胃がんの緩和ケアとは?腹水などの症状から緩和ケアの実際
緩和(かんわ)ケアを
1. 緩和ケアとは
緩和ケア(緩和医療)は必ずしも死が間近に迫った人に対する治療ではありません。一昔前は、一定の時期がきたら抗がん治療(がんを攻撃する治療)から緩和ケアへ移行するという考え方でした。現在ではがんと診断された時点から緩和ケアを抗がん治療と並行していくことが推奨されています。
WHO(世界保健機関)は緩和ケアを以下のように定義しています。
生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と家族の痛み、その他の身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題を早期に同定し適切に評価し対応することを通して、苦痛(suffering)を予防し緩和することにより、患者と家族のQuality of Lifeを改善する取り組みである
緩和ケアの考え方
緩和ケアは抗がん治療(手術・
【緩和ケアと抗がん治療について】
上の図は、がん医療における抗がん治療と緩和ケアの役割を示したものです。緩和ケアは、がんに対する治療ができなくなってから導入するものではありません。がんと診断されたときから必要であれば随時行っていきます。
がんと診断されて間もない時期は、がんに対する治療を開始するとともに、痛みなどの
治療の途中でも症状があれば和らげ治療を継続できるようサポートすることも緩和ケアです。また、がん体験に伴う心身の苦しみを理解し、対処法を患者さんと医療者が一緒に考えることも緩和ケアに含まれます。
がんがかなり進行し、抗がん剤などの効果に期待ができなくなった状態では、治療の中で緩和ケアの重みがさらに増します。死にゆく過程から目を背けるのではなく、生きることを支援するために緩和ケアが役立ちます。もちろん症状を緩和し生活を維持することも変わらず緩和ケアの役割です。
緩和ケアは、がん治療に伴う副作用への対処や不安などの精神的問題にも積極的に対応することによって、患者さんの生活の質(
緩和ケアの目的
緩和ケアをよく知らないと誤解が生まれがちです。いくつか例を挙げます。
【緩和ケアの誤解と正しい認識】
誤解の例 | 正しい理解の例 |
病気の進行に関係なくいつでも受けられる | |
身体の痛みをだけを取り除く | 身体的、社会的、人生観に関わる苦痛を和らげる |
がん患者さんだけが対象 | 患者さんだけではなくその家族も対象 |
緩和ケアでは、身体的な苦痛や気持ちのつらさを少しでも和らげるためのサポートを行い、それぞれの患者さんが“その人らしく”過ごせるようにしていくことを目的としています。
緩和ケアは末期がんの治療という印象があるかもしれませんが、がんの状態や時期に関係なく、診断されたばかりの時期から療養の経過中いつでも受けることができます。
がんと診断されたときから身体のどこかが痛む場合は、がんの治療が始まると同時に、痛みに対する治療も行われるべきです。胃がんの場合は、手術の影響や
緩和ケアは精神的な症状も和らげます。例えば、がんと診断されたことは程度の差はあっても大きな
緩和ケアで可能になること
一人一人が適した緩和ケアを受けて、十分な効果が出れば、治療生活が変わる可能性があります。緩和ケアで可能になることの例は以下のようなことです。
- 痛みが和らいだことで同じ体勢でも痛みを感じなくなり、放射線治療が楽になった
- 夜ぐっすり眠れるようになった
- 一日中ベッド上で生活をしていたが、痛みが和らいで歩けるようになった。もう一度
抗がん剤治療 を受けることができた - 一日中ベッドの上から動けなかったのに、座位や端座位で過ごしたり、車いすで散歩、外出・外泊ができるようになって、退院できた
