こうとうがん
喉頭がん
のどの奥の、のどぼとけのあたりの位置(喉頭)にできるがん
11人の医師がチェック 83回の改訂 最終更新: 2018.02.09

喉頭がんの治療はどんなことをする?手術、化学療法、放射線治療など

がんの治療は主に手術、放射線、化学療法を組み合わせて行います。喉頭がんの主な治療は、手術と、化学療法を併用した放射線治療です。治療の選択には効果と有害事象を知る必要があります。治療について詳しくみていきましょう。

1. 喉頭がんに対して行われる治療にはどんなものがある?

がんの治療は一般的に、手術、放射線、化学療法(抗がん剤)を組み合わせて行います。喉頭がんの場合はどのような治療方法があるのでしょうか。

喉頭がんを治す目的で行う根治治療の選択肢は、下記の2つです。

  • 手術治療(外科的治療)
  • 放射線治療

喉頭がんの治療では、がんを治すことと共に、声を出す機能を温存すること(喉頭温存:こうとうおんぞん)が重要視されます。がんができた場所、がんのステージとともに、喉頭温存の希望に応じて治療方法を選択します。声門下がんの場合は放射線治療の効果が乏しいため、手術が選択されることが多いです。

図:喉頭がんの場所による分類。喉頭がんは声門上がん、声門がん、声門下がんに分けられる。

根治治療の選択肢は、手術治療と放射線治療になりますが、その他に、化学療法を行う場合もあります。化学療法の目的は、主に3種類に分けられます。

  • 導入化学療法
  • 放射線治療に組み合わせて行う化学療法
  • 延命目的の化学療法

導入化学療法は、手術治療か放射線治療かを選択する目的で行います。導入化学療法で効果があれば、化学療法併用の放射線治療を選択可能となります。

喉頭がんは、化学療法単独のみでは、根治は難しいがんです。化学療法単独で治療を行う場合は、遠くの臓器に転移がある進行がんや、再発した場合に、がんの進行を遅らせる目的で行います。

治療方法は、がんのできた部位と、がんのステージで主に決まります。治療選択には、がんの治療後にも声を出す機能を温存する(喉頭温存)希望の有無も考慮して行います。

がんのステージも重要ですが、がんのできた部位にも治療選択には重要です。声門がんや声門上がんでは、放射線の効果が高く、ステージが進んでも放射線治療を選択する場合もあります。一方、声門下がんでは放射線治療の効果が出にくく、早いステージでも放射線治療ではなく手術を選択される場合があります。

図:喉頭がんのステージごとの初期治療の例。

図:初期治療の選択の例

(「がん診療ガイドライン 頭頸部がん」を参考に一部改変して編集部作成)

上の図はステージごとの主な治療法の例です。「I期」「II期」というのは「ステージI」「ステージII」と同じ意味です。

  • ステージIの治療
    • 放射線治療
    • 喉頭温存手術
    • 喉頭温存手術+頸部郭清術
  • ステージIIの治療
    • 放射線治療
    • 化学放射線療法
    • 手術(喉頭温存手術または喉頭全摘術)
    • 手術(喉頭温存手術または喉頭全摘術)+頸部郭清術
  • ステージIIIの治療
    • 化学放射線療法
    • 化学放射線療法+頸部郭清術
    • 手術(喉頭温存手術または喉頭全摘術)
    • 手術(喉頭温存手術または喉頭全摘術)+術後補助化学療法
    • 手術(喉頭温存手術または喉頭全摘術)+頸部郭清術
    • 手術(喉頭温存手術または喉頭全摘術)+頸部郭清術+術後補助化学療法
  • ステージIVA・ステージIVBの治療
    • 化学放射線療法
    • 化学放射線療法+頸部郭清術
    • 喉頭全摘術+頸部郭清術
    • 喉頭全摘術+頸部郭清術+術後補助化学療法
  • ステージIVCの治療
    • 化学療法

喉頭温存手術の例として以下の方法があります。

  • 喉頭微細手術
  • 経口的切除術
  • 喉頭部分切除術
  • 喉頭亜全摘術

それぞれの手術方法は「喉頭がんの手術(外科的治療)はどんな治療?」に詳しく書いてあります。

頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)とは、頸部(首)のリンパ節を取り除くことです。頸部リンパ節転移がある場合には必ず頸部郭清術を行います。頸部リンパ節転移があって遠隔転移(離れた臓器への転移)がなければステージIII、IVA、IVBのいずれかにあたります。遠隔転移がなければ、もともと発生した場所のがん(原発巣)の治療に加えて頸部郭清術を行うことで、目に見える大きさの、すべてのがんを体から取り除けます。

