さるこいどーしす
サルコイドーシス
全身の臓器に肉芽腫(免疫細胞の集まり)ができる病気。原因は不明。主に、肺、眼、皮膚、心臓などの臓器にダメージが生じる
10人の医師がチェック 215回の改訂 最終更新: 2021.06.04

サルコイドーシスの検査について:血液検査、画像検査など

サルコイドーシスが疑われる場合には問診や血液検査、画像検査などを行い、身体の状態を把握していきます。肉芽腫があるかどうかが診断のポイントになるので、可能であれば病気のできた場所(臓器)の一部を採取し、顕微鏡で肉芽腫の有無を確認します。

1. 問診

問診とはお医者さんからの質問に答える形で、患者さんが困っている症状や身体の状態、生活背景を伝えることをいいます。問診では以下のポイントをよく聞かれます。

  • どんな症状があるか
  • 持病があるか
  • 飲んでいる薬は何かあるか
  • 家族で何か病気をもっている人はいるか
  • アレルギーがあるか

問診を通してサルコイドーシスを疑う症状があるかを確認していきます。また、アレルギーがある人には治療薬の選択肢が限られることもあります。そのため、これらの質問は治療法を決めるうえでも大事なものです。

身体の変化には自分自身が一番気付きやすいので、可能な範囲で構わないので問診時に説明するようにしてください。お医者さんが診察しただけでは見つけられない病気のサインが問診からわかることがあります。

2. 身体診察

身体診察は身体の状況を客観的に評価することをいいます。サルコイドーシスでは特徴的な発疹が出ることがあります。また、サルコイドーシスが原因で目に異常が出たり、関節が腫れたりすることがあります。身体診察では、これらのサルコイドーシスを疑わせる症状がないか確認していき、診断につなげています。

3. 血液検査

血液検査はサルコイドーシスに特徴的な検査値の異常の有無の確認や、内臓の障害を見つけるために行われます。サルコイドーシスでは特に以下の項目が重要です。

  • アンジオテンシン変換酵素(ACE)
  • リゾチーム
  • 可溶性IL-2受容体

あまり聞き慣れない検査項目ばかりだと思いますが、サルコイドーシスではこれらの値が高くなるのが特徴です。

また、血液検査は内臓の障害を見つけるのにも役立ちます。例えば、サルコイドーシスにより障害を受ける臓器に腎臓があります。腎臓に問題があっても症状が出にくいので診察から見つけるのは困難ですが、BUN(ビーユーエヌ)やクレアチニンなどの血液検査項目で腎臓の状態を調べることができます。

4. 尿検査

サルコイドーシスでは腎臓が障害されることで、尿に本来見られない異常な物質が混ざることがあります。BUN(ビーユーエヌ)やクレアチニンなどの血液検査項目で腎臓の障害を見つけられるのは、腎臓が受けたダメージが大きくなってからです。しかし、尿検査をすると血液検査では見つけられない、より早期のダメージも検出することができます。

腎臓は一度障害されると回復が難しい臓器の一つです。そのため、尿検査でできるだけ早い段階で腎臓の障害を発見し、腎機能を保つ治療を始めることが非常に大切です。

5. 胸部レントゲン検査・胸部CT検査

胸部レントゲン検査はX線を胸の正面や横からあて、その吸収率を測定することで肺の中身をみる検査です。サルコイドーシスでは、肺に異常な影が現れたり、肺の近くのリンパ節の腫れを起こします。胸部レントゲン検査でサルコイドーシスを疑う異常がないかを中心に見ていきます。

胸部レントゲン検査では影絵のように肺を見ていますので、どうしても得られる情報に限界があります。そのため、より詳しく胸や肺の状態を調べる必要がある場合には胸部CT検査を行い、精密検査を行います。ただし、CT検査は胸部レントゲン検査と比較すると放射線の被ばく量が多いので最初から行われることはあまりありません。異常がないかの簡単なチェックとしてまず胸部レントゲン検査を行い、胸部レントゲン検査から怪しい部分が見つかった場合に胸部CT検査で調べる、といった流れをとることが多いです。

6. 気管支鏡検査

気管支鏡検査は気管や気管支、肺を調べる内視鏡検査の一つです。直径5mm程度のカメラがついた気管支鏡を口または鼻からいれて、気管、気管支へと進めながら異常がないかどうかを観察します。

また、気管支鏡を用いて肺に水を注入して回収し、その水に含まれる細胞の種類を調べる検査が行われることもあります。これを「気管支肺胞洗浄検査」と呼びます。サルコイドーシスに特徴的な細胞が増えている場合には、診断の手がかりになります。

7. ガリウムシンチグラフィー・PET-CT検査

ガリウムシンチグラフィーPET-CT(ペットシーティー)検査はアイソトープと呼ばれる物質を注射することで、サルコイドーシスになっているかを調べられる検査です。これらの検査で使用するアイソトープにはサルコイドーシスが起きている場所(臓器)に取り込まれる性質があります。

ガリウムシンチグラフィーとPET-CT検査は放射線の被ばくがあるので、妊娠中の人には原則として行いません。妊娠中、妊娠の可能性がある人は、お医者さんに相談するようにしてください。

8. 生検

生検とは身体の中の異常が起きている場所の一部を切り取ってきて、実際にどのようなことが起きているかを顕微鏡で確認する検査です。生検には切り取る場所に応じて「皮膚生検」、「腎生検」、「筋生検」などがありますが、ここでは特に行われる頻度が高い「皮膚生検」の具体的な検査の流れを紹介していきます。

  1. 生検をする場所の消毒を行います。(生検をする場所の毛が多い場合には、事前に毛を剃ることもあります)
  2. 生検部位の麻酔を行います。
  3. 麻酔が効いているのを確認した後、メスなどで皮膚の一部を切り取ります。
  4. 皮膚を切り取った後は、ガーゼで圧迫して出血を止めます。出血が止まっているのが確認されたら、切り開いた場所を糸で縫います。その後ガーゼで保護します。
  5. 7-14日程度たったところで傷を縫っていた糸を切り取ります。

出血や傷口からの感染症に注意しながら生検は行われます。もし、検査後に傷口がんだりする場合には、担当のお医者さんに相談するようにしてください。

9. 蛍光眼底造影検査

蛍光眼底造影検査は目の中の状態を確認するための検査です。造影剤といって目の中を観察しやすくするための薬剤を注射して行います。

この検査はサルコイドーシスによる目の障害がないかを調べるために行われます。まれに造影剤に対するアレルギー反応が起きる人がいるので注意が必要です。検査は眼科で行われ、所要時間は2-3時間です。