[医師監修・作成]痛風の検査:血液検査、関節液検査など | MEDLEY(メドレー)
つうふう
痛風
血液中の尿酸が結晶化し、急激な関節の痛みと炎症を起こすこと。足の親指の付け根、足首、膝に症状が出やすい
17人の医師がチェック 226回の改訂 最終更新: 2022.08.08

痛風の検査:血液検査、関節液検査など

痛風が疑われた場合には問診、身体診察、血液検査、X線検査、関節液検査を通して痛風の可能性を吟味していきます。またこれらの検査は痛風の診断だけでなく、痛風の状態の評価や治療方針の決定にも役立てられます。

1. 問診

問診とは医師などの質問に答える形で身体の状態や生活背景を伝えることをいいます。痛風が疑われる場合には、以下のポイントをよく聞かれます。

  • どのような症状があるか
  • 症状の時間経過はどのようなものか
  • きっかけはあるか
  • もともと持病があるか
  • 飲んでいる薬は何かあるか
  • 日頃どれくらいお酒を飲むか
  • 家族で何か病気を持っている人はいるか
  • アレルギーがあるか
  • 妊娠はしているか

これらの問診を通して症状や生活背景から痛風であるかを判断していきます。また妊娠している場合や薬に対してアレルギーがある場合には治療薬の選択が限られる場合があります。そのため、これらの問診内容は治療法を決める上でも大事な質問事項になります。わかる範囲で構いませんので、診察時に説明するようにしてください。

2. 身体診察

身体診察は病気の原因を特定するために身体の状況を客観的に評価することをいいます。

問診の次には身体診察を通して痛風の可能性があるか吟味していきます。

痛風が疑われた時の関節や皮膚の診察が特に重要です。具体的には以下のポイントに注意しながら診察が行われます。

  • 触れると痛みを感じる、または触れることができないほど痛い関節があるか
  • 腫れている関節があるか
  • 熱を持つ関節があるか
  • 皮膚の色に変化はあるか

通常、痛風では触れることができないほどの激痛が関節に現れます。また痛みのある関節は腫れ、熱を持ち、皮膚に赤みが現れます。このような関節の症状は足の親指の付け根に現れることが多いです。身体診察の結果から次に行うべき検査内容を決めていきます。

3. 血液検査

血液検査は痛風でよく行われる検査の一つです。血液検査を行うことで痛風であるかをより正確に予測することができますし、治療薬を選択する上でも重要です。ここでは痛風が疑われた時に特に重要な以下の項目につき説明していきます。

  • 尿酸
  • CRP
  • BUN・クレアチニン

以下で詳しく説明していきます。

尿酸

痛風は関節などに尿酸の結晶ができることで起こる病気です。この尿酸の結晶は血液中の尿酸値が高い状態でできやすく、痛風を起こす人は多くが高尿酸血症を持っています。

高尿酸血症の診断は血液中の尿酸の値によって行われます。血液中の尿酸の値はmg/dL(ミリグラムパーデシリットル)という単位が使われます。血液検査では尿酸を意味する「UA」と書かれている欄に数値が記載されていることが多いです。血液中の尿酸の値が7.0mg/dLを越えている時に、高尿酸血症と診断されます。

また、尿酸の値は高尿酸血症の治療の上でも重要です。痛風発作の根本の原因である高尿酸血症が良くならないと、痛風発作は繰り返すことも多いです。そのため、痛風を繰り返す高尿酸血症では薬物療法を選択されることがあり、血液中の尿酸の値が6.0mg/dL以下を目指して治療が行われます。

このように尿酸の値を測定することで、痛風や高尿酸血症の診断や治療に役立てられます。

CRP

CRP(シーアルピー)は炎症の程度を調べる検査です。痛風は関節の腫れや痛みを伴う病気です。この関節の腫れや痛みは尿酸の結晶により関節での炎症が誘発されるためです。CRPは炎症の程度を見ることができる検査です。

CRPはmg/dL(ミリグラムパーデシリットル)という単位が使われ、正常値は0.3mg/dL未満です。痛風による関節の腫れや痛みが引いてくるとCRPは下がってくるので、治療効果の判定などにも用いることができます。

注意点は、感染症などの他の病気でも炎症が起こるためCRPは上昇してしまうことです。つまりCRPの値だけからは痛風の診断をすることはできません。生活背景や身体診察の結果、他の血液検査の結果を含めて痛風の診断を行います。

クレアチニン、BUN

クレアチニンやBUN(ビーユーエヌ)は腎臓の機能を調べる検査です。クレアチニンやBUNは身体の中の老廃物で本来腎臓から排泄されますが、腎臓の機能が落ちてくると血液中のクレアチニンやBUNの濃度が上昇してきます。そのため、腎臓の機能を予測する検査として用いることができます。

痛風でクレアチニンやBUNの測定が重要なのは以下の二つの理由からです。

一つ目は痛風により腎臓の障害が起こることがあるためです。これは痛風腎と呼ばれます。痛風腎は症状が出にくく、腎臓が障害されていることに気づきにくいので注意が必要です。かなり進行すると手足のむくみや吐き気、尿量減少といった症状が現れますが、症状が現れる頃にはすでに腎臓の機能が廃絶していることが多いです。そのため、痛風腎を早期に発見する意味でも血液検査によりクレアチニン、BUNが測定されます。

