[医師監修・作成]脳梗塞と脳卒中の違いについて | MEDLEY(メドレー)
のうこうそく
脳梗塞
脳の血管が詰まって結果、酸素や栄養が行き届かなくなり、脳細胞が壊死すること。運動・感覚の麻痺などを起こし、後遺症による寝たきりや死亡にもつながる
21人の医師がチェック 402回の改訂 最終更新: 2022.01.24

脳梗塞と脳卒中の違いについて

脳梗塞、脳出血、脳卒中、くも膜下出血など、似た用語がたくさんあり混乱されている方もいるかもしれません。このページでは脳梗塞と脳卒中の違いを中心に説明します。

目次

脳梗塞、脳出血、脳卒中、くも膜下出血など、似た用語がたくさんあり混乱されている方もいるかもしれません。このページでは脳梗塞と脳卒中の違いを中心に説明します。

1. 脳出血について

脳出血は、脳の中の血管が破れる病気です。高血圧や加齢が原因で血管がもろくなるのが原因です。

後述するくも膜下出血脳出血と同じく、脳の血管が破れる病気ですが、破れる血管の種類が異なります。脳出血が「脳の中の血管」であるのに対して、くも膜下出血では「脳の表面の血管」が破れます。

脳出血は高齢者に多いとされていますが、近年では若年者の脳出血の割合も増えています。

脳出血の症状

症状としては次のものが挙げられます。

脳出血の症状】

  • 頭痛
  • 吐き気や嘔吐
  • 手足の動かしづらさやしびれ
  • ろれつの回りにくさ
  • しゃべりづらさ
  • 意識がもうろうとしている、意識を失っている

 出血する部位や出血の量によって現れる症状は異なります。

また、一般的には脳出血の症状は突然始まる場合が多いとされます。

脳出血の急性期治療

「急性期」とは病気が起こって間もない時期を指すことが多い言葉です。
脳出血の急性期の治療では、主に薬を使って、血圧を下げる治療が行われます。
命の危険がある場合は手術が行われます。手術では、血の塊を取り除いたり、止血したりしますが、出血の部位によっては手術が難しいことがあります。

2. 脳梗塞について

脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血流が悪くなり、酸素や栄養不足のために脳細胞がダメージを受ける病気です。「梗塞」とは、血管が詰まった場所の組織が壊死(組織または細胞が死んでいく様)することを指します。
ちなみに、心筋梗塞は心臓の梗塞ですし、肺梗塞や腎梗塞という病気もあります。

脳梗塞の症状

症状は次のものになります。

【脳梗塞の症状】

  • 手足の動かしづらさやしびれ
  • ろれつの回りにくさ
  • 言葉の出づらさ
  • 意識が朦朧(もうろう)とした状態、意識消失

梗塞の部位や大きさによって症状は異なります。

脳梗塞の症状は起こって数時間をかけてしだいに悪くなっていく場合があります。血管が詰まってから組織が壊死するまでに時間がかかるためだと考えられます。

しかし、症状が急激に始まる脳梗塞もあるので、症状だけで脳出血と脳梗塞を正確に見分けることはできません。症状を参考に、画像検査などを使って診断されます。

小さい脳梗塞が起こってもほとんど症状がない場合もありますし、気付かないまま過ごしていて、ほかの病気の検査などで古い脳梗塞の跡が見つかることがあります。こうした脳梗塞は「隠れ脳梗塞」と呼ばれることもあります。隠れ脳梗塞がある人は、次に新しい脳梗塞を起こさないための対策が勧められますが、古い脳梗塞自体が悪くなるということではありません。

まとめますと、脳梗塞の症状は重い場合もあれば、ごく軽い場合があります。また、症状が数時間で悪化することもあります。
当てはまる症状があればすぐに医療機関に相談してください。

脳梗塞の言葉の障害の画像

脳梗塞の急性期の治療

脳梗塞の治療は種類によって異なります。基本的には、抗血小板薬抗凝固薬といった血液をさらさらにする薬が使われます。また近年ではt-PA(アルテプラーゼ)と言う血栓(血液の塊)を溶かす治療もあります。この方法は、脳梗塞の発症から4.5時間以内に行われると有効であるという報告があり、脳卒中のガイドラインにも記載されています。4.5時間以内に治療を始められるかどうかで、t-PAを使えるかどうかが変わるため、脳梗塞かもしれないと思ったらすぐに医療機関に行くことがとても大切です。