緩和ケアを行うことで、これまで諦めるしかなかった治療や療養の選択肢を増やすことができます。がん治療の早期から緩和ケアを行うことによって、患者さんの生活の質が向上することもあります。
2. 胃がんに多くみられる症状
胃がんは早期には症状を認めることはありませんが転移などをすると症状が目立ち始めてきます。胃は消化器に分類される臓器です。消化器は栄養を得るために重要な臓器です。胃がんで起きやすい症状とそれを緩和する治療について解説します。
腹水
- 腹膜播種(ふくまくはしゅ)
- アルブミンが身体から失われる
胃がんが進行すると腹膜播種を起こすことがあります。腹膜播種とは胃がん細胞がお腹の中のスペースに広がることです。お腹の中にがんが広がった場合は
腹水は利尿剤の投与などで症状が緩和されることもありますが効果は限界があります。腹水による症状が強くなればお腹に針を刺すなどして腹水を抜くことも考慮されますが、症状が緩和されるのは一時的です。
腹部が張って苦痛が増すときなどは、麻薬性の鎮痛剤などを使用すると痛みが軽減することがあります。楽な体勢や日常の介助などしっかりとすることも大事です。
吐き気・嘔吐
吐き気や嘔吐の原因は様々です。以下に例を挙げます。
原因によって治療法が変わるので、医師はまず原因について調べます。腹部の
便秘
便秘になるとさらに食欲も落ちてしまい体力が消耗する原因にもなります。腹水などが同時にある場合などは便秘によるお腹の張りがさらに重くなります。
緩和ケアでは痛みに対する治療が多くの場面で行われます。痛みに対しては、麻薬性の痛み止めも使われます。麻薬性の痛み止めの副作用として便秘があります。
医師は麻薬性の鎮痛剤を処方するときは便秘にも留意して、便を柔らかくする薬を一緒に使うなどの工夫をします。便秘などは少し打ち明けにくいかもしれませんが医師は常に気にしています。言わなければ医師には気付けないこともあるので、症状を感じた時ははっきり伝えることが大事です。
消化管閉塞
消化管とは食べ物の通り道です。胃や腸は消化管の一部です。
胃がんが進行するとお腹の中にがんが飛び散り、がんが周りから腸を締め上げることで食べたものが通過しなくなることがあります。消化管閉塞(腸閉塞)の状態では、吐き気や嘔吐が症状として現れます。
消化管閉塞に対しては食事を一度やめ、点滴から栄養を補います。腸に溜まった液体を外に出して腸を休めてあげることで改善することがあります。それでも消化管閉塞が治らない場合には手術によって新しく腸の流れを作ることで症状が改善することがあります。手術の方法は腸をつなぎ直す消化管バイパスや便の出口をつくる人工肛門などです。
食思不振
病気が進行して身体の状態が下降線をたどり始めると食事量も減っていきます。さらに腹水や便秘の症状があると食思不振に拍車がかかります。食思不振に対しては、食事の内容などを工夫してみるのもいいことです。
もし食べたいものがあれば選んで食べるといいでしょう。「肉が食べたい」「寿司が食べたい」などの具体的なものが思い浮かんでいれば、医師に相談して食べたいものを食べることは気力をつけてくれるかもしれません。
食欲がまったくわかない場合に試すこととして知られているものの例を挙げます。
- 餅、おはぎなど、もち米を利用したものは少量でもエネルギーは大きい
- 香辛料が苦にならないならば香辛料を多めにしてみる
- 目の前に少しずつ出していくことも良い
吐き気がある場合は、冷たいものやあっさりしたものなら食べやすいという人もいます。
- 水分の多い野菜や果物
- プリン、ゼリー
- シャーベット
- 麺類
無理に食事を取る必要はありません。苦痛にならない範囲で少しずつでもいいので、食事を取れるような工夫をしてみてください。
