◆9人の失語症患者を分析
文字のフォントには様々な種類のものがあります。例えば、新聞や公式文書でよく用いられる明朝体は、縦の線が太く横の線が細いことや、はねやはらいの部分が筆で書いたような特徴をもちます。ゴシック体は、そのような特徴がなく、文字の線の太さが同じであるという特徴をもちます。同様に、アルファベットでは、明朝体のような特徴をもつフォントをセリフ体、ゴシック体のような特徴をもつフォントをサン-セリフ体と言います。
9人の失語症患者を対象に、様々なフォントや文字の大きさで記載された35段落の文を読んでもらいました。その後、読みやすかったものを4つの選択肢から選ばせました。
◆失語症者には読みやすいフォントがある
研究の結果、以下が示されました。
失語症者は、サン-セリフ体で書かれた情報を、セリフ体で書かれた情報よりも有意に理解した(p=0.01)[…]
この結果は、サン-セリフ体で示された文字がセリフ体で示された文字よりも、読みやすかったことを示しています。
また研究グループは、「この研究は、フォントスタイルと文字の大きさが文章の読解に影響するという仮説を支持する」とも述べています。
フォントなどを工夫することで、失語症患者が文字を読みやすくなるのであれば、取り入れてみても良いかもしれません。
執筆者
Do particular design features assist people with aphasia to comprehend text? An exploratory study.
Int J Lang Commun Disord. 2015 Nov 27.
[PMID: 26611362]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。