リニメント(通称:カチリ)

フェノール・亜鉛華リニメントは、消毒作用や炎症を抑える作用がある外用薬で、別名「カチリ」とも呼ばれます。「カチリ」はドイツ語の「カルボール・チンク・リニメント」(Karbol Zink Linimente)の略です。

成分としてフェノールと酸化亜鉛を含んでいます。フェノールには防腐・消毒・鎮痒(かゆみ止め)の作用があります。酸化亜鉛の作用は収斂(しゅうれん)と呼ばれます。収斂とはタンパク質変性などにより組織や血管を縮め、鎮痛や止血の効果を現すことです。酸化亜鉛には炎症を抑える作用もあります。

皮膚に塗ると水分が蒸発し、真っ白な薄い膜を残します。膜ができることで皮膚の保護にも役立ちます。

フェノール・亜鉛華リニメントは水ぼうそう水疱瘡水痘)のかゆみに対して子供に処方されることも多い薬です。ただし水ぼうそうを治す薬ではなく、かゆみ止めの目的で使われます。

蕁麻疹では皮膚の膨疹(盛り上がり)による痒みなどに対して改善効果が期待できます。

ただし、粘膜や傷がる部分に付着すると刺激感などがあらわれやすいため、注意が必要です。

3. 蕁麻疹の塗り薬:抗ヒスタミン薬を含む外用薬

蕁麻疹に適した抗ヒスタミン薬の外用薬は、処方薬としてはレスタミン®コーワクリームベナパスタ®軟膏といった塗り薬が該当します。

これらの薬はジフェンヒドラミンという抗ヒスタミン薬を含み、飲み薬同様、ヒスタミンの作用を阻害し皮膚の痒みなどを抑える効果が期待できます。

強力レスタミンコーチゾンコーワ軟膏は抗ヒスタミン薬に加えてステロイド薬抗菌薬の成分を含んでいます。

ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン薬を成分とする塗り薬は市販薬(OTC医薬品)としても販売されています。

4. 蕁麻疹の塗り薬:クロタミトンを含む外用薬

クロタミトンを含む外用薬は、処方薬としてはオイラックス®クリームなどが該当します。

クロタミトンは抗ヒスタミン薬などとは異なる仕組みにより鎮痒作用(かゆみを鎮める作用)をあらわす薬です。抗ヒスタミン薬とは異なる仕組みではありますが、ヒスタミンなどの化学物質に起因する痒みに対して有効であることが確認されています。

クロタミトンは市販薬(OTC医薬品)としても多くの製剤(オイラックス®ソフトなど)の成分になっています。

参考文献

・秀 道広, 他, 蕁麻疹診療ガイドライン, 日皮会誌:121(7),1339―1388,2011