リンパ節転移が診察や画像検査で確認できなくても、原発巣が大きい場合は、目に見えない小さな転移(潜在的転移)があると考えて、頸部郭清術を行います。

上図は初回の治療の選択です。

図には書いていないのですが、治療の前に導入化学療法を行うことがあります。大きな原発巣であった場合は、導入化学療法の効果を見て治療方針を決めます。導入化学療法を行って効果があった場合は、放射線治療(または化学放射線療法)を行い、効果がなかった場合は手術を行います。

ただし導入化学療法を行わない施設もあります。導入化学療法を行ったほうが生存期間を延ばしたり再発を防いだりする効果が高いかどうかは、まだ確実な証拠がなく、結論が出ていないためです。

IVC期においては、がんの根治を目指した治療が難しいため、がんの進行を遅らせる目的で化学療法を行うことがあります。

2. 治療法の選択の仕方:メリット・デメリットの把握

喉頭がんの治療方法を選択する際に重要なポイントは下記です。

  • がんのできた場所:声門、声門上、声門下のどこか
  • がんのステージ
  • 喉頭温存の希望:声を出す機能を治療後も残したいかどうか

喉頭がんの治療方法を選ぶときには、がんのできた場所と、ステージに応じた治療を選択します。加えて、声を出す臓器のがんであることから、治療方法によっては声が出なくなることもあります。治療後にも声を出す機能を温存する(喉頭温存)希望の有無も治療の選択時には重要です。

喉頭温存治療のメリットとデメリット

喉頭温存治療をした場合にはメリット、デメリットがあります。

喉頭温存治療の最大のメリットは声を出す機能が温存されることです。一方、喉頭温存をした場合のデメリットは嚥下機能(飲み込みの機能)の低下です。

喉頭温存治療とは、喉頭を取り除かない治療方法です。放射線治療(または化学放射線治療)や、喉頭温存手術(喉頭部分切除、喉頭亜全摘術など)が喉頭温存治療にあたります。

喉頭を取り除かない治療では、声を出す機能が残ります。しかし、喉頭温存治療の一部では嚥下機能が悪化します。喉頭温存手術の術後には、嚥下機能改善のために、長期間のリハビリを要します。放射線治療では、放射線により軟部組織が硬くなったり、飲み込みの反射の低下により、長期的にみると嚥下性肺炎誤嚥性肺炎)などを繰り返して、生存率が低下するという報告もあります。

喉頭温存をしない治療の場合、すなわち、喉頭を取り除く治療では声を出す機能が失われます。鼻や口に代わる新しい空気の通り道として、永久気管孔を作ります。永久気管孔での生活では、下記のような不都合を生じます。

  • 声を出せない
  • においをかげない
  • 鼻をすすることができない
  • 鼻をかめない
  • 麺類をすすることができない
  • 肩まで湯船につかることができない
  • 排便時に息めない
  • 痰が多くなる
  • 長期間の経過で気管孔が狭くなることがある

喉頭温存治療を行うかどうかについては、上記のメリット・デメリットを踏まえた上で、更に個々の病状や、全身状態の把握(Performance status(PS))、過去の病気の治療歴、治療前の嚥下機能、リハビリへの意欲、家族関係などを総合的に考えて、決定することが必要です。

喉頭温存治療を選択する場合に注意すべき点

喉頭温存治療をおこなうかどうかを検討する際は、下記の点などに注意する必要があります。

  • 嚥下障害が起こりやすいかどうか
  • 嚥下性肺炎誤嚥性肺炎)が起きた場合に重症化しやすいかどうか
  • 嚥下のリハビリテーションを継続できる理解力や意欲があるか
  • 嚥下機能が低下した場合に、嚥下食などの対応が可能かどうか
  • 音声コミュニケーションがなくなった場合の生活の困難の程度はどうか

説明します。

以前に脳卒中などの病気を経験した人や高齢者では嚥下機能が低下していることがあります。喉頭がんの治療前にすでに嚥下機能が低下している人では、喉頭温存治療を行った場合に、嚥下障害が更に悪化し、嚥下性肺炎を起こしやすくなるため、喉頭温存治療を選択しにくくなります。

