くもまくかしゅっけつ
くも膜下出血
脳血管の一部が破裂して、くも膜と脳の隙間に出血が起こる脳卒中。突然の激しい頭痛・意識障害などが特徴だが、症状が軽い場合もある
25人の医師がチェック 392回の改訂 最終更新: 2018.07.17

くも膜下出血とはどんな病気?症状・原因・検査・治療など

くも膜は脳を覆う膜の1つですが、そのくも膜の下に出血が広がるのでくも膜下出血と言います。くも膜下出血の主な原因は脳動脈瘤の破裂で、発症すると激しい頭痛が起こります。ここではくも膜下出血の症状・原因・検査・治療などについて説明します。

1.くも膜下出血とはどんな病気なのか?

くも膜下出血は、頭部にあるくも膜下腔という場所に出血が起こる病気です。くも膜は脳を覆う膜の1つで、その内側がくも膜下腔という場所です。くも膜下出血は英語ではsubarachnoid hemorrhageといい、医療関係者の間では略してSAH(ザー)とよばれることもあります。

くも膜下腔出血は女性に多く、男女比は1:2という研究報告があります。くも膜下出血は生命に関わる病気で、全体での死亡率は10−67%です。このなかには、発症後短い時間で生命を落とす人も含まれています。また、一命を取り留めても重い後遺症が残る場合もあります。その一方で軽症で早期に適切な治療ができた場合には、ほとんど後遺症を残すことなく社会復帰できる人もいます。

参考:
Study of aneurysmal subarachnoid hemorrhage in Izumo City, Japan. Stroke. 1995 May;26(5):761-6.
Subarachnoid haemorrhage: diagnosis, causes and management.Brain. 2001 Feb;124(Pt 2):249-78.
Factors affecting outcome after surgery for intracranial aneurysm in Glasgow.Br J Neurosurg. 1991;5(6):591-600.
Outcome after aneurysmal subarachnoid haemorrhage: the use of a graphical model in the assessment of risk factors. Acta Neurochir (Wien). 1998;140(10):1019-27.

2.くも膜下出血の症状

くも膜下出血の症状には「前兆」「発症したときの症状」「後遺症」の3つがあります。ここではそれぞれについて説明します。

くも膜下出血の前兆

くも膜下出血には、主に次のような前兆があることが知られています。

  • 突然の頭痛 
  • 吐き気・嘔吐

前兆は少量の出血が原因で起こるものとして考えられています。前兆がある人もいればない人もいるので一概にはいえませんが、前兆の段階でくも膜下出血に気づくことができれば、早期に治療をすることができます。

くも膜下出血の症状

くも膜下腔に多くの血液が流れ込むと、次のような症状が現れます。

  • 激しい頭痛
  • 吐き気・嘔吐
  • けいれん発作
  • 意識がなくなる(意識消失)

このなかで最も重要なのは激しい頭痛です。この激しい頭痛は「今までに経験したことがない痛み」や「バットでいきなり後ろから殴られたような痛み」と表現されることもあります。激しい痛みが突然起こるのも、くも膜下出血の特徴です。

くも膜下出血の後遺症

くも膜下出血は1/3程度の人に後遺症が残ります。後遺症は脳が受けたダメージの程度によってさまざまです。身体の麻痺が起こることもあれば、高次脳機能障害といって「記憶」や「複雑な作業をする能力」が低下することもあります。症状に合わせてリハビリテーションが行われて、機能の回復が図られます。

リハビリテーションについては「くも膜下出血の治療」で詳しく説明しているので参考にしてください。

3.くも膜下出血の原因

くも膜下出血は、喫煙や過度の飲酒といった生活習慣や、高血圧がある人に多いことが知られています。

また、くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂が原因であることがほとんどですが、他に脳動静脈奇形や頭の怪我(頭部外傷)も原因になります。

くも膜下出血を起こしやすい人

次のような特徴をもつ人は、くも膜下出血を起こしやすいことが知られています。

  • 喫煙者
  • 過度の飲酒習慣がある人
  • 高血圧症の持病がある人

これらの特徴をもつ人は、くも膜下出血を起こしやすいことが知られています。どれくらい影響が与えるかなど詳しい情報は、「くも膜下出血の原因」で説明しているので参考にしてください。

くも膜下出血を起こす主な病気や怪我

くも膜下出血は主に次の病気や怪我が原因で起こることが知られています。

この原因のなかで最も多いのは脳動脈瘤の破裂です。脳の動脈に瘤ができてそれが破裂すると、くも膜下出血を起こします。脳動脈瘤の破裂はくも膜下出血の80%程度を占めるという研究報告もあります。

