[医師監修・作成]知っておくべきメニエール病に関する注意点 | MEDLEY(メドレー)
めにえーるびょう
メニエール病
内耳にリンパ液がたまり、激しいめまいを繰り返す病気。難聴の症状が伴うこともある
19人の医師がチェック 144回の改訂 最終更新: 2021.11.30

知っておくべきメニエール病に関する注意点

メニエール病と診断されたら、今後どうなるのかと心配になることが多いと思います。どのようなことに気をつけて生活したらよいのでしょうか。様々な疑問について、見ていきたいと思います。

1. メニエール病の症状を繰り返す時の対処法

メニエール病の治療はまず、生活改善と薬物治療になります。メニエール病の発症には、精神的、体力的な疲労や、睡眠不足、ストレスが関係しています。

生活改善では、疲労をさけて規則正しい生活をしたり、睡眠を十分にとったり、ストレスの対処方法を検討したりします。有酸素運動を取り入れることも有効とされます。

生活改善や薬物治療を3-6ヶ月行っても、たびたびめまい発作を繰り返して、日常生活が困難な場合には、手術治療などの選択肢もあります。メニエール病にかかった人のうち手術を選択する割合は20%程度です。

メニエール病の人に多い特徴として下記のことが挙げられています。

  • 徹底的にやらないと気がすまない
  • 仕事その他に熱中しやすい
  • 親や上司の期待に沿うように努める
  • 嫌なことがあっても我慢する
  • 取り掛かる前にいろいろ心配する方である

めまい発作を繰り返している人で、上記のような考えで生活している心当たりがあれば、ストレスを強く受けてしまっているかもしれません。多くの人はストレスをうけた場合でも何らかの解決方法で、対処することができますが、対処方法が苦手な人はストレスを強く受けてしまうことが考えられます。仕事も責任感を持って行っている人が多いと思います。めまいを起こして迷惑をかけるかもしれない、と思うこと自体がストレスになって、発作の誘因になってしまうこともあるかもしれません。

調子の悪い時は、頑張りすぎないで、仕方ないと考え、休むことに罪悪感を持たずに、十分休養をとることを心がけてください。必要時には心理的な治療を行っている病院やカウンセラーに相談することも有効です。

生活改善、ストレスの緩和策の一例を示します。参考にしてみてください。

  1. 早めの帰宅と夕食、早めの入眠と早起き、規則正しい生活習慣
  2. 仕事、家事、周囲の評価に対する発想の転換
    • 頑張りすぎない、完全であることにこだわらない、失敗を恐れない、他人の評価を気にしない、など
  3. 悩みの相談をためらわない、相談事と関係なく、人ともおしゃべりする
  4. 娯楽、趣味を持つ
    • 旅行、ゴルフ、会食(家族、友人との宴席など)、歌唱(カラオケ、合唱への参加、詩吟など)
  5. 日常における適当な運動
    • ウオーキング、水泳、ヨガ、ダンスなど
    • エアロビクスなどの有酸素運動(メニエール病発作予防、聴力改善効果の報告がある)

2. メニエール病は遺伝するのか?

日本には遺伝で起こるメニエール病は少数です。欧米ではメニエール病の約10%が常染色体優性もしくは劣性遺伝で家族発症することが知られています。

メニエール病は内リンパ液の産生と吸収に関与する部分、つまり水や電解質代謝を担当するチャネルの質的もしくは量的な異常が原因ではないかと推定されています。

以前からこの部分に関わるいくつかの遺伝子の解析が行われています。その中でメニエール病の原因遺伝子の候補がいくつかあります。しかし、メニエール病は、ひとつの遺伝子変異のみが引き起こすものではありません。特定の遺伝子変異と共に、他の多くの遺伝的な要因と、ストレス、食事、生活パターンなどの様々な環境因子が複雑に絡み合って、発症すると考えられます。

参考文献
・ 土井 勝美, シリーズ教育講座「めまい・平衡障害と遺伝子」-4. メニエール病, Equilibrium Res Vol.74(2)51-57, 2015.

3. メニエール病はストレスが関与するのか?

メニエール病の発症誘因の上位は、多忙、職場ストレス、家庭内不和・トラブル、睡眠不足・不良、家族の病気・死、介護、育児などです。いずれも身体的、精神的なストレスがかかる状態であり、発症にストレスが関与すると言えます。

くわえて、メニエール病の人の特徴として、我慢しやすく、何かに熱中しすぎるところがあり、周囲の期待に答えようとする傾向にあります。

ストレスへの対処法をうまくできないタイプの人が多いことも知られており、ストレスを上手く発散していくことが大事です。ストレスをストレスと感じずに、放置しているとメニエール病を発症する可能性がありますし、メニエール病のめまい発作を繰り返す原因にもなります。

4. メニエール病は睡眠不足が関与するのか?

メニエール病の発症誘因に睡眠不足は関与しています。初回の発症要因としても、その後のめまい発作の悪化の原因にもなります。睡眠が不足しているというよりも、睡眠不足により疲労がたまるのが、発作の誘因と考えられます。

睡眠時間及び、熟眠を得られるように工夫すると良いでしょう。睡眠がうまくできない場合には、睡眠薬や抗不安薬などが助けになる場合もあります。医師に相談してください。

5. メニエール病は食事と関係がある?

食事が原因となってメニエール病が発症することは、ないと考えられています。

減塩が良いという意見もありますが、違う意見もあります。

飲酒やコーヒーを控える、体重の減量などでメニエール病が改善したという明らかな報告はありません。

生活習慣として、規則正しい生活は効果的です。夜遅い食事は熟眠を妨げることがあります。規則正しい食事生活を送ることは、めまい発作がある人にとっても良いことと考えられます。

6. メニエール病になったら仕事はどうしたら良いか?