嚥下性肺炎を起こした場合の重症化のしやすさも、喉頭温存治療を選択できるかでは重要なポイントです。例えば、肺がんの術後、喫煙による慢性呼吸器疾患、心臓疾患などがある場合は、肺炎が重症化しやすいことがあります。

喉頭温存治療では長期間の嚥下リハビリテーションが必要になることがあります。認知機能が低下していたり、リハビリに対する意欲や、モチベーションがない場合は、嚥下機能が改善するまでリハビリを続けることが難しい可能性があります。そのような場合には、最初から喉頭を摘出する治療を行うほうが、治療後の誤嚥性肺炎のリスクを考えると、安全かもしれません。

嚥下機能が低下した場合には、通常の食事では肺炎を起こしてしまうことがあるため、とろみがついた食事などに変更する必要がでてきます。自己管理がうまくできない場合は、通常の食事で肺炎を繰り返して致死的になる可能性もあります。自宅で嚥下食を用意できない場合もあると思います。最近では、嚥下食を宅配するサービスもあります。そのようなサービスを利用できるかも確認しておくとよいでしょう。

喉頭温存ではなく、喉頭を取り除く手術をした場合には、音声コミュニケーションができなくなります。天涯孤独で身寄りがない場合や、家族と疎遠で単身独居などの場合には、社会での生活の維持が困難となる可能性があります。自治体で緊急連絡をするサービスなどを導入しているところもあります。音声を失った後の生活が可能かも考慮する必要があります。

上記のような点を踏まえた上で、自身の病状や希望に合わせて、治療を選択するのがよいでしょう。病状などの不明点は担当医に何でも聞いてみましょう。自分自身が納得できる治療を選んで受けることが大事です。診断や治療法を十分に納得した上で治療を始めましょう。

セカンドオピニオンと言って、担当医以外の医師の意見を聞くこともできます。担当医に言いにくいという方もいると思うのですが、セカンドオピニオンを聞くことは、最近では一般的なことなので、遠慮せずに伝えてください。

3. 喉頭がんとリハビリテーション

喉頭がんで行うリハビリテーション(リハビリ)には下記のものがあります。

  1. 摂食・嚥下(飲み込み)のリハビリテーション
  2. 発声・構音のリハビリテーション
  3. 肩の動きのリハビリテーション

放射線治療や、喉頭部分切除術では嚥下障害が必発であるため、摂食・嚥下リハビリテーションが必要になります。発声・構音のリハビリは、喉頭部分切除術や喉頭全摘術を行った場合に必要となります。肩の動きのリハビリについては頸部郭清術を行った場合に必要となることがあります。

摂食・嚥下のリハビリテーション

放射線治療を行った場合には、嚥下障害が出ることがあります。放射線による粘膜障害とともに、嚥下に関する筋肉が硬くなるため、嚥下障害が起こります。放射線治療前から嚥下機能低下の予防のために、リハビリを行う病院もあります。口や舌の運動をして飲み込む動作を鍛えます。

喉頭部分切除術では、新しい喉頭を作るため、発声障害嚥下障害が起こります。術後には、発声障害と嚥下障害の両方のリハビリが必要です。手術直後は嚥下が困難なため、経管栄養(チューブから胃や腸に栄養物を流し込むこと)を必要とします。嚥下機能の回復の速度には個人差があり、根気よくリハビリが必要になります。喉頭部分切除では、嚥下機能低下が必発なため、もともと嚥下機能が低下している高齢者にこの手術を行った場合は、嚥下性肺炎誤嚥性肺炎)のリスクが高くなります。喉頭部分切除術は、術前の嚥下機能が保たれている場合に限ります。

発声・構音のリハビリテーション

発声や構音のリハビリは喉頭部分切除術後や、喉頭全摘術後に行います。喉頭部分切除後は、新しい喉頭ができるために、その喉頭での発声練習を行います。

喉頭全摘術では喉頭をとってしまうので、自分の声がでなくなってしまうため、電子喉頭などの道具を使って、コミュニケーションをとる方法をリハビリする必要があります。代替発声方法については「声を失ってしまったら何をする?」でも説明しています。

