とっぱつせいなんちょう
突発性難聴
原因不明に突然片方の耳が聞こえなくなる病気。約2/3の人は回復するが、1/3の人は耳が聴こえないままになってしまう
15人の医師がチェック 148回の改訂 最終更新: 2024.07.24

突発性難聴の検査:聴覚検査、平衡機能検査など

突然耳が聞こえなくなって受診した時には、難聴の原因を調べるためにさまざまな検査を受けます。難聴の検査では、耳の穴をのぞいて鼓膜に異常がないかをを観察する身体診察と、難聴の程度や種類がわかる聴覚検査が特に重要です。さまざまな検査から得られた情報をもとに、突発性難聴かどうかが診断されます。必要に応じて画像の検査が追加されることもあります。

1. 問診

問診は病気の経過や症状を把握するのにとても重要です。最近では問診票にあらかじめ症状などを詳しく書いて、それをお医者さんが参考にして診察が行われます。お医者さんからは耳の症状に関しての質問や、身体状況、生活背景に関しての質問があります。詳しく説明します。

症状についての質問

今回受診する理由となった症状について聞かれます。具体的には次のようなことを聞かれます。

  • どんな症状があるか
  • いつから症状が起きたか
  • 何をしている時に起きたか
  • はじめての症状か

◎どんな症状があるか

突発性難聴では耳が聞こえにくくなったり、耳が塞がったような感覚が起こります。その他にも耳鳴りやめまいなどの症状が起こることがあり、問診で確認されます。めまいを伴う突発性難聴は、伴わない場合に比べて治りにくいため、治りやすさを推定するためにも重要な質問です。また、めまいがある場合には症状を抑えるための薬を追加することが検討されます。

◎いつから症状が起きたか

難聴の症状がいつから起きているかを確認されます。症状が起きてから2週間以上経っている場合には治りにくいことがわかっているため、治りやすさを推定するために重要な情報です。

また、以前から難聴に気がついていたけれど最近急に悪くなったという場合には、最初に難聴に気が付いた時期と、急に悪くなった時期の両方を伝えてください。急に悪くなった時期が今回の難聴が起きた日と考えられます。この情報は聴力検査の結果の解釈や、治療方針の参考にされます。

◎何をしている時に起きたか

突発性難聴では突然難聴が起こります。何かきっかけがあるのではなく、例えば前日まで変わりなく過ごしていたのに朝起きた時に難聴に気がつく、などのことが多いです。

一方、何かがきっかけとなって起きた難聴は突発性難聴ではない可能性があります。例えば、大きな音を聞いた後に聞こえにくくなった場合には音響外傷の可能性が考えられますし、強く鼻をかんだ後の場合には外リンパ瘻などが考えられます。

◎初めての症状か

難聴が起きたのが初めてかどうか答えてください。繰り返している場合には突発性難聴ではない別の病気の可能性があるので重要な情報です。また、今回聞こえにくくなった耳と反対側の耳に突発性難聴を起こしたことがある場合にもお医者さんに伝えてください。

日常の生活習慣について

日々の生活習慣の中にも突発性難聴を悪化させる要因があります。具体的には次のようなことを聞かれます。

  • 飲酒習慣があるか
  • 喫煙習慣があるか
  • 症状が起こる前に過度の疲労や睡眠不足があったかどうか

◎飲酒習慣があるか

飲酒をする人はしない人に比べて突発性難聴になりやすい傾向があります。具体的には1日に純アルコールで16g以上(アルコール度数5%のビールで400mLに相当)の飲酒習慣は、突発性難聴のリスクになります。そのため、どの程度飲酒しているのかを聞かれます。

◎喫煙習慣があるか

喫煙している人は、していない人に比べて突発性難聴になりやすい傾向があります。1日何本をどのくらいの期間吸っているのかを伝えてください。ちなみに加熱式タバコも喫煙習慣に含まれます。また、現在禁煙していても、以前に喫煙していた場合には突発性難聴のリスクになりますので伝えてください。

