◆ワインか水かで2年間の効果を比較
この研究では、2型糖尿病があり、開始時点で断酒状態にあった224人が対象になりました。対象者は全員が地中海食という食事療法を受けるとともに、ランダムにグループに分けられ、夕食のときに150mlの赤ワインを飲む群、白ワインを飲む群、ミネラルウォーターを飲む群とされ、2年間の飲酒による違いを調べられました。
◆コレステロール、睡眠の質に改善
次の結果が得られました。
ミネラルウォーターの群(地中海食のみ)で見られた変化に加えて、赤ワインはHDLコレステロール値を有意に0.05mmol/l(2.0mg/dl)増加させた(95%信頼区間0.04-0.06mmol/l [1.6-2.2mg/dl]、P<0.001)[...]。
3群の間で、血圧、肥満、肝機能、薬物治療、症状、生活の質に実質的な差は見いだされず、例外として睡眠の質はミネラルウォーター群よりも両方のワイン群で改善した(P=0.040)。
ミネラルウォーターのグループに比べて、赤ワインのグループでHDLコレステロール(善玉コレステロール)の検査値に改善が見られました。また、赤ワインのグループと白ワインのグループで、睡眠の質が改善しました。肝臓の機能などの検査値に大きな違いは見られませんでした。
病気を減らすというはっきりした結果には至らないまでも、悪化が見られることもなく、食事療法中であっても1日150mlのワインならおおむね適量の範囲と言えるのかもしれません。ただし、人種など体質によって影響の強さが違う可能性もあり、また2年を超える長期間の影響については未知のままです。
こうした研究が実際に行われることで、健康にも配慮した飲み方がわかってくるかもしれません。
執筆者
Effects of Initiating Moderate Alcohol Intake on Cardiometabolic Risk in Adults With Type 2 Diabetes: A 2-Year Randomized, Controlled Trial.
Ann Intern Med. 2015 Oct 20
[PMID: 26458258]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。