倦怠感・眠気
がんが進行したり麻薬性の鎮痛剤の使用が多くなると
浮腫(ふしゅ)
浮腫が強くなると痛みの原因になることがあります。痛みがひどくなれば鎮痛剤などで対応することになります。
褥瘡(じょくそう)
褥瘡はいわゆる床ずれです。褥瘡は圧力が同じ場所にかかり続けると発生します。がん患者さんは病気が進行するとどうしてもベッドで過ごす時間が長くなってしまいます。また栄養状態が悪くなることも褥瘡の発生に大きく関わっています。
褥瘡を防ぐにはできるだけ体重を分散するマットなどを使ったり、保湿や皮膚の清潔を保つことが重要です。もし褥瘡ができてしまった場合には悪化させないように注意が必要です。
3. 緩和ケアを受けられる場所
緩和ケアを受けるには、大きく分けて3つの方法があります。
緩和ケアチーム:がんの治療中に受ける
緩和ケアチームは様々な医療者によって構成された緩和ケアを専門とするチームです。全国のがん診療連携拠点病院には、必ず緩和ケアチームがあります。緩和ケアチームによる緩和ケアは、入院時も通院治療時も利用できます。
痛みやつらさをかかえているときは、「痛みを専門に治療する医師はいますか?」「緩和ケアを受けられますか?」「痛みの治療の専門の先生と一度話をしてみたいのですが」と主治医や看護師におっしゃってください。あるいは、がん相談支援センターに聞いてもよいでしょう。治療の初期から緩和ケアチームを利用することは治療に良い影響を及ぼします。
緩和ケアチームの役割
がんは複雑な病気です。その上、それぞれの患者さんを取り巻く状況に応じて、異なる対応をしていく必要があります。緩和ケアチームは、身体的な痛みや精神的な苦痛、心の悩みをやわらげるためにサポートします。そのために、さまざまな専門家がチームを組んで治療にあたります。緩和ケアチームの例を紹介します。
- 体の症状を担当する医師:痛みや体の症状を緩和する治療を担当します。
理学療法 士など:患者さんの自立を助け、日常生活の維持のためのアドバイスや治療の補助をします(作業療法士や言語聴覚士などがチームに参加することもあります)。- 心の症状を担当する医師:気分の落ち込みや心のつらさを緩和する治療を担当します。
- 管理栄養士:食生活にかかわる問題に対応したり、食事の内容や献立、味つけの工夫などについてもアドバイスします。
- 看護師:患者さんや家族のケア全般についてのアドバイスをします。転院や退院後の療養についても相談に乗ります。
- 臨床心理士:心のつらさを緩和するカウンセリングを行います。家族のケアも担当することがあります。
- 薬剤師:患者さんや家族に薬のアドバイスや指導を行います。
- ソーシャルワーカー:療養に関わる経済的問題、利用できる制度、仕事や家族の問題、社会生活や療養先などに関してアドバイスを行います。
緩和ケア病棟(ホスピス):入院して緩和ケアを集中的に受ける
緩和ケア病棟(ホスピス)では、癒すことに重点をおいた治療が行われます。苦しみや悩みを完全に解消することはできなくても、できるかぎり和らげてくれる場所が、緩和ケア病棟です。また、緩和ケア病棟(ホスピス)では、患者さん本人と家族などができるだけよい生活を送れることをめざして、さまざまな専門家とボランティアがチームとしてケアを提供します。
緩和ケア病棟では、患者さんがその人らしく過ごし、生きることを支えます。そのために医療専門家が家族とも協力しあい、さまざまな側面から「癒し」をつくりだしていきます。
緩和ケア病棟での取り組みの例を紹介します。
- ボランティアなどの協力のもと、音楽を聴く、生け花、絵、折り紙など、趣味を楽しむための支援を行います。
- 季節ごとのイベントやレクリエーション(お花見、七夕、クリスマスなど)を提供します。
