2015.12.28 | ニュース

胃腸に激しい炎症、クローン病にウステキヌマブ注射が効果あり

観察研究の結果より

from Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association

胃腸に激しい炎症、クローン病にウステキヌマブ注射が効果ありの写真

クローン病は、消化管に炎症が生じうる、原因不明の病気です。免疫の異常が関わっているとされ、異常な免疫の働きを抑える治療がありますが、よく使われる薬が効かない患者に対して、異なる仕組みで効くウステキヌマブ治療の効果が検証されました。

◆122人の患者を対象

良く使われる薬(TNF阻害薬)で治療されたにもかかわらず、十分に改善が得られなかったクローン病患者で、最低1回のウステキヌマブの注射を受けた122人が対象となりました。

研究班は、ウステキヌマブがこれらの患者にどの程度の効果があるかを調べるため、最低3カ月間追跡しました。治療には、炎症を抑える作用のあるステロイド薬や免疫抑制薬の併用が良く行われますが、免疫抑制薬もステロイド薬も必要とせず、手術もすることなく、症状や検査値の改善が見られた場合を効果ありと定義しました。

 

◆3分の1の患者に効果あり

ウステキヌマブの注射を受けて3カ月以内に、79人(65%)の患者に効果がありました。ウステキヌマブの注射を受けた後、6カ月間効果が持続した患者は93%、10カ月間持続した患者は68%でした。

すなわち、よく使われる薬が効かないクローン病患者のうち約3分の2が、ウステキヌマブ治療で効果を示し、その後最大12か月間ステロイド薬を使用せずに済みました。

 

よく使われる薬が効かなくても、代わりとなる薬を考慮することができるということは、望ましいことだと思われます。

執筆者

後藤由佳利

参考文献

Subcutaneous Ustekinumab Provides Clinical Benefit for Two-Thirds of Patients With Crohn's Disease Refractory to Anti-Tumor Necrosis Factor Agents.

Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Sep 30

 

[PMID: 26432476]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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