2016.01.01 | ニュース

もちがのどに詰まったらどうする?(後篇)〔新年企画〕

日本138人の治療例から

from Resuscitation

もちがのどに詰まったらどうする?(後篇)〔新年企画〕の写真

食べ物などによる窒息はしばしば深刻な事態につながります。詰まったものを吐き出させる方法はありますが、意識がなくなったときには違う対処が必要と言われています。日本の患者のデータから検討が行われました。

◆意識がなくなった人のデータを解析

研究班は、近くに人がいる状況で食事中の異物による気道閉塞が起こり、応答できないか意識がない状態に陥った患者138人のデータを解析して、救急隊が到着する前に行われていた応急処置とその後の経過の関係を調べました。

 

◆意識がないときは心臓マッサージ

次の結果が得られました。

居合わせた人による胸骨圧迫は、患者が応答しない、または意識がない状態になったあと(P<0.0001)、また心肺停止ではなかった場合において(P<0.0001)、より良い帰結と有意に関連した。[...]救急医療技術者の到着前に異物を取り除こうとする試みは帰結に影響しなかった。

意識がない人に胸骨圧迫(心臓マッサージ)が行われたとき、心肺停止ではなかったとしても、結果がよくなる傾向がありました。一方、意識がなくなった人に対しては、詰まった異物を取り除こうとしても、結果をよくすることにはつながらないという結果でした。

 

食べ物が詰まったときなどによく使われる「ハイムリッヒ法」は多くの場合で有効と言われていますが、意識がない人に対して行うべきではないとも言われています(関連記事もあわせてご覧ください)。万一のときは早く救急車を呼ぶのはもちろろん、応急処置も救命のための大切な要素になります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Relationships between pre-hospital characteristics and outcome in victims of foreign body airway obstruction during meals.

Resuscitation. 2015 Mar

[PMID: 25555359]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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