2015.12.09 | ニュース

本当の善玉コレステロールはどれ?糖尿病発症を予測

406人を10年間追跡

from Diabetes care

本当の善玉コレステロールはどれ?糖尿病発症を予測の写真

HDLコレステロールは検査値が高いほうが健康的と言われていますが、その中にもさらに細かい種類があります。HDLコレステロールの種類ごとに、糖尿病の発症との関連が検討されました。

◆HDL2コレステロールとHDL3コレステロール

HDLコレステロールはHDL2コレステロールとHDL3コレステロールに分けられます。HDLコレステロールが多いとその後2型糖尿病の発症が少ないと言われていますが、この研究ではHDL2コレステロールとHDL3コレステロールを別に調べています。

研究班は、34歳から75歳で糖尿病のない日系アメリカ人406人を対象にHDLコレステロールを含む検査を行ったうえ、10年後まで追跡し、その間に糖尿病が発症しているかどうかを調べました。

 

◆HDL2コレステロールに関連あり

次の結果が得られました。

多変量解析において、総HDLコレステロール(1SDの増加に対してオッズ比0.72、95%信頼区間0.52-0.995、P=0.047)、HDL2コレステロール(1SDの増加に対してオッズ比0.64、95%信頼区間0.44-0.93、P=0.018)は2型糖尿病のリスクと負に関連し、年齢、性別、BMI、腰囲、糖尿病の家族歴、生活習慣の因子、収縮期血圧、脂質減少治療薬、中性脂肪値、HOMA-IR、2時間血糖値と独立だった。一方で、HDL3コレステロールは糖尿病のリスクと関連しなかった。

HDL2コレステロールが多いと2型糖尿病の発症が少ないという関係が見られましたが、HDL3コレステロールと糖尿病の発症には関連が見られませんでした。

 

HDL2コレステロールとHDL3コレステロールを区別する検査は、健康診断などでは普通は行われませんが、より細かく分けた項目についての情報が、精度の高い検査や、病態の研究の進歩に結びつくかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Differential Association Between HDL Subclasses and the Development of Type 2 Diabetes in a Prospective Study of Japanese Americans.

Diabetes Care. 2015 Nov

[PMID: 26384391]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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