◆視空間注意トレーニングの効果を検証
視野の左半分に空間無視の症状が現れている9人の脳卒中患者を対象としました。従来の治療に加えて視空間注意トレーニングを行ったグループと従来の治療のみを行うグループに分け4週間後の効果を測定しました。視空間注意トレーニングは、強制的に左側へ注意をむけさせることを目的に、両目の右視野半分を隠した状態で行われる視覚刺激でした。
効果の測定は、行動無視検査(behavioral inattention test:BIT)、運動機能評価(Fugl-Meyer Assessment of motor function:FMA)、協調性評価(non-equilibrium coordination test :NCT)などを用いました。
◆視空間注意トレーニングは有効
研究の結果、以下が示されました。
2グループ間で、視空間注意トレーニングを行ったグループは、統計学的に有意な改善を示した(BIT;P=0.003、d=3.103、power=1、95%信頼区間15.68から48.92、上肢FMA;P=0.006、d=2.771、power=1、95%信頼区間5.061から20.14、NCT;P=0.010、d=2.214、power=0.81-0.90、95%信頼区間3.018から15.88)。
この結果は、視空間注意トレーニングが、注意機能のみならず、運動機能や運動を制御する機能を改善したことを示しています。
今回の研究によって、半側空間無視に対する視覚刺激の訓練が、注意機能のみならず身体機能や運動をスムーズに行う機能を改善する可能性が示されました。半側空間無視の訓練として取り入れても良いかもしれません。
執筆者
Visual Spatial Attention Training Improve Spatial Attention and Motor Control for Unilateral Neglect Patients.
CNS Neurol Disord Drug Targets. 2015.
[PMID: 26556082]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。