◆1,020人の妊婦と子どもを対象に調査
認知機能などの発達や学習についてのアメリカの研究データを使い、研究チームは妊婦1,020人とその子どもを対象として研究を行いました。
ビタミンDの指標である25(OH)Dという物質の量を測定することで、母親の血中のビタミンDの量が子どもの認知機能や言語機能にどのような影響を与えるのか調査しました。
また、この研究では、以下の2種類の言語機能に着目しています。
- 受容性言語機能:相手が話す言葉を理解すること
- 表出性言語機能:相手が話す言葉を理解し、口に出して話すこと
◆ビタミンDで言語機能の発達が良くなった
調査の結果、以下のことが分かりました。
社会経済的状況、人種、タバコの有無、出生時の妊娠期間、2年目の診断時の年齢を調整すると、妊娠時の25(OH)Dは、受容性言語機能の発達と正の関連をしていたが(p<0.017)、認知機能や表出性言語には関連が見られなかった。
この研究から、妊娠時に母親のビタミンDが多かった子どもで受容性言語機能の発達が良いことが示された一方で、認知機能や表出性言語機能には関連が見られないことが示されました。
しかしこの研究では、ビタミンDを多く摂っていた妊婦が、子どもの言語機能の発達に影響を与えるような生活習慣を送っていた可能性が否定出来ません。ビタミンDには、健康に良い影響を与える可能性があるという報告がいくつかありますが、今回のような言語機能などへの効果も今後のテーマになりそうです。
執筆者
Gestational Vitamin 25(OH)D Status as a Risk Factor for Receptive Language Development: A 24-Month, Longitudinal, Observational Study.
Nutrients. 2015 Dec 2
[PMID: 26633480]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。