肩の動きのリハビリテーション

頸部郭清術では、副神経を手術中に触るため、副神経麻痺を生じることがあります。副神経というのは首や肩を動かす筋肉を支配している神経です。切断せずに、触った場合のみでも不全麻痺を生じます。頸部郭清術を行った側の肩があがりにくくなったり、肩が重い感じがしたり、ひどい肩こりのような感覚になります。肩が重いからといって、動かさないでいると、副神経が支配する僧帽筋が萎縮して、更に症状が悪化します。手術後に、手が上がりにくいような症状がある場合は、主治医に相談してリハビリを開始しましょう。一般的には、手を横に広げる動作をすると、水平のラインより上に肩が上がりにくくなる症状がでます。できるだけ高く手を挙げるような運動をすることで、リハビリになります。

4. 喉頭がんと緩和治療

緩和治療ときくと、末期がんの状態に行う治療という印象をもつ方も多いかもしれません。以前はある一定の時期が来たら、がん病変の治療から、緩和ケアへ移行するという考え方でしたが、現在では緩和治療をがんの積極的治療と平行していくことが良いとされています。

喉頭がんの治療においては、手術前の腫瘍による痛みの緩和や、抗がん剤や放射線治療に伴う、嘔気や食欲不振などの副作用に対する治療も緩和治療の1つです。身体的な症状の他にも治療を行います。がんと診断されたことは、程度の差はあっても、大きなショックとなり、ひどく落ち込んだり、落ち着かなかったり、不眠になることもあります。このような心のつらさを支えるのも緩和治療です。

緩和治療では、がんに伴う体の苦痛や、気持ちの辛さを少しでも和らげるためのサポートを行い、それぞれの患者さんがその人らしく、過ごせることを重要視しています。痛みや辛いことを我慢するのではなく、人に伝えることで苦痛を和らげる一歩になります。がんと診断されたとき、治療中から治療後にかけても、痛みや気持ちのつらさがある場合は、いつでも主治医や、看護師、がん相談支援センターなどに相談してください。

がん診療連携拠点病院の指定を受けている医療機関には、緩和治療に対応できる機能があり、入院だけでなく外来診療でも対応できるようになってきています。現在受診している医療機関が、緩和治療に対応していない場合でも、ほかの医療機関と提携することもできます。

緩和治療に関しては、肺がんの解説の中にある「緩和治療って末期がんに対して行う治療じゃないの?」のページで詳しく解説しています。

喉頭がんに特有な緩和治療は?

喉頭は空気の通り道にあり、食べ物の通り道にも近いため、喉頭がんの病状が進行すると下記の問題が出てきます。

  • 呼吸がしにくくなる
  • 食べ物が通らなくなる

呼吸がしにくくなった場合の対処方法としては、手術で呼吸経路を確保する方法と、息苦しさの症状を緩和する薬物療法があります。

食べ物が通らなくなった場合の対処方法としては、胃などに直接栄養剤を入れる方法と、点滴で栄養補給を行う方法があります。

それぞれの治療に利点や欠点があります。個々の病状に応じて、担当医と相談しながら治療を決めていきましょう。詳しい説明を下記にします。

呼吸が苦しい時の治療:気管切開とは?

喉頭がんでの緩和治療には様々ありますが、下咽頭がんなどと同様に、頭頸部がんに特徴的な進行がんの症状として、息苦しさや呼吸困難があります。

喉頭がんではがんのできる部位が呼吸経路に一致しているため、がんが大きくなった場合には息苦しさがでることがあります。酸素の取り込みも低下するため、窒息する可能性があります。息苦しさをとる治療方法としては、手術で呼吸経路を確保する方法と、息苦しさを緩和する薬物療法があります。息苦しさを緩和する薬物療法では、呼吸経路は確保されていないため、いずれ窒息してしまう可能性があります。

手術で呼吸経路を確保する場合は気管切開という手術を行います。

気管切開では頸部の鎖骨の間あたりの皮膚を3-5cmほど切開し、皮下の筋肉を避けて、気管に穴をあけます。気管の穴に、直径10mm程度のシリコン製のチューブ(気管切開チューブ、気管切開カニューレ)を入れて、そのカニューレを通して呼吸ができるようにします。

気管切開を行う利点は、呼吸経路を確保して窒息を回避できることです。

気管切開を行う欠点は、声がでなくなること、咳や痰が多くなること、食べ物が飲み込みにくくなること、首までお風呂につかれないこと、便をいきめないことなどがあります。

私たちが、声を出すのに必要な条件は、声門に十分な量の空気が通ることと、声門が閉じることです。気管切開を行った直後は、声門に空気が通らない気管切開カニューレを使用します。声門に空気が通らないので、声がでません。気管切開カニューレの種類によっては、声を出せるものがあり、病状に応じて変更することも可能です。

しかし、もともと、がんの影響で声帯が動いていない場合は、声門が閉じないため、カニューレを変更しても、声はでません。

喉頭がんで気管切開をする場合はどんなとき?

