ぱにっくしょうがい
パニック障害
突然のパニック発作を起こし、生活に支障が起こる状態。不安障害の中の一つ
9人の医師がチェック 138回の改訂 最終更新: 2018.09.26

パニック障害について家族や周りの人が知っておきたいこと、上手な接し方

パニック障害は、家族や周りの人のサポートが大切である一方で、周りから正しく理解されないために、苦しんでいる人も多い病気です。ここでは、パニック障害の理解に役立つポイントと接し方のコツを説明します。

パニック障害は、突然激しい動悸や胸の苦しさ、冷や汗、めまいが起きて、このまま死んだり狂ったりするのではないか、という恐怖感におそわれる病気です。パニック障害には不安や恐怖の感情が大きく関係していて、これらの感情はパニック障害の原因になりえますし、パニック障害の悪化やパニック発作のきっかけにもなりえます。

このような状態は環境も大きく関係していて、周囲のサポートが非常に大切です。しかし、現実として、見ず知らずの病気について理解してくれる人もなかなかいないこともあります。

ここでは、パニック障害について家族や周りの人が知っておきたいこと/接し方を紹介していきます。

1. パニック障害のことを正しく理解して欲しいという思い

パニック障害は以下のような特徴をもつ病気です。 

  1. パニック発作(不安発作):突然激しい動悸や胸苦しさ、冷や汗、めまいを生じて、数分から1時間以内で治まる。発作中はこのまま自分が狂ったり、死んだりするのではないか、という異常に強い恐怖感におそわれる
  2. 予期不安:「またパニック発作におそわれたらどうしよう」「パニック発作が起きて死ぬかもしれない」という強い恐怖感が1ヶ月以上続く
  3. パニック発作に対する恐怖によって、何かを避ける行動:一人で外出するのをやめたり、人が多いところに出かけなくなったりする

これらの症状に加えて、家族や周囲の人に知っておきたいことは以下の4つです。

  • パニック障害という病気が存在すること
  • 心が関係した病気だが、実際に動悸やめまいといった体の症状が表れること
  • 本人の「弱さ」や「甘え」が原因ではないこと
  • パニック障害の治療には時間がかかり、病気と上手く付き合っていく必要があること

特にパニック発作を初めて起こしたときは、動悸や息苦しさ、震え、冷や汗、めまいといった症状の強さに本人も周りの人も驚き、救急車を呼ぶことも多いです。病院に着いて、医師の診察を受ける頃には症状が治まっていて、心電図レントゲンCT検査、採血検査などの検査を一通り終えて、「何も悪いところはありませんし、症状も落ち着いたようなので帰って大丈夫です」と言われて拍子抜けしたり、結局原因が分からずにもやもやしてしまったりすることがよくあります。

そういった発作を繰り返していると、家族や周りの人の中には「苦しいふりをしているだけではないか」「心が弱いだけだ」と思ってしまう人もいます。しかし、パニック障害は病気であり、実際に同じ症状の人が他にも多くいます。また、心が深く関係した病気ですが、実際に体の症状があらわれ、本人は苦しんでいることに間違いはありません。心の「弱さ」や「甘え」の問題ではないのです。

またパニック発作では、以下のような症状が表れることを知っておいても良いでしょう。

  • 動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
  • 発汗
  • 身震い
  • 息切れ感または息苦しさ
  • 窒息感
  • 胸痛または胸部不快感
  • 嘔吐または腹部不快感
  • めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
  • 冷感または熱感
  • 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
  • 現実感消失(現実でない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
  • 抑制力を失う、または”どうにかなってしまうこと”に対する恐怖
  • 死ぬことに対する恐怖

2. パニック発作には落ち着いて対処する

パニック発作は過呼吸につながることもあり、初めて経験した人は驚くかもしれません。しかし、実際はパニック発作の持続時間は長くても1時間以内です。いずれ治まるので、慌てずに側に付き添ってあげて下さい。

また過呼吸になった場合は、声をかけてゆっくり呼吸をしてもらってください。かつては過呼吸に対してペーパーバッグ法といって、ビニール袋や紙袋を口に当てて呼吸する方法が勧められていましたが、低酸素による死亡例も報告されているため、今では推奨されていません。ゆっくり呼吸をしてもらったり、あるいは話しかけて喋ってもらう方法もあります。(人は喋っているとき、呼吸をしません。)

3. 本人が不安、緊張を感じる場所、状況を避けるのを手伝う

パニック障害の人は、特に不安、緊張を感じる場所、状況があります。例えば、以下のような状況です。

  • 公共交通機関(バス、電車、飛行機など)
  • 広い場所(駐車場など)や囲まれた場所(お店やレストラン、映画館など)
  • 列に並んだり、人の群れの中にいること
  • 一人で自宅の外に出かけること

このような不安や緊張を感じる場所や状況を家族や周囲の人が知っておくことで、その状況を避けたり、支援することができます。

4. そばに付き添ってあげる

パニック障害の人にとって、信頼できるひとが側にいることによる安心感はものすごく大きいです。特に一人で外出できない人も多いので、一緒に出かけることがリハビリにもなります。ただし、何でも言うことを聞いて、本人に依存されてしまうのもよくないため、適度な距離感も大切です。

もし一緒にいるときに、本人が辛そうにしている場合は、人が少なくてゆっくり落ち着ける場所に誘導したり、休むことを提案してみてください。

パニック障害の人が安心して外出するには、家族や周囲のサポートが非常に大切です。こうすればパニック障害は良くなる、という確立された接し方はないのですが、人によって、あるいは状況に応じて上手くあわせることで、着実に良くなることを手助けできます。安心や落ち着きが本人のとってなによりの治療薬になるのです。