2016.01.12 | ニュース

脳卒中後の免荷式トレッドミルによる歩行練習の効果とは?

脳卒中後の患者24人の歩行を分析

from BioMed research international

脳卒中後の免荷式トレッドミルによる歩行練習の効果とは?の写真

脳卒中の後、麻痺の影響で歩行が困難となる場合があります。今回の研究では、体重による足への負担を軽く(免荷)しながらトレッドミルの上で歩行練習を行なうことで、歩行能力が改善するかを検討しました。

◆脳卒中後に免荷式のトレッドミルを実施

免荷式トレッドミルは、スポーツクラブにあるようないわゆるランニングマシーンの上を、身体を吊り上げ体重を軽くしながら歩くリハビリテーションの手法の一つです。吊り上げているため、安全で、自力での歩行ができない時期に、積極的に歩行練習を行うことを一つの目的として使用されることがあります。

今回の研究では、脳卒中後の患者24人を対象に、通常の歩行練習を行う群と免荷式トレッドミルを使用する群の2群に分け、効果を検証しました。

研究期間は3週間とし、1日あたり30分、週5日のリハビリを行いました。バランス能力や足の運動機能などへの効果を検証しました。

 

◆免荷式トレッドミルは従来の歩行練習と同等

結果は以下の通りでした。

両群ともにバランス機能と下肢の運動機能評価は改善した(P<0.05)が、介入後の2群間における有意差は認められなかった。しかしながら、運動学的分析による指標では、免荷式歩行群において統計的に有意な改善を認めた一方、対照群では改善が認められなかった。

ベースラインと比較すると、免荷式歩行群における歩行の立脚期および遊脚期での股関節の最大伸展角度と屈曲角度に有意な改善(P<0.05)を認めた。

脳卒中後の歩行練習に、免荷式トレッドミルを用いることにより、従来の歩行練習と同等の効果が得られることが確認されました。また、免荷式トレッドミルでの訓練後に、歩行時の股関節の動きが改善したという結果でした。

また研究チームは、「免荷式トレッドミルを利用することで、従来の歩行訓練と比べて、脳卒中後の亜急性期の患者の歩行の質を改善できる」とも述べており、より安定した歩行の獲得に対する影響も示唆しました。

 

脳卒中後の後遺症の程度は患者さんごとに異なり、リハビリテーションの手法も様々な方法があります。全てのリハビリ施設や病院で、免荷式トレッドミルを導入しているわけではありませんが、少しでも安定した歩行の獲得へ向けて、今回の研究結果を参考にしてみても良いかもしれません。

執筆者

Toru Kokubo

参考文献

The Effect of Body Weight Support Treadmill Training on Gait Recovery, Proximal Lower Limb Motor Pattern, and Balance in Patients with Subacute Stroke.

Biomed Res Int. 2015 Nov 16.

[PMID: 26649295]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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