◆神経の発達の異常を検査
対象はさまざまな経済状況の妊婦36,443人から生まれた子どもです。出生時、4か月、1歳、7歳の時に、医師が子どもに神経学的検査を行いました。
神経学的検査では、年齢に応じた発達をしているか、あやして笑うか、眼を合わせるか、異常な反射や運動はないかなどの症状を見ます。
◆貧困は7歳までの神経の発達の異常に関連
以下の結果が得られました。
貧困家庭の子どもは4カ月(オッズ比1.20、95 %信頼区間1.06-1.37)、1歳(オッズ比1.35、95%信頼区間1.17-1.56)、7歳(オッズ比1.67、95%信頼区間1.48-1.89)時に、それぞれ神経学的異常のリスクが上昇していた。
貧困家庭の子どもは7歳時に確実な神経学的症状(オッズ比1.39、95%信頼区間1.10-1.76)、微細な神経学的症状(オッズ比1.26、95%信頼区間1.09-1.45)、自律神経機能異常のリスクが上昇していた。
この結果は、貧困家庭の子どもは、そうでない家庭の子どもに比べて、神経の発達に異常が見られるリスクが少し高いことを示しています。
研究チームは「この結果は、全体的な神経発達のために幼少時の環境が重要であることを強調し、環境によって影響される神経発達の領域についての知識を広げる」と結論付けています。
ただ、貧困だとなぜ子どもの神経の発達に異常が出やすいのか、その理由はわかっていません。貧困だと、栄養や教育が不十分になりやすいからなのか、虐待が起こりやすいからなのかなどの可能性が考えられます。今後の研究で、理由が明らかにされることが待たれます。
執筆者
Socioeconomic disadvantage and neural development from infancy through early childhood.
Int J Epidemiol. 2015 Dec 16.
[PMID: 26675752]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。