二つ目は治療法の選択に関わるためです。「治療の章」でも詳しく説明しますが、痛風発作が起きた時にはNSAIDsと呼ばれる薬で治療します。ただし、NSAIDsは副作用に腎障害があり、もともと腎障害がある人にはNSAIDsで治療することができません。その場合はステロイドで治療されます。そのため、痛風発作の治療をNSIADs、ステロイドのどちらで行うかを判断する上でクレアチニン、BUNの測定が重要になってきます。

このようにクレアチニン、BUNは痛風腎の有無の確認や治療法の選択を決める上で必要な検査です。

4. X線検査(レントゲン検査)

痛風では症状のある関節のX線検査を行われることがあります。X線検査は放射線を用いて身体の内部の状態を調べる検査です。痛風で行われる関節のX線検査は主に骨の状態を調べるために行われます。痛風は繰り返していると骨が壊れてしまうことがあるためです。

X線検査の撮影に要する時間はわずか数秒です。X線検査は放射線を用いる検査であるため被曝の問題がありますが、その被曝量はわずかです。具体的には通常1回のX線検査での人体への影響量は0.2mSv程度です。これは飛行機でニューヨークと東京を往復したときに被曝してしまう量と同じくらいです。1回のX線検査での被曝量は生活の中での被曝量と大きく変わりないと言えます。

5. 関節穿刺・関節液検査

痛風の関節の腫れは関節に関節液と呼ばれる水がたまることで起こります。一方で関節に水がたまる病気は痛風だけでなく、痛風と区別が必要な病気に化膿性関節炎細菌性関節炎)があります。化膿性関節炎は細菌が関節に入ることで腫れる病気です。痛風も化膿性関節炎も症状が急激に悪くなる、腫れる関節が一箇所であることが多いと言った似た特徴を有します。一方、治療面では痛風はNSAIDsで治療されるのに対し、化膿性関節炎抗菌薬で治療されます。このように治療法が大きく異なることから、痛風と化膿性関節炎をを区別する目的で関節液の中身を調べる検査(関節液検査)が行われます。関節液検査のためには腫れている関節に針を刺し、関節液を回収する必要があります。この作業は関節穿刺(せんし)と呼ばれ以下の流れで行います。

  • 関節穿刺を行いやすい姿勢をとる(穿刺する関節によりその姿勢は異なります)
  • 穿刺する場所の皮膚をよく消毒する
  • 注射器で穿刺し、関節液を回収する
  • 注射器を抜き、穿刺した場所をよく消毒し、絆創膏などで保護する
  • 関節穿刺をした日は入浴しないようにする(細菌が入るのを防ぐため)

関節穿刺・関節液検査は外来で行うことができます。入院する必要がありません。

痛風と化膿性関節炎では関節液検査の結果に以下のような違いがあります。痛風は関節に尿酸の結晶ができることで起こる病気であり、関節液検査で尿酸の結晶を見つけることができます。一方、化膿性関節炎は関節に細菌が入ることで起こる病気であり、関節液検査をすると関節液の中に細菌がいるのが確認されます。このように関節液検査の結果の違いから痛風と化膿性関節炎を見極めることができます。

ただし、関節穿刺には次に述べるように合併症が存在します。そのため、もともと高尿酸血症があり、以前起こした痛風と同じ症状であるといったように、痛風がかなり疑わしい場合には関節穿刺を行わずに痛風の治療を行うこともあります。関節穿刺の合併症には以下と関連したものがあります。

  • 出血
  • 感染
  • アレルギー

それぞれの合併症の症状や対応について次に説明します。

出血

関節穿刺では関節液を回収するため関節に針を刺します。この針を刺す過程で関節内で出血が起こりますが、大概は出血量がわずかなので問題になりません。しかし、稀に出血量が多くなってしまうことがあります。出血量が多いと関節の腫れや痛みなどの原因になることがあります。また、出血は抗血小板薬(バイアスピリンなど)や抗凝固薬(ワーファリンなど)といった血をサラサラにする薬を飲んでいる時に特に注意が必要になります。

関節穿刺を行った後に関節の腫れや痛みがひどくなる場合には、担当の医師に相談するようにしてください。

感染

関節穿刺では関節に針を刺した時に外から細菌が体の中に入るリスクを伴います。関節穿刺の前には穿刺部位を消毒し、穿刺を行った日は入浴を避けることで可能な限り感染のリスクを減らします。

関節穿刺により関節の感染が起こると、関節のひどい腫れや痛みの原因になったり熱が出たりします。関節で感染が起こると入院での対応が必要になることもあります。関節穿刺が終わった後にひどい腫れや痛み、熱が出始めるといった変化がある場合には、担当の医師に相談するようにしてください。

アレルギー

関節穿刺では穿刺の前後でいくつかの医薬品を使います。例えば穿刺前後に行う消毒に用いる消毒液などがあります。関節穿刺の合併症の一つにこれら医薬品に対するアレルギーがあります。医薬品に対するアレルギーというのは人によりさまざまです。皮膚に発疹が出るだけの軽度なものから、重症な場合にはアナフィラキシーショックといって、血圧が下がったり、呼吸ができなくなるといったものまで含まれます。使用したことがない医薬品に対するアレルギーの予測は困難ですが、これまでにアレルギーが起こったことがある場合には、事前にアレルギーを経験したことがあるものを医療者に申告しておくことが重要です。

関節穿刺を行う際にはこれらの合併症に注意しながら行っていきます。もし、関節穿刺後に体調の変化を自覚することがあれば、担当の医師に相談するようにしてください。