- 入浴や散髪などの身だしなみの手入れ、日常生活の介助をします。
- 食事や栄養:管理栄養士のアドバイスをもとに、自分でキッチンで調理を行うこともできます。
- 医師やスタッフの協力のもと、患者さんや家族がくつろいで日常的な時間を過ごすことができるデイルームがあります。また、面接時間の制限がゆるやかなので、家族や大切な人とゆっくり時間を過ごすことができます。
緩和ケア病棟には施設ごとに特徴があります。
病院内に緩和ケアのための病棟や施設を備えているところもあれば、施設全体が緩和ケアのみを行う完全独立型のホスピスもあります。自宅など、病院以外の場所でケアを行う「在宅ホスピス」という方法もあります。
緩和ケア病棟(ホスピス)については、がん相談支援センターに相談するほか、以下のサイトでも情報を手に入れることができますので参考にしてください。
参照:
日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団
日本ホスピス緩和ケア協会
欧米では緩和ケア病棟(ホスピス)という施設がよく知られているのにくらべて、日本ではまだ認知度が低いようです。その背景には、患者さん、家族、そして医療者も、がんを「治すこと」に集中しがちであるため、体を「癒すこと」へ目を向けるのが遅くなりやすいという事情があります。
そのため、患者さんや家族が緩和ケア病棟やホスピスについて知る機会がなかったり遅くなったりして、知ったときにはベッドの空きがなくてすぐに入院できなかったり、自宅の近くの施設に入ることができなかったりすることもあります。また、患者さんの容態がかなり悪くなってしまっていると、緩和ケア病棟に入っても、緩和ケアの良い点が最大限に生かされないこともあります。患者さんが充実した療養生活を送るためにも、がん治療の初期から、緩和ケア病棟(ホスピス)についての情報も集めておくことをおすすめします。
在宅ケア:自宅で療養中に受ける
自宅や現在住んでいる場所で、緩和ケアを受けながら療養を続けることもできます。
在宅ケアのメリットは、心の落ちつく環境で、自分のペースで日常生活を送ることができるという点です。
通院治療中や、治療と治療の間の療養期間に、かかりつけ医から緩和ケアを受けることもできます。手術や抗がん剤、放射線治療などの治療が一段落し、通院間隔が長くなった場合も、在宅で緩和ケアを受けるのに適した時期です。がんの治療終了後は、緩和ケアのかかりつけ医ががん治療の担当医と連絡を取りながら、患者さんが快適に自宅で療養できるように緩和ケアを担当します。
また最近では、放射線や抗がん剤の通院治療が多くなりました。こうした治療を受けた後に在宅ケアを利用する人も増えています。
■在宅ケアを利用するには?
利用できる在宅ケアの内容は、地域によって異なります。また、在宅ケアができるかどうかは病状や居住環境によっても左右されます。
在宅で緩和ケアを利用する際のチェックポイントの中でも大きなポイントは2つあります。
- 患者さん本人が在宅ケアを希望しているのか?
- 家族も在宅ケアで支えたいと思っているのか?
この2つの条件が揃っていたら、以下のポイントを確認しましょう。
- 今住んでいる家は在宅ケアができる環境か?
- 患者さんを支える家族のサポート体制は整っているか?
- 訪
問診 療が可能な医院(在宅療養支援診療所)に連絡をしたか? - 訪問看護ステーションは決まっているか?
- 体調が急変したときの連絡体制はどうなっているのか?
- 必要時の入院先は、治療を受けた病院か、緩和ケア病棟なのかすでに検討しているか?
これらのポイントを踏まえて、どういった形の緩和ケアを受けるのが最も良いのか、在宅ケアを受けた方が良いのかを考えていきます。
■在宅ケアの相談窓口は?