メニエール病になっても仕事を続けることはできます。仕事への影響については、職種やめまいの頻度によっても異なります。

例えば、乗り物の運転手や工事現場の作業員など、メニエール病の発作が起きた時に、自分や他の人に危険が及ぶ可能性がある職種については、配置転換などが必要になるかもしれません。デスクワークなどであれば、工夫して仕事を継続できることも多いでしょう。

メニエール病と診断された場合には、上司や医師に相談してみましょう。

上司に相談する際は、発作の頻度がわかれば伝えたり、症状や発作時の対処なども伝えておくと、発作が起きた時もお互いに安心です。上司だけではなく、職場の同僚にも伝えておくと、体調に合わせて仕事をすすめることができて安心です。ストレスや、過労が誘因となって発作が起きると言われているため、発作が起きるかもしれないというストレスや、職場に迷惑をかけるかもしれない、と過度に思いがちです。職場の上司や同僚に伝えておくことで、ストレスや不安が軽減できかもしれません。

メニエール病の発作が起きた際は、めまいの症状が治まるまで、仕事は休んだほうが良いでしょう。発作がおさまった後でもふらつきが数日間残るケースがありますので、仕事に制限が出る可能性があります。発作を繰り返し、仕事をよく休む状況では、仕事そのものがストレスである可能性を考えて、働き方などを見直してもいいかもしれません。

7. メニエール病になったら運動してはいけない?

メニエール病の発作がおさまった慢性期(間欠期)には運動をした方が、めまいや聴力に効果があります。ただし、気圧の変化が強い運動や、ストレスが過度にかかる運動は避けてください。スキューバダイビングや登山などは、気圧が変化するため、発作が誘発される可能性があります。ストレスが発作の誘因になりますので、過度のストレスを感じるスポーツも避けた方が良いでしょう。

有酸素運動は、メニエール病の聴力とめまいの症状どちらにも効果があると報告されています。有酸素運動は少し息の上がる運動で、心拍数100-120/分を目安にしてください。運動の頻度は規則的に週に3回以上で、1回1時間以上、数ヶ月間継続的に実施してください。行う運動の内容は、早歩き、ランニング、水中歩行、水泳、エアロバイク、ランニングマシンなど、好みに応じて選択してください。

メニエール病の治療として運動をする場合には、おつきあい程度の運動では不足であり、しっかりと生活時間の一部を運動に当てるようにします。

メニエール病が発症してから長期たった人よりも短期の人で効果が出やすく、高音や全音域の難聴より、低音域の難聴に効果があります。

有酸素運動を行うと体調や眠りが改善し、その後に症状の改善が始まります。

回転性めまいは1-2ヶ月程度で消失し、その後に、耳閉感や耳鳴りが軽減し、長く継続すると難聴も改善して行くと報告されています。

8. メニエール病になったら運転してはいけない?

メニエール病になったら、運転してはいけない、という法律はありません。しかし、運転中に発作が起きると危険なので、病状が安定せず、発作を繰り返している期間は、運転を避けてください。落ち着いてきた時期でも、目線を動かした時、首を動かした時、振り返った時にくらっとするようなめまいが続いている人は、運転を控えてください。

運転中に発作が起きた場合には、すぐ、車を安全な場所に止めて安静にしてください。

9. メニエール病に名医はいるか?

どんな医師を「名医」と考えるかは人それぞれです。診療の基本的な部分はどの医師でも同じになるように知識が共有されています。また、治療のためには医師と患者の人間関係も大切です。そこで、出会った医師を「名医」と思えるかどうかは、それぞれの相性にもよるということになります。

メニエール病の場合の治療は、薬物療法に加えて生活改善も重要です。同じ治療を行うとしても、説明の仕方や、診察の方法、雰囲気など、それぞれの好みがあると思います。

論理的に説明して治療を先導してくれる医師、ゆっくり話を聞いてくれて支えてくれる医師、患者の意見を最優先してくれる医師など色々います。自分にあった医師を見つけられた場合は幸運だと思います。

メニエール病は長期間の治療になることが多いので、自分にあった医師を選ぶことは重要です。同じように、「名医かどうか」を最初から決めつけることなく、ゆっくりと色んな話しをしてお互いに信頼関係を築いていくことも重要かもしれません。

10. メニエール病は再発しやすいのか?

日本での調査結果によると、メニエール病を発症して1年の人を追跡すると、3年以上めまいが続いた人は約30%でした。発症後2-3年程度の期間にだけ発作がある人が30%、長期間にわたって発作を繰り返す重症になる人で70%程度ということになります。

いったん完治したと思われる場合も、生活環境の変化などで再発することがあります。メニエール病の人は、ストレスへの対処がうまくない人も多いため、生活の変化などがあった時は、うまく休んでストレスが過度にならないように気をつけてください。

11. メニエール病は放置しても良いのか?

メニエール病の発作を放置すると、聴覚や平衡感覚の細胞や神経の損傷が大きくなります。

損傷が大きくなると、難聴が悪化したままになってしまうことがあります。1回1回の発作を放置せずにしっかり治療することは、症状の軽減と、聞こえや平衡感覚の細胞、神経のダメージを抑える効果があります。

メニエール病を発症した後、1年の間はめまい発作を頻発することがあります。その後、徐々にめまい発作の頻度は減っていくと報告されています。めまい発作は減って制御されるものの、多くの人で難聴は固定して改善しなくなります。難聴が固定しないように、めまい発作がでた場合にはその都度治療を行うことが勧められます。

参考: Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2008 Nov;134(11):1149-54. Laryngoscope. 2011 Mar;121(3):622-6.