◎症状が起こる前に過度の疲労や睡眠不足があったかどうか

突発性難聴の原因はいまだに解明されていませんが、疲労や6-7時間未満の睡眠時間などは突発性難聴のリスクとして知られています。ここ1か月くらいで思い当たるストレスや疲れなどがあれば伝えてください。

身体状況について

治療するにあたって必要な情報を得るために、他の病気や生活に関しての質問も行われます。

  • 以前に治療した、もしくは現在治療中の病気、けが、持病はあるか
  • 常用薬やサプリメントの服用はあるか
  • 薬や食べ物などのアレルギーはあるか
  • 妊娠や授乳をしているか

質問内容で重要なものをより詳しく説明します。

◎以前に治療した、もしくは現在治療中の病気、けが、持病はあるか

突発性難聴の治療ではは副腎皮質ステロイドが使われます。次の病気がある場合には副作用が強く起こる可能性があるので必ず伝えてください。

上記にある病気を現在治療していなくても、以前になったことがある場合にも伝えてください。また、糖尿病や高血圧は健康診断で指摘されたものの、そのまま医療機関を受診せずに放置している人もいるかもしれません。そのような場合にも、健診で指摘されていることを伝えてください。

◎常用薬やサプリメントの服用はあるか

現在使用している薬やサプリメントがあれば教えてください。突発性難聴の治療で新しく薬を服用する時には飲み合わせを確認する必要があります。市販薬やサプリメントについては自分で把握しておく必要がありますが、医療機関からもらった薬についてはお薬手帳を活用すると漏れなく伝えることができます。

2. 身体診察

身体診察では主に耳の中が観察されます。耳の入り口から光を当てることで、外耳道や鼓膜に見た目の異常がないかどうかを見ることができます。突発性難聴は鼓膜の奥の内耳が原因になるため、外耳道や鼓膜には見た目の異常はありません。見た目で難聴の原因がわからない場合には聴覚検査が追加されて、原因について詳しく調べます。

3. 血液検査

突発性難聴の治療ではステロイド薬の使用が検討されます。ステロイド薬の副作用として血糖値の上昇や免疫抑制、脂質異常症などがあるので、血糖値やB型肝炎ウイルスなどの感染の有無、コレステロール値などを調べる目的で血液検査が行われます。

ここで、ステロイド治療をする際に特に注意が必要な「糖尿病」と「B型肝炎ウイルス感染症」について詳しく説明します。

糖尿病

ステロイド薬には血糖値をあげる作用があります。糖尿病の人や境界型糖尿病と言われている人では通常よりも血糖値があがりやすく、高血糖によるさまざまな副作用を引き起こす可能性があります。血糖値やHbA1cの値を血液検査で調べて、糖尿病の有無や程度を確認します。

検査の結果、糖尿病と診断された人は、血糖値を確認しながらの治療が必要となることがほとんどです。そのため、ステロイド薬を使用する治療を選択した場合には入院が勧められます。

◎B型肝炎ウイルス感染

B型肝炎ウイルスに感染して治癒した人や、ウイルスはいるものの特に症状がない人(無症候性キャリア)がステロイド治療を行う場合には、ウイルスが再び活動することがあり注意が必要です。ウイルスが再活性化して起こる肝炎は重症化しやすいことが知られています。そのため、治療を開始する前にB型肝炎ウイルスの感染の状態をチェックします。B型肝炎ウイルスへの感染が確認された場合には突発性難聴に対するステロイド治療を行いつつ、肝臓の専門医への受診を勧められます。

参考:「突発性難聴、顔面神経麻痺等のステロイド治療におけるB型肝炎ウイルス再活性化防止に関する指針」

4. 聴覚検査

聴覚検査とは聴力に関連した検査の総称です。聴覚検査をすることで難聴の程度がわかり、また、難聴の原因となっている異常がどこで起きているかのあたりをつけることができます。外耳道や鼓膜の見た目が正常である難聴の多くは、鼓膜の奥にある内耳から脳への音の伝達部分に原因がある(感音難聴)ことが疑われ、聴覚検査で詳しく調べられます。

