[医師監修・作成]腎盂腎炎(腎盂炎)にならないまたは重症化させないための注意点 | MEDLEY(メドレー)
じんうじんえん
腎盂腎炎
腎臓と尿管のつなぎ目にあたる「腎盂」に炎症が起こった状態。原因のほとんどは細菌感染である。
13人の医師がチェック 190回の改訂 最終更新: 2022.01.28

腎盂腎炎(腎盂炎)にならないまたは重症化させないための注意点

腎盂腎炎になると高熱や腰背部痛など様々な症状が現れて辛いものがあります。腎盂腎炎にならないためにはどうすればいいのでしょうか?腎盂腎炎にならないことや重症化させないために大切なことを解説します。

1. 腎盂腎炎を予防するためにできることは?

腎盂腎炎(じんうじんえん)は高熱や腰背部痛、嘔吐などつらい症状が現れます。腎盂腎炎を一度経験するともう二度とはなりたくはないでしょう。腎盂腎炎は予防できるのでしょうか?

生活習慣での工夫

腎盂腎炎の原因となる菌は膀胱(ぼうこう)から上行して腎盂に至ります。

【尿路の模式図】

図:尿路の模式図

難しい表現ですが、要は尿の流れと逆の方向に細菌が移動しています。細菌を腎盂に到達させないためにはできるだけ尿の流れをたもって細菌を洗い流すようにすることが大切です。腎臓は摂取する水分の量によって作り出す尿の量を調節しています。適度な量の水分を摂取して尿の量を確保することが大切です。

男女別の注意すること

男性と女性では体の構造が異なり、尿路という尿の流れる通り路にも違いがあります。

男性と女性の体の作りの違いは腎盂腎炎の発症に大きく影響しています。このため予防という観点でも男女で少しずつ講じる対策が異なります。

【男性が注意すること】

男性は女性に比べると腎盂腎炎を発症することは少ないです。

しかし男性の中でも腎盂腎炎に注意が必要な人がいます。男性は女性と異なり膀胱の出口に前立腺という臓器があります。前立腺は加齢とともに大きくなります。前立腺が大きくなると尿の流れを妨げて排尿の勢いが弱くなったりします。

【男性の骨盤の図】

図:男性の膀胱の周り。前立腺肥大症は尿の流れを妨げる。

排尿の勢いが弱くなると細菌を押し流す力も低下して細菌が膀胱や腎盂に入り込みやすくなります。

腎盂腎炎を起こさないようにするには、尿の勢いを保ち細菌が膀胱や腎盂に入り込まないようにすることがよい効果を生むと考えられます。

前立腺肥大症に代表される尿が出にくい症状は腎盂腎炎が起こる危険性を上昇させます。腎盂腎炎の予防という意味でも前立腺肥大症などの治療をしておくことは大切です。

【女性が注意すること】

女性は男性に比べて腎盂腎炎を発症しやすい傾向にあります。その理由は以下のためです。

  • 男性に比べて尿道が短い
  • 外尿道口が肛門や膣が近い場所にある

【女性の骨盤解剖の図】

図:女性の膀胱の周り。尿道は男性より短く、外尿道口は膣や肛門の近くにある。

女性は男性に比べて尿道が短く細菌などが膀胱や腎盂などに入り込みやすい身体のつくりになっています。また女性の外尿道口は膣や肛門と近い場所にあるので腎盂腎炎の原因となる大腸菌などが入り込みやすいということも腎盂腎炎になりやすい条件の一つです。

腎盂腎炎にならないように女性ができる工夫はあるのでしょうか。予防策として細菌の侵入する可能性を減らすことを考えてみます。

性行為は女性が膀胱炎や腎盂腎炎を発症する危険性を上昇させるものとして知られています。女性の身体の構造上、性行為によって細菌が尿路(膀胱や腎盂など)に入り込みやすいです。性行為による腎盂腎炎を予防するには性行為後の排尿や性行為前後で清潔を保つことなどが有効な可能性があります。

ウォシュレット®のような温水洗浄便座による過剰な洗浄も尿路に細菌が入る可能性を高める恐れがあります。女性は男性に比べて肛門と外尿道口(尿の出口)が近いのでウォシュレットなどで過度に洗浄しすぎると肛門の大腸菌が外尿道口に付着して膀胱や腎盂に到達する危険性が増すと考えられます。したがってウォシュレットなどでは過度な洗浄はしないような心がけが腎盂腎炎の予防にも有効に働くかもしれません。

2. 腎盂腎炎に早く気づくには?その後はどうすればいい?

腎盂腎炎は症状が悪化しやすいことでも知られています。そのためにできるだけ早く発症に気づいて対応することが大切です。ではどのようにすれば早く気づくことができるのでしょうか?また適切に対応するには何に注意をすればいいのでしょうか?

腎盂腎炎に前兆はある?

腎盂腎炎の症状は発熱や腰背部痛、吐き気・嘔吐、悪寒など多様です。これらの症状は他の病気が原因でも現れる症状なので前兆としてはあまり頼りにできません。

受診を考えるのはいつなのか?

頼りになる前兆に乏しい腎盂腎炎ですが、医療機関の受診を考えるのはいつが適切なのでしょうか。もし過去に腎盂腎炎を経験していてその時と似た症状があるならば速やかに医療機関を受診した方が無難でしょう。

腎盂腎炎を経験したことのない人の場合は受診の適切なタイミングを図るのはさらに難しいです。少なくとも発熱や悪寒、腰背部痛の症状が強くなってきたときには腎盂腎炎かもしれないと考えて病院を受診することが望ましいと思います。

腎盂腎炎は時間がたつと細菌が血液の中に侵入する菌血症を起こしたりと対応が遅くなるほどに状態も悪くなります。受診の機会を先延ばしにすると状態が悪化してしまいその後に治療を要する時間が増えてしまうこともありえます。

発熱や悪寒戦慄、腰背部痛などは腎盂腎炎に限った症状ではありませんが他に緊急性の高い病気を発症していることは十分に有り得ます。今までに経験した発熱とは少し違うと感じて医療機関を受診するのは正しい姿勢です。

何科を受診すればいい?

腎盂腎炎かもと思ったらどの科を受診すればいいのでしょうか?腎盂腎炎を担当する診療科は一般内科や感染症内科、泌尿器科、腎臓内科などになります。これらの科を受診することができればいいですが、夜中などは特定の診療科を受診することが出来ないことがあります。その場合には救急外来などを受診して診察や検査を受け必要に応じて入院治療などを受けることができます。