脳動脈瘤
脳動脈瘤は、一度破裂するとその後再び破裂して再出血することが知られています。再出血を予防するために、脳動脈瘤に対する治療が必要になります。具体的には、手術で脳動脈瘤を挟んで血流を遮断する方法や、カテーテル治療で動脈瘤にコイルを詰める方法などが行われます。

詳しい内容については「くも膜下出血の治療」で説明しているので参考にしてください。

脳動静脈奇形
脳動静脈奇形は、脳の動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながってしまった病気です。毛細血管を介さずに動脈と静脈がつながり血管はもろくて破れやすいです。脳動静脈奇形があると、脳動脈瘤と同じように、破裂してくも膜下出血を起こす原因になります。

脳動静脈奇形が原因でくも膜下出血が起きた場合にも、再出血の予防が重要です。脳動脈瘤と同じく状態をみて手術やカテーテル治療、放射線治療などが行われます。

■頭部外傷
頭部外傷とは頭を強く打つことで、くも膜下出血の原因になります。脳動脈瘤脳動静脈奇形の場合とは治療の方法が変わってきます。脳動脈瘤脳動静脈奇形の場合には、出血を起こしている部分に対して手術やカテーテル治療などを行いますが、頭部外傷が原因の場合は安静を保ち、頭の中の圧力を下げたりけいれん発作の予防をしたりします。

くも膜下出血の原因については、「くも膜下出血の原因」のページでより詳しく説明しているので参考にしてください。

4.くも膜下出血の検査

くも膜下出血が疑われる人には、次のような診察や検査を用いて調べられます。

  • 問診
  • 身体診察
  • 画像検査
    • 頭部CT検査
    • 頭部MRI検査
  • 髄液検査
  • 脳血管造影検査

くも膜下出血を調べるうえで重要なのは問診と画像検査です。

問診は、困っている症状や身体の状況についてお医者さんが質問する診察方法です。くも膜下出血の症状で経験する頭痛には特徴があり、「突然バットで殴られたような」「人生で経験したことがないような」痛み、と例えられることがあります。

また、くも膜下出血の診断には頭部CT検査が重要です。頭部CT検査では、頭を輪切りにした画像を得ることができます。頭の中でどのように出血が広がっているか見ることができるので、診断の決め手になります。

くも膜下出血の検査については「くも膜下出血の検査」で詳しく説明しているので参考にしてください。

5.くも膜下出血の治療

くも膜下出血の治療は、主に次の3つのポイントがあります。

  • 発症直後の再出血を予防する治療
  • くも膜下出血の原因の治療
  • リハビリテーション

この文字を見ただけでは具体的なイメージが湧きにくいと思いますので、それぞれの治療の役割について以下で詳しく説明していきます。

発症直後の再出血を予防する治療

くも膜下出血は再出血することが知られています。そして、その再出血は発症後24時間以内に起こりやすいことわかっています。再出血の予防するために、身体への刺激をできるだけ少なくするようにします。次の4つが重要です。

  • 安静を保つ:鎮静
  • 痛みをできる限り抑える:鎮痛
  • 血圧を下げる:降圧
  • 脳の周りの圧力を下げる:頭蓋内圧のコントロール

これらを行うために薬などを用います。

再出血が起こるとその後の経過が悪くなることがわかっているので、できるだけ避けなければなりません。発症直後の再出血の予防はとても重要です。

再出血の予防についてさらに詳しい内容は「くも膜下出血の治療」で説明しているので参考にしてください。

くも膜下出血の原因の治療

再出血を予防する治療を行った後、状態が落ち着いているのであれば、出血を起こした原因の治療を行います。

くも膜下出血の原因の約80%は脳動脈瘤の破裂です。

脳動脈瘤が原因の場合には、72時間以内に脳動脈瘤の治療が行われることが勧められています。治療の方法には手術とカテーテル治療の2つがあります。

それぞれの治療の詳しい内容は「くも膜下出血の治療」で説明しているので参考にしてください。

リハビリテーション

くも膜下出血後には一定数の人に後遺症が残ります。

後遺症を軽くして上手に付き合っていくために、リハビリテーションが重要になります。

リハビリテーションは後遺症に合わせて方法が選ばれます。リハビリテーションを続けていくことによって、機能が少しずつ回復して日常生活を上手に過ごせるようになります。

リハビリテーションについては「くも膜下出血の治療」で詳しく説明しているので参考にしてください。