◆記憶力トレーニングの効果とは
薬を使用しない認知症の治療法の一つに思い出し訓練という記憶力のトレーニング法があります。ほかに、誤り排除学習という学習法もあります。この研究は思い出し訓練と誤り排除学習を一緒に行うことでどのような効果が認知症患者に期待されるのかというテーマで行われました。
アルツハイマー病、または、脳血管性認知症を抱えた韓国人29人の患者が対象にされました。全員に、思い出し訓練と誤り排除学習は5週間の間、毎日30分行われました。実験期間の始まりと終わりに認知機能評価テストを行い、テスト結果に変化が表れるかが調べられました。
◆思い出し訓練は有効!
次の結果が得られました
思い出し訓練と誤り排除学習を受けた後、CERAD-Kテストの構造的行動の評価以外の全ての評価項目において脳血管性認知症の患者のスコアは統計的に有意に増加したが、アルツハイマー病の患者のスコアには統計的に有意な変化は見られなかった。
思い出し訓練と誤り排除学習を一緒に行う事で、脳血管性認知症患者には改善が見られましたが、アルツハイマー病患者には改善が見られませんでした。
この研究では認知症患者、全員が思い出し訓練を行ったため、効果を断定できるものではないのかもしれません。今後の研究で思い出し訓練を行った患者と行わなかった患者に分かれることで、さらに、思い出し訓練の効果を明確にしてほしいものです。
執筆者
Effects of spaced retrieval training with errorless learning in the rehabilitation of patients with dementia.
J Phys Ther Sci. 2015 Sep.
[PMID: 26504282]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。