在宅ケアを利用したいと思ったら、がん相談支援センターや地域連携室、地域包括支援センターなどにまず相談してみてください。在宅ケアスタッフの派遣を要請する拠点センターの紹介を受けることができます。
■在宅ケアは柔軟に利用できます
在宅ケアと入院による緩和ケアは、患者さんや家族の状況にあわせて切り替えることができます。また、在宅ケアは独り住まいの人でも利用できます。担当してくれる医師や訪問看護チームとよく話し合い体制を整えることが大事です。
■家族の方へのメッセージ
在宅ケアには家族など、まわりの人の理解と協力が重要です。実際、家族の協力によって症状や日常生活が改善する人もいます。
また、自宅にいることが精神的なケアにつながることもあります。見慣れているものに囲まれてリラックスすることは、患者さんの体調にもよい影響を与えます。家族と患者さんの双方が生活を上手にコントロールできれば、患者さんのもつ本来の力をひきだすことができます。
一方、在宅ケアを受けることで、患者さんのほうが「家族に迷惑や負担をかけているのではないか」と悩まれることもあります。そうしたときには遠慮をせずに、訪問看護師などに相談してみてください。また、介護保険を使った短期入院を利用できる場合もありますので、それが一つの解決策になるかもしれません。
自宅では対応が難しい症状が出たり入院が必要になったりした場合には、無理をしないで在宅ケアの担当医師に伝えることが大事です。がんの療養期間中は、患者さんの病状も、家族の状況も変化していきます。在宅であれ入院であれ、療養の内容を充実させて自分らしく過ごす時間を確保することが重要です。
4. 患者さんを支える家族の方へ
がん患者さんは家族や医療者を含めて社会全体で支えていく必要があります。その中でも家族が大事な役割を果たせる場面はあります。
家族には家族の支え方がある
がんと診断された後は、患者さんは色々なことに考えを巡らせます。この先の治療についての不安やその先の結果、また自分の病気によって影響する周りのことなど様々です。そうしたとき患者さんは、やはり誰かに話を聞いてもらいたいと思っています。一番話しやすく話したいと思っているのは、やはり一番身近な人ではないでしょうか。今までずっと生活をともにしてきた人がいることは貴重です。あうんの呼吸で通じる相手がいれば、深刻な話もしやすいでしょう。
家族が支援にあたる時は、患者さんの話をしっかりと聞くことから始めるといいでしょう。話したいことをしっかり聞いて何を思っているかを理解することが大事です。今まで多くの時間を一緒に過ごしてきた家族なら、話の途中で患者さんの言いたいことがわかってしまったと感じるかもしれません。それでも最後まで遮らず話を聞くことが大事です。思いを言葉にするだけで気持ちが落ち着いたり考えがまとまったりするものです。話を聞いた後には意見を求められるかもしれません。そのときには、自分の意見や価値観を押し付けたりするのではなく相手の意見を尊重して共感する姿勢が大事です。
治療が一段落すると自宅で静養することもあります。そのためには薬をしっかり飲めているか、睡眠や食事の状態もしっかりと把握しておくことが大事です。痛み止めなどは薬を定時に内服することが重要です。どのような薬が出ているかを家族が把握しておけば助けになります。患者さんの中にはできるだけ自分のことは自分でやりたいという人もいます。そのときには見守りの姿勢で接してあげるとよいと思います。助けが必要かをバランスよく判断してあげることです。
家族自身のケアも大事
がん患者さんを支えるのに家族の手助けが重要なことを述べてきましが、家族自身のケアも大事です。患者さんのためを思うばかりに自分の生活を犠牲にしなければならないと思う必要はありません。時には一人になったり、好きなことをして気を紛らわすことも大事なことです。
自分でできることを書き出してみると、考えを整理できるかもしれません。ほかの人から助けが必要な部分も明確になるでしょう。一人で頑張るだけが看病ではありません。
家族間のやりとりの工夫
自分でできることと周りの手が必要なことを整理しておくと一人が疲れ過ぎてしまうことの予防にもなります。また同時に患者さんの経過などについても分かる範囲でまとめてみると、家族だけでなく支援にあたる全員が情報を共有できて、急に通院に付き添えなくても主治医とスムーズにやり取りできると思います。
医学用語は難しいので、わからないことがあれば繰り返し聞いてみてください。医師もその方が安心して自宅での経過を任せられると思います。
役割をどう分けるか?
がん患者さんは治療や病気の進行によって体調の変化が起きやすくなっています。そのため通院の回数が多くなり、最初は一人で通院できていたのに経過とともに同伴者が必要になったりしていきます。日常生活でも徐々に身体の自由が効かなくなっていくので介助を要する機会も多くなり、病気が進行するにつれて家族などの負担も増えていきます。
緩和ケアに限らずがん患者さんの治療は複雑なことが多いので、支援にあたる人の中で少なくとも一人は病状や現在行われている治療についてしっかりと把握しておく必要があります。移動や家の中での介助などは可能な限り分け合っていくことが大事です。