◆肥満を起こす遺伝子は、うつ病も起こすのか
この研究は、これまでに見つかっていた、肥満と関係する21種類の遺伝子の変異が、うつ病の診断とも関係しているかどうかを調べました。
解析のため、過去に行われた研究で検査を受けた17,404人の遺伝子のデータが使われました。
◆rs2984618は両方と関係する
次の結果が得られました。
BMIはうつの状態と正の関連があった(BMIの1単位あたりオッズ比1.02、95%信頼区間1.02-1.03、P=2.9×10^-12、年齢、性別、人種で調整後)。
これら21のSNPのうち、肥満リスクアレルであるTAL1のrs2984618が、うつ病のより高いリスクと関連した(P=1.79×10^-4、年齢、性別、BMI、人種で調整後)[...]。
肥満を起こすことで知られている変異の中で、ある1種類のものがある人には、うつ病も多くなっていました。
研究班は「我々のデータは、観察レベルにおける肥満とうつ病の関連は、少なくとも部分的には、共通の遺伝要因によって説明されるという観点を支持する」と結論しています。
肥満にもうつ病にもさまざまな原因がありますが、その中で遺伝子の働きが明らかになれば、予防のためにより適切な方法が選べるかもしれません。
執筆者
Obesity genes and risk of major depressive disorder in a multiethnic population: a cross-sectional study.
J Clin Psychiatry. 2015 Dec.
[PMID: 26717541]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。