純音聴力検査

純音聴力検査は難聴が疑われる人が最初に受ける検査で、主に「難聴の有無」と、「難聴の種類や程度」を調べることができるため重要です。静かな部屋に入ってヘッドフォンをつけて検査が行われます。ヘッドフォンから色々な高さや大きさの音が流れ、音が聞こえた時に手元のボタンを押すように言われます。

次に聴力検査の結果の見方と難聴の種類について詳しく説明します。聴力検査の結果を医療機関からもらった場合には手元に出して見てみてください。

◯は右耳の気導聴力、×は左耳の気導聴力を表しています。左開きのカッコ ]が右耳の骨導聴力、右開きのカッコ[ が左耳の骨導聴力を表しています。この右耳の◯とカッコ ]がしっかり重なっている場合には、右耳の気導と骨導の聴力が同じことを表しています。重なった状態で、この値が25dB(デシベル)より小さい場合は正常、大きい場合には「感音難聴」が疑われます。一方、気導と骨導聴力に差がある場合には「伝音難聴」もしくは「混合性難聴」です。突発性難聴は感音難聴に分類されます。

ここで出てきた聞きなれない「気導聴力」と「骨導聴力」、「難聴の種類」について続けて説明しますので、興味があれば読んでみてください。難しければ読み飛ばしてもらって構いません。

◎音が伝わる仕組みと難聴の種類

音が内耳に伝わる仕組みには2つの経路があります。

  • 気導:空気を伝わった音が内耳に伝わる仕組み
  • 骨導:骨を伝わった音が内耳に伝わる仕組み

耳から入った音は鼓膜で増幅されて、鼓膜の奥の中耳にある耳小骨(じしょうこつ)という骨に伝わります。耳小骨でさらに大きく増幅された音は内耳の中にある蝸牛に伝わり、蝸牛にある外有毛細胞で神経信号に変換されて脳へ伝わります。これが「気導」です。

一方、鼓膜を通らずに音波が耳の中の骨を振動させて、直接内耳に伝わる経路を骨導といいます。内耳の中にある蝸牛から脳へ伝わる経路は気導と同じです。

つまり、聴力検査の結果、気導聴力のみが低い場合には外耳から内耳までの間に問題が生じていると考えられ、気導聴力と骨導聴力が共に低い場合には内耳から脳へ伝わる経路に問題が生じていると考えられます。

このように、聞こえの経路のどこに問題があるかによって難聴の種類は次の3つに分類されます。

  • 伝音難聴(でんおんなんちょう)
  • 感音難聴(かんおんなんちょう)
  • 混合性難聴(こんごうせいなんちょう)

伝音難聴は外耳から内耳に伝わる経路で不具合がおきた場合に起こる難聴を指します。感音難聴は内耳から脳へ伝わる経路で不具合がある場合に起こる難聴のことです。どちらにも不具合がある難聴は混合性難聴といわれます。突発性難聴はこのうち感音難聴のタイプになります。

ティンパノメトリー検査

ティンパノメトリー検査は鼓膜の奥の中耳の状態を調べる検査です。耳栓をいれて圧をかけて鼓膜の動きを記録します。突発性難聴ではティンパノメトリー検査は正常であることがほとんどです。

難聴の原因になる病気に滲出性中耳炎があります。これは中耳に液体がたまり、難聴を起こす病気です。身体診察での鼓膜を観察から診断される場合もありますが、それだけで判断が難しい場合にはティンパノメトリー検査を受けて、鼓膜の奥に水が溜まっていないかが確認されます。

耳音響放射検査

耳音響放射検査は、外有毛細胞という聞こえを司る細胞の機能を調べる検査です。検査は耳栓をいれて行われます。突発性難聴では外有毛細胞の機能が低下しているため、この検査で反応が低下していることがわかります。低音域の検査は行えないため、低音域のみに難聴が起きている場合にはこの検査で異常は見つけられません。

耳音響放射検査の利点は、自分の判断でボタンを押さなくても内耳の機能を調べることができる点です。

5. 平衡機能検査:眼振検査

平衡機能検査は身体の平衡バランスを調べる検査の総称です。その中の一つ、眼振検査ではめまいの時に起こる特有の眼球の揺れや回転(眼振)を調べることができます。眼振が出ている時は自分で眼球を動かしている感覚はありません。眼振は必ずしも病気によって起こるものではなく、正常な反応で起こるものもあり、検査で区別することができます。また、眼振の種類によって、めまいの原因が脳にあるか耳にあるかを推定できます。

眼振検査にはさらに注視眼振検査(ちゅうしがんしんけんさ)と頭位眼振検査(とういがんしんけんさ)、頭位変換眼振検査(とういへんかんがんしんけんさ)などがあり、いずれもめまいの原因についてよく調べる目的で行われます。

注視眼振検査以外は、フレンツェル眼鏡という道具を使って検査をします。フレンツェル眼鏡をかけると目の焦点が合わなくなります。目の焦点が合わなくなると、眼振が起きやすくなり、眼振をよく観察することができます。目を閉じてしまうと眼振を観察することができないため、検査中はなるべく目を開けておくようにしてください。まばたきはしても構いません。

検査ではわざとめまいが起きやすい姿勢をとってもらうため、検査中に実際めまいが起きることもあります。めまいが起きると、検査台から落ちそうな感覚になったり、気持ち悪くなったりして、思わず目をつぶってしまうかもしれません。しかし、できる範囲で構いませんので目をなるべく開けて、眼球の動きを観察してもらうと診断に結びつきます。もちろん気持ち悪くて辛い場合は、遠慮なくお医者さんに伝えてください。

■注視眼振検査

じっとモノを見つめた状態で目を動かした時に、眼振が出るかをみる検査です。指先やボールペンの先をじっと見つめたまま、正面、左、右、上、下の5方向に目を動かして、眼振が出るかを観察します。

■頭位眼振検査

フレンツェル眼鏡をかけて行う検査です。座った状態か仰向けに寝た状態で、ゆっくりと頭の位置を変えて、頭の位置の変化によって眼振が出るかを観察します。

座ったままで行う場合は、正面、前、後、右、左に首を傾けます。仰向けに寝て行う場合は、正面から、首だけ右を向く姿勢と、左を向く姿勢をとります。

6. 画像検査

画像検査は突発性難聴以外の病気と区別するために行われます。はじめに受診した時に画像検査が行われることはほとんどなく、他の病気が疑われる場合に行われます。

側頭骨CT検査

CT検査は放射線を使って身体の断面を見る検査です。放射線を使うため被曝はありますが、健康に影響が出るほどではありません。細長い筒状の機械に入って撮影が行われます。CT検査は短時間で行えることと、骨などの構造がよく観察できるという利点があります。側頭骨とは耳の構造がある部分の骨の名前で、側頭骨CT検査では耳の周囲を重点的に撮影します。

CT検査を勧められるのは外リンパ瘻が疑われた場合です。外リンパ瘻は内耳窓に穴が開いたためにめまいや難聴の症状が出る病気で、強く鼻を噛んだ時や、強く息んだ時、重いものを持ち上げた時などの瞬間に起こることが多いです。そのためこのようなエピソードがある場合には側頭骨CTを行って、内耳から中耳に漏れ出た外リンパ液があるかどうかが観察されます。

外リンパ瘻は治療方法として安静が必要になる点で、突発性難聴と区別が重要です。

頭部MRI検査

MRI検査は磁気を使って身体の断面を見る検査です。放射線を使わないため被曝はしません。CT検査と同じように細長い筒状の機械に入って撮影が行われますが、持病によって検査を受けられない場合があること、機械が狭くて大きな音がすること、検査が10-30分程度かかること、費用が高いことなどの欠点があります。一方で、他の検査より筋肉や骨などの細かい部分を詳しく観察できるという利点があります。

突発性難聴のように突然めまいや難聴が起こる病気に脳梗塞脳腫瘍があります。これらの病気を区別するためにMRI検査が行われることがあります。難聴とめまいを伴う脳梗塞では、まっすぐ歩けないなどの激しいめまいを生じることが多いです。聴神経腫瘍という脳腫瘍では難聴以外に症状がないこともあり、MRI検査で診断が行われることが多いです。

体内に金属が入っている人や、閉所恐怖症の人はMRI検査を受けられない可能性があります。心臓ペースメーカー、人工内耳、心臓や血管のステント、骨折の固定のための金属などを入れたことがある人は必ず医療者に伝えてください。心臓ペースメーカーは、最近ではMRI検査を行えるものもありますが、事前にペースメーカーの種類などを確認する必要がありますので医療機関で確認してください。

7. 突発性難聴の診断基準

突発性難聴の診断基準は1973年に作られたものが長らく使用されてきましたが、2015年に改訂が行われました(厚生労働省難治性聴覚障害に関する研究班)。以下に記しますが、難しい言葉も含まれていますので読み飛ばしても構いません。

主症状

  1. 突然発症
  2. 高度感音難聴
  3. 原因不明

参考事項

  1. 難聴(純音聴力検査での隣り合う3周波で各30dB以上の難聴が72時間以内に生じた)
    (1)急性低音障害型感音難聴と診断される例を除外する
    (2)他覚的聴力検査またはそれに相当する検査で機能性難聴を除外する
    (3)文字どおり即時的な難聴、または朝、目が覚めて気づくような難聴が多いが、数日をかけて悪化する例もある
    (4)難聴の改善・悪化の繰り返しはない
    (5)一側性の場合が多いが、両側性に同時罹患する例もある
  2. 耳鳴
    難聴の発生と前後して耳鳴を生ずることがある
  3. めまい、および吐き気・嘔吐
    難聴の発生と前後してめまい、および吐き気・嘔吐を伴うことがあるが、めまい発作を繰り返すことはない
  4. 第8脳神経以外に顕著な神経症状を伴うことはない

診断の基準:主症状を全事項みたすもの

突発性難聴は現在ところ原因不明であり、突然に高度の感音難聴を起こすものを指します。診断基準に出てくる「第8脳神経」とは内耳にある神経のことで聴覚を担当しています。これ以外の脳神経症状がある場合には、突発性難聴よりも脳梗塞などの脳の病気を考える必要があります。例えば、呂律がまわらない、手足がしびれる、歩きにくいなどの症状です。これらの症状がある場合には脳梗塞が疑われるため頭部MRI検査などを追加で受けることがあります。

8. 突発性難聴の重症度:軽度から重度

突発性難聴の重症度は純音聴力検査の結果で判定されます。

重症度 純音聴力検査の結果
Grade1 40dB未満
Grade2 40dB以上60dB未満
Grade3 60dB以上90dB未満
Grade4 90dB以上

注1:聴力は純音聴力検査の250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、4kHzの5周波の平均とする
注2:この分類は発症後2週間後までに適応する
注3:初診時めまいのあるものでは 「a」を、ないものでは「b」をつけて記載する

重症度が高くなるほど治りにくくなるといわれています。ただし、個人差があり、Grade4だからといって全く治らないわけではなく改善する人もいます。

9. 治療後の治癒基準

突発性難聴がどの程度治ったかの判断基準として、1984年に厚生省の研究班が定めた予後判定基準があります。聴力がどのくらい改善しているのかを知りたい場合には、純音聴力検査の結果と下記の基準を照らし合わせてみてください。(聴力レベルの「dB」はデシベルと読み、音の大きさを表しています。)

  • 治癒(全治)
    • 250, 500, 1000, 2000, 4000Hzの聴力レベルが20dB以内に戻ったもの
    • 健側聴力が安定している場合、患側がそれと同程度まで改善した時
  • 著明回復
    • 上記5周波数の平均値が30dB以上改善したとき
  • 回復(軽度回復)
    • 上記5周波数の平均値が10-30dB未満改善したとき
  • 不変(悪化を含む)
    • 上記5周波数の平均値が10dB未満の変化

【参考文献】

Audiology Japan Vol. 58, No. 5 2015