その他の治療にはカテーテル治療があります。カテーテルというのは細い管で、血管の中に通して使います。カテーテルを脳の血管の詰まった場所にまで送り込んで、血管が詰まっている部分の血栓を取り除くなどの治療法があります。

3. くも膜下出血について

くも膜下出血とは、脳を包むくも膜という膜の内側で出血することです。40歳-60歳代で発症することが多く、脳出血や脳梗塞よりも若い人が発症するという特徴があります。
くも膜下出血では、3分の1の人が死亡、3分の1の人が大きな後遺症が残り、残った3分の1が退院して社会や家庭に復帰できます。

【頭部の断面図】

図:脳の断面のイラスト(前頭断)。脳の周りは軟膜・くも膜・硬膜に包まれている。くも膜より脳に近い側の出血がくも膜下出血。

くも膜は、脳を包む3重の膜(髄膜)のうち2番目にある膜です。くも膜よりも脳に近い側の空間をくも膜下腔(くもまくかくう)と言います。くも膜下腔の出血がくも膜下出血です。

くも膜下出血の原因について

くも膜下出血の原因として最も多いのが、脳の血管にできた動脈瘤(どうみゃくりゅう)の破裂です。動脈瘤とは血管の一部がコブのように膨れて飛び出した部分を指し、脳の血管にできたものを脳動脈瘤とも言います。動脈瘤は正常な血管より破れやすくなっており、特に大きな動脈瘤は破裂の危険が高いと考えられています。

脳動脈瘤

健康な人でも、頭の中に動脈瘤がある人はいます。数mm程度の動脈瘤ならめったに破裂しません。無症状であることが多いのですが、動脈瘤が周りの神経(動眼神経、外転神経など)を圧迫すると、頭痛やめまい、複視(ものが二重に見える)といった症状が現れることがあります。

くも膜下出血を経験したことがない人に、検査で脳動脈瘤が見つかり、破裂する危険性が高いと判断された場合は、動脈瘤の治療をする場合があります。

脳動静脈奇形

動脈瘤以外の原因として動静脈奇形が挙げられます。動静脈奇形は、脳の血管の一部が生まれつき異常な形になっているものです。

正常な血管では動脈と静脈の間が毛細血管になっています。毛細血管は非常に細かい血管です。動静脈奇形の部分では動脈と静脈が直接つながっていて、間に毛細血管がありません。つながった部分の前後の血管は糸の玉のようにからんで塊になっています。この塊をナイダスとも言います。画像検査では、ナイダスに血液が入ってくる動脈と、ナイダスから血液が出て行く静脈が見つかります。

脳動静脈奇形は出血しやすく、くも膜下出血の原因にもなります。動脈瘤と同じように、破裂を防ぐ狙いで治療される場合があります。

■外傷(けが)

ほかにも頭の外傷(けが)が原因でくも膜下腔の血管が破れるとくも膜下出血となります。外傷性くも膜下出血と言います。

外傷性くも膜下出血の治療法は動脈瘤や動静脈奇形によるくも膜下出血とは大きく違う面があります。このため、外傷による場合を除いて「非外傷性くも膜下出血」と呼ぶことがあります。単に「くも膜下出血」と言った場合、多くは非外傷性くも膜下出血を指します。

くも膜下出血の症状について

症状は次のものです。

くも膜下出血の症状】

  • 突然の激しい頭痛(今までの経験した頭痛の中でも最強レベルであることが多い)
  • 吐き気、嘔吐
  • 意識がもうろうとしている、意識を失っている

この中でも「突然の激しい頭痛」が特徴的です。くも膜下出血でなくても、その他の重い病気が隠れている可能性があるので、ただちに医療機関を受診してください。

くも膜下出血の急性期の治療について

くも膜下出血を起こした動脈瘤は再破裂する危険性が高く、再破裂は命に関わります。再破裂を防ぐために手術(クリッピング術)やカテーテル治療(コイル塞栓術)が行われ、集中治療室に入って全身管理しながら治療が行われます。