◆HDL2コレステロールとHDL3コレステロール
HDLコレステロールはHDL2コレステロールとHDL3コレステロールに分けられます。HDLコレステロールが多いとその後2型糖尿病の発症が少ないと言われていますが、この研究ではHDL2コレステロールとHDL3コレステロールを別に調べています。
研究班は、34歳から75歳で糖尿病のない日系アメリカ人406人を対象にHDLコレステロールを含む検査を行ったうえ、10年後まで追跡し、その間に糖尿病が発症しているかどうかを調べました。
◆HDL2コレステロールに関連あり
次の結果が得られました。
多変量解析において、総HDLコレステロール(1SDの増加に対してオッズ比0.72、95%信頼区間0.52-0.995、P=0.047)、HDL2コレステロール(1SDの増加に対してオッズ比0.64、95%信頼区間0.44-0.93、P=0.018)は2型糖尿病のリスクと負に関連し、年齢、性別、BMI、腰囲、糖尿病の家族歴、生活習慣の因子、収縮期血圧、脂質減少治療薬、中性脂肪値、HOMA-IR、2時間血糖値と独立だった。一方で、HDL3コレステロールは糖尿病のリスクと関連しなかった。
HDL2コレステロールが多いと2型糖尿病の発症が少ないという関係が見られましたが、HDL3コレステロールと糖尿病の発症には関連が見られませんでした。
HDL2コレステロールとHDL3コレステロールