◆インターネットを使った遠隔リハビリは有効か
近年、情報通信技術の発展により遠隔医療が徐々に普及しつつあります。遠隔リハビリは、自宅でインターネットを使いながら専門家による訓練が受けられることを特徴とします。
今回の研究は、補聴器を普段から使用する聴覚障害者を対象に、インターネットを使った遠隔リハビリの効果を検証した、過去の2つの研究結果をまとめました。
遠隔リハビリ群は、インターネットを通して聴覚機能訓練士の指導に従い訓練を行いました。対照群は、従来の対面式で聴覚機能訓練士による聞き取りの訓練を行いました。
◆遠隔リハビリにより活動性の向上が得られる
以下の結果が得られました。
初回のランダム化比較試験の結果、両群ともに活動性とプログラム参加率に有意な増加が認められ、オンラインプログラム群においては対照群よりも増加量は多く認められた。6ヶ月後の追跡調査においては、増加している状態は維持されていたが、2つのグループ間の増加量に有意な相違はなかった。2回目のランダム化比較試験の結果、オンラインプログラム群において活動性と参加率の有意な増加を認めたが、対照群では改善はみられななかった。
聴覚障害に対する訓練として、オンラインプログラムによる遠隔治療は有効であり、活動性の向上につながるという結果となりました。
聴覚障害は、他の人とのコミュニケーションをとることが問題となる場合があります。対面せずにオンラインを通じた遠隔治療を受けることも、選択肢の一つとして考えても良いかもしれません。今後は、遠隔リハビリの内容について検証する研究報告を期待します。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。