突発性難聴の症状:突然片耳が聞こえなくなる
突発性難聴は名前の通り突然、難聴になる病気です。ほとんどが片耳のみに聞こえにくさを感じます。難聴の程度はさまざまで、全く聞こえなくなることもあれば、聞こえづらいと感じる程度のこともあります。軽い難聴の場合には耳が詰まった感覚や、塞がる感覚が生じることがあります。ここでは
目次
1. 耳が聞こえない:片耳難聴・両耳難聴
耳が聞こえにくいことを難聴と呼びます。突発性難聴の難聴の症状は徐々に進行するのではなく、ある日突然に起こるのが特徴です。ほとんどの場合が片方の耳のみに起こります。難聴といっても聞こえにくさの程度には幅があり、完全に聞こえなくなる人もいれば、聞こえにくさを感じる程度の人もいます。
また、まれに両耳の難聴が起こる場合もあり、突発性難聴全体の1%程度といわれています。
2. 耳が詰まった感覚・塞がる感覚:耳閉感
耳が詰まったような感覚や、塞がったような感覚を耳閉感(じへいかん)とよびます。人によっては、耳に蓋をされたような感覚、水の中に入ったような感覚などと感じることもあります。耳閉感は軽い難聴の時に感じることが多い症状です。
耳閉感が起こるのは突発性難聴だけではありません。例えば急性低音障害型
急性低音障害型感音難聴は低い音域のみに難聴が起きる病気で、再発を繰り返すことがあります。繰り返す耳閉感にめまいが伴う場合にはメニエール病の可能性があります。メニエール病も低い音域の難聴になることが多く、このような低音域の難聴は自覚症状として耳閉感につながります。また、鼓膜の奥にある
このように耳閉感を起こす病気は色々あるため、いくつか検査を行って原因を絞り込んでいきます。
3. 耳鳴り:耳鳴(じめい)
耳鳴りは実際には音がしていないのに鳴っているように感じる症状です。突発性難聴に限った症状ではありませんが、片耳の難聴がある人の90%で耳鳴りが起こるといわれています。耳鳴りは聞こえなくなった音域と一致するような音が多く、高い音が聞こえない難聴ではキーンと高い耳鳴り、低い音が聞こえない難聴ではゴー、ブーンといった低い耳鳴りになることが多いです。耳の周りで鳴っている感じがする場合もあれば、頭の中で鳴っているように聞こえる場合もあります。
難聴が改善すると耳鳴りも改善することが多いですが、後遺症として残る人もいます。
4. 音が響く・割れる:聴覚過敏(ちょうかくかびん)
難聴が起こると、特定の音が耳に響いたり、
5. めまい
めまいは突発性難聴の20-60%の人に起こると報告されています。めまいを伴う突発性難聴では難聴の程度が重く、治りにくいことが知られています。難聴になったばかりの時のみにめまいが生じる場合もあれば、治療後も持続してふわふわしたようなめまいが続く場合もあります。
ひとことでめまいと言ってもさまざまな種類があります。ぐるぐると目が回るをめまいもあれば、身体がふわふわとするめまい、意識が遠のく感じめまいもあります。突発性難聴ではぐるぐるするようなめまいや、ふわふわするようなめまいが多く起こります。
ここで、それぞれのめまいについて説明します。
◎ぐるぐるするめまい
目の前がぐるぐると回るようなめまいを「回転性めまい」と呼びます。視界がぐるぐるとまわったり、景色がゆがんだりするような感じがあります。見ている視界が回るだけでなく、目を閉じていても、自分が回転しているように感じることがあります。
回転性めまいは、耳の病気が原因であることが多いです。耳は音を聴くだけではなく、身体のバランス感覚を制御する働きがあります。そのため、耳の病気になるとバランス感覚が低下してめまいを起こすことが多いです。突発性難聴の他にも、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎などがこのようなめまいの原因になります。
◎ふわふわするめまい
身体がふわふわした感じでふらつくようなめまいを、「浮動性めまい(ふどうせいめまい)」と呼びます。景色が揺れて見えたり、身体が一定の方向に引っ張られる感じがします。歩くとふらついてまっすぐ歩けない感じがしたりします。
ふわふわするめまいは突発性難聴で起こることもありますが、脳や
◎気が遠くなるようなめまい
立ち上がった時や長時間同じ姿勢でいる時に起こるクラっとするようなめまいです。いわゆる立ちくらみや脳貧血と呼ばれる症状です。目の前が真っ暗になることもあり、一時的に意識を失う
6. 吐き気:嘔気
めまいが起きると気持ち悪さや吐き気が出ることがあります。これは、耳にある身体の平衡感覚を担当する神経から、脳にある吐き気を起こす部位が直接刺激されるためです。
めまいによる不安や恐怖が気持ち悪さや吐き気の症状を悪化させることもあります。
7. 頭痛
突発性難聴で頭痛が起こることはあまりありません。突然の難聴に伴って首の後ろのあたりが痛いなどの症状がある場合には、首から頭にかけての血管の病気である可能性があります。痛みがある場合にはお医者さんに伝えてください。必要に応じて脳神経外科への受診や画像検査が勧められます。
8. 耳が痛い:耳痛
多くはないですが、突発性難聴に伴って耳の痛みや痺れがある人もいます。耳の痛みがある場合には突発性難聴ではなく、急性中耳炎からの難聴などのこともあります。
9. 前兆や予兆の症状はあるか
突発性難聴の前兆や予兆は特にありません。一般的には非常に疲れた時や、ストレスがかかった時に
10. 後遺症はあるか
突発性難聴では治療後に次のような症状が残ることがあります。
- 難聴
- 耳鳴り
- めまい
適切に治療を行った場合でも、1/3の人には聴力の改善がみられず難聴が残ります。2/3の人は聴力の回復が見られますが、元通りにはならずに難聴が残ることがあります。難聴が残った場合には聞こえにくい音域に一致した耳鳴りが起こることが多いです。
また、長期間にわたってふわふわしたようなめまいの症状に悩まされる人もいます。片耳に感音難聴がある人は良性発作性頭位めまい症になりやすいことが報告されており、難聴の悪化を伴わないめまいを繰り返すことがあります。
【参考文献】
・Laryngoscope. 1996 Nov;106(11):1347-50.
・Neurology. 2005 Jan 11;64(1):148-51.
・Int Tinnitus J. 2002;8(2):127-8.
・Laryngoscope. 2004 Feb;114(2):327-32.