ぱにっくしょうがい
パニック障害
突然のパニック発作を起こし、生活に支障が起こる状態。不安障害の中の一つ
9人の医師がチェック 138回の改訂 最終更新: 2018.09.26

パニック障害における仕事の付き合い方、辞めた方が調子が良くなる場合

パニック障害は仕事の不安や緊張によって悪化することもあれば、仕事中にパニック発作が起きたらどうしようという不安に苦しむことも多いです。パニック障害の人が仕事を続ける工夫、仕事の辞め方について説明します。

パニック障害とは、突然激しい動悸や胸苦しさ、冷や汗、めまいが起きて、このまま死んだり狂ったりするのではないか、という恐怖感におそわれる病気です。パニック障害を抱える人は、「仕事中にパニック発作を起こしたらどうしよう」「もしかしたら仕事が原因で症状が悪化しているかもしれない」「仕事を辞めた方がいいのではないか」など、仕事で悩むこともあると思います。

パニック障害を抱えながらうまく仕事を続けるコツは、「安心できる環境づくり」です。そのためには自分ひとりでは出来ないことも多く、職場の同僚や上司の協力が必要なことも多いです。人によって、職場の環境によって出来ることと出来ないことがあるとは思いますが、今から紹介することの中から、自分に合っている方法を試してみてください。

1. 職場の同僚や上司の理解

パニック障害では、自分の病気と状況を正しく理解してくれる人が側にいるだけで安心しますし、職場でパニック発作が起きてもなんとかなる、という安心感もあります。そのためパニック障害のことを同僚や上司に打ち明けて、状況を正しく理解してもらうことは、仕事とうまく付き合っていく上でとても大切です。

「そうはいっても職場には言いにくい」という人は多いと思います。一般的に自分の病気のことを職場に打ち明けるのは勇気や思いきりが必要ですし、パニック障害のような心や脳の病ではなおさらそうでしょう。

パニック障害の治療全体に言えることですが、職場に打ち明けることを無理に焦る必要はありません。「同僚や上司は、パニック障害という病気や自分の状況を理解してくれそうか」「打ち明けることで、どれくらい自分の安心感が増すだろうか」「打ち明けることで、仕事の環境をより安心できる場に改善できそうか」といったことを考えてみて、打ち明けるメリットが大きいと判断したら、そうしてみてください。

その際には、「パニック障害という病気」と「自分の状況」の両方を正しく理解してもらう必要があります。後者の「自分の状況」については、正直に打ち明けて、お互いが向き合っていくことで、理解が進んでいきます。前者の「パニック障害という病気」については、まず同僚や上司が正しい情報を手に入れることが肝心です。

2. 相談しやすい場づくり

「安心できる環境づくり」をしていく上で、職場の同僚や上司に「相談できること」で得られる安心感は大きいと思います。職場には、以下のような不安と緊張の原因となるものがたくさんあります。

  • 新しい企画や仕事、ポジション、チーム
  • 数字で表される目標や競争
  • 仕事での失敗
  • 毎日の残業や休日出勤をしなければいけないほどの忙しさ
  • 上司や周囲からのプレッシャー
  • 病気で仕事が遅かったり、休んだりすることへの罪悪感や申し訳無さ

ストレスはパニック障害の症状を悪くしますし、パニック発作の引き金にもなります。そのため、上記のような原因となりうるものをできるだけ避けることも大事な対処法になります。

一方、パニック発作が起きてもすぐに逃げたり休んだりできない状況は、「今パニック発作が起きてしまったらどうしよう」という「予期不安」を悪化させてしまいます。例えば、以下のような状況が考えられます。

  • 会議や朝礼
  • 満員電車

「安心できる環境づくり」のためには、今置かれている環境や状況が自分の症状を悪くしていないか、一度考えてみてください。同僚や上司は仕事と職場のことをよく知っているので、彼らとの相談が何かの気付きのきっかけになるかもしれません。
 
例えば、満員電車が苦痛で「あんな狭くて身動きも出来ないような場所でパニック発作が起きたらどうしよう」という不安が強い場合、例えば通勤の時間帯をずらすことで満員電車を避けることが出来るのですが、そのためには職場の上司の協力が不可欠でしょう。

パニック障害を抱えながら仕事を続ける場合、仕事でちょっと困ったこと、ちょっとした不安も定期的に相談できる場があると、かなりの安心感を得ることができます。

3. 仕事において、自分の不安や緊張の原因を1つずつ改善する

前述したように、仕事や職場には自分の不安や緊張の原因となっているものが多く存在します。パニック発作の引き金になることもあれば、パニック発作が起きるのではないかという「予期不安」をますます大きくする原因であることもあります。

いずれにせよ、そういった原因をひとつずつ改善していくことで、少しずつ「安心できる環境」が出来ていきます。

満員電車が苦痛の場合、車通勤に切り替えるという方法であれば、自分ひとりでも実行できます。パニック障害を抱えながら仕事をしている人の中には、自分の病気のことを職場に打ち明けている人もいれば、打ち明けていない人もいるはずです。どちらがいいと一概に言えるものでもないですが、各々の状況にあわせて、できることからひとつずつやっていきましょう。繰り返しになりますが、パニック障害を治さなければいけないと思うのではなく、ゆっくりと上手く付き合いながら、症状をよくしていきましょう。

4. どんな時に仕事を辞める必要がありますか?

ここまでは、できるだけうまく仕事や職場と付き合いながら、パニック障害に対処していく方法を述べてきました。しかし、職場の環境が合っていない場合は、どのような方法をとっても上手くいかない事もあります。例えば、次の通りです。

  • 職場の理解が得られにくい場合:上司や同僚の理解が得られにくく、「甘え」だと言われてしまう
  • ストレスが大きい場合:会社や部署が抱える仕事量が多すぎて、自分の仕事量を減らしたり、休んだりできない
  • 予期不安が強い場合:会議やイベントなど、仕事柄パニック発作が起きても休めないこと状況が多い

 
このような場合は、仕事を続けるのが難しい可能性が高いです。


「仕事を辞めたら生活費はどうしよう」「復帰して再就職できるだろうか」「仕事を辞めて症状が悪化しないだろうか」など、不安や悩みは尽きないはずです。先のことは誰にも分からないのですが、一度仕事を休んでみたり、転職したり、うまく環境を整えることで、パニック障害とうまく付き合いながら復帰して仕事をしている人はたくさんいます。

パニック障害と仕事のことで悩んでいる場合、まずは「安心できる環境づくり」のために、改善できることはやってみましょう。その上で、うまくいかなかった場合は、休職したり、仕事を辞めたりするのも選択肢として十分にありえます。無理に仕事を続ける事で、症状が悪化する可能性もありますので注意が必要です。

ただし、仕事を辞めるかどうかは非常に大きな決断です。人間はストレスを強く感じている場面では的確な選択ができなくなりがちです。大きな決断は少し気持ちが落ち着いてから行っても遅くはありません。あまり慌てないように気をつけてください。

5. 主治医や産業医とよく話し合ってみてください

自分の病気や状況のことを一番よく知っているのは、当然自分自身ですが、医師は同じ病気の他の患者をたくさん診てきています。少し離れた立ち位置から客観的に考えることができますし、あるいは他の患者の例からよくあるパターンを知っています。特に仕事を休職する、辞める、再就職するといった決断のタイミングでは、主治医や産業医の意見を参考にしてみたり、場合によっては診断書を書いてもらうなど、支援してもらえることも少なくありません。自分一人で考えるのではなく、専門家と相談しながら決めていくことも大切です。