◆抗うつ薬と自閉症スペクトラム障害の関連性は?
今回の研究では、妊娠中に抗うつ薬を使うことと、子どもの自閉症スペクトラム障害の関連が検討されました。
自閉症スペクトラム障害の子ども1,054人を含む145,456人を対象に、妊娠中に母親が抗うつ薬を服用していたかどうかのデータが集められ、自閉症スペクトラム障害がある子どもとない子どもで、抗うつ薬服用の割合に違いがあるかが統計解析により検証されました。
◆抗うつ薬使用で危険性1.87倍
以下の結果が得られました。
潜在的交絡因子で調整すると、妊娠中期および/または後期での抗うつ薬の使用は、自閉症スペクトラム障害のリスクと関連していた(乳幼児31人が曝露、調整済みハザード比1.87、95%信頼区間1.15-3.04)。
妊娠14週以後に抗うつ薬を使用していると自閉症スペクトラムの危険性が上がるという結果でした。
妊娠中のうつ症状のため、服薬治療を選択する場合は、このような副作用を伴う可能性があるのかもしれません。
妊娠中のうつ症状はよく見られるつらい症状です。今回の研究結果からは、母親のうつ症状そのものが原因に関係しているのか、抗うつ薬が関係しているのかはわかりません。そのため、認知行動療法などの非薬物療法なら危険性を減らせるかを知るには別の研究を見る必要があります。
しかし、抗うつ薬にはここで見られた以外にも妊娠中の使用には注意が必要と言われているものがあり、服薬治療を選択する場合は副作用も含めて医師とよく相談することが大切です。
執筆者
Antidepressant Use During Pregnancy and the Risk of Autism Spectrum Disorder in Children.
JAMA Pediatr. 2015 Dec 14
[PMID: 26660917]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。