2016.01.26 | ニュース

高齢者が転んで骨折、入院するならどんな病院?

スウェーデン8万9千人のデータから

from Journal of the American Medical Directors Association

高齢者が転んで骨折、入院するならどんな病院?の写真

股関節骨折は、高齢者が転んだときなどによく起こり、手術で治療しても寝たきりの原因になることが多いと言われています。結果をよくするには、専門の病院で治療を受けたほうがよいのでしょうか。スウェーデンのデータによる解析が行われました。

◆老年病病棟に入院したほうがいいか?

この研究は、スウェーデンの登録データを参照して、50歳以上の患者で初めて股関節骨折があった人の入院後と退院後の経過を調べました。

対象者89,301人のうち、主に老年病専門の病棟で治療が行われる病院に入院した人と、そのほかの病院に入院した人が比較されました。

 

◆死亡、再入院ともに差がある

次の結果が得られました。

入院から30日以内での死亡のリスクは、老年病病棟病院に入院した患者で7.1%、通常の病院で治療された患者で7.4%であり(多変量調整ハザード比0.91、95%信頼区間0.85-0.97)、退院後30日以内の再入院のオッズは8.7%対9.8%だった(多変量調整オッズ比0.86、95%信頼区間0.81-0.91)。

老年病病棟の病院に入院した人のほうが、入院後30日以内の死亡と、退院後30日以内の再入院がともに少ない結果となりました。

 

股関節骨折からの回復には、手術だけでなく、手術のあとのリハビリテーションなども重要と言われています。治療のどんな要素が結果に結び付いたのか、さらに詳しくわかれば、全体をよくすることにつながるかもしれません。今後の研究にも期待がかかります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Geriatric Rehabilitation and Discharge Location After Hip Fracture in Relation to the Risks of Death and Readmission.

J Am Med Dir Assoc. 2016 Jan 1.

[PMID: 26297621]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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