  • 診断前に呼吸の経路が狭くなり、窒息しそうな時
  • 再発などで喉頭がんが大きくなって、呼吸が苦しくなった時
  • 喉頭部分切除術や喉頭亜全摘術を行う時

気管切開は呼吸ができるように行うものです。呼吸の経路が狭くなっている場合や、手術で呼吸の経路が狭くなることが予想される場合に行います、一度おこなった気管切開を閉じられるかは、病状に応じて異なります。

例えば、呼吸が苦しくなって受診して喉頭がんが疑われた場合、まず呼吸の経路を確保するために気管切開を行うことがあります。その後に検査を行い、がんの診断とステージを決定し、手術か放射線治療などの治療を検討することもあります。手術で喉頭全摘術などを行う場合は、声を出すことができなくなります。放射線治療を行った結果、がんが小さくなって呼吸ができるようになった場合には、気管切開を閉じることも可能です。気管切開を閉じた後は、声が出るようになり、会話が可能となります。

再発などで喉頭がんが大きくなった場合、追加の治療で喉頭がんが小さくなれば、気管切開を閉じることができますが、追加治療が難しい場合は、気管切開をしたままになります。

喉頭部分切除術や喉頭亜全摘術を行う場合は、手術時に気管切開を行います。手術で喉頭がむくんで呼吸の経路が狭くなるためと、咳き込みなどで喉頭の縫合部分に圧がかからないようにするためです。嚥下リハビリテーションが進んだ時点で、気管切開を閉じることが多いです。

食事が摂れない時の治療:胃瘻やCVポートとは?

喉頭がんが大きくなると、食事の通り道も塞ぐことがあります。その他に、放射線治療を行い、粘膜炎が悪化した場合でも、食事が口からとれなくなることがあります。

口から水分のみでもとれる場合は、栄養剤で栄養補給を行います。

水分も通らなくなった場合には、栄養補給の経路を作成することを検討します。

栄養補給の経路は下記のものがあります。

  • 経鼻胃管(けいびいかん)
  • 胃瘻(いろう)
  • 中心静脈栄養(ちゅうしんじょうみゃくえいよう)

病状に応じて、食事が摂れない期間の長さを考えて、どの方法にするか検討します。

経鼻胃管は、鼻から胃に栄養チューブを通して、栄養剤を入れる方法です。簡便な方法ですが、のどの奥に常にチューブがあるため、違和感があることや、チューブが細いため、詰まることがあるなどの欠点があります。基本的には入院での管理が必要です。

胃瘻は胃に穴をあけて栄養補給のチューブを置く方法です。胃の手術後などで、胃がない場合などは小腸に穴をあける腸(ちょうろう)にすることもあります。胃瘻は上部消化管内視鏡胃カメラ)を用いて作ることが可能ですが、胃の手術後などの場合は、全身麻酔でお腹をあけて(開腹)手術をする必要があります。

胃瘻は経鼻胃管に比べて、在宅での管理が可能で、チューブが詰まりにくい利点があります。放射線治療の時などで一時期のみ使用する場合は、不要になったら、閉じることが可能です。

中心静脈栄養は、体幹に近い太い血管に太い点滴のチューブ(中心静脈カテーテル)を留置して、カロリーの高い点滴をする方法です。一時的に使用する場合は、首や足の付け根の血管から入れますが、長期間に使用する場合は、CVポートを埋め込みます。

CVポートは正式には皮下埋め込み型ポートといわれます。局所麻酔での手術で埋め込みが可能で、皮膚の下に埋め込んで薬剤を投与するために使用します。CVポートは、100円硬貨程度の大きさの本体と薬剤を注入するチューブ(カテーテル)でできています。多くの場合は、鎖骨の下の血管からカテーテルをいれ、右または左の胸の皮膚の下に埋め込みます。体の中に埋め込みますので、外からはほとんど目立たず、入浴も可能です。

利点としては、長期間、長時間の点滴加療が可能で、在宅でも使うことができます。針の抜き刺しは医師や看護師、もしくは患者さんで行うことができます。欠点は、カテーテルなどの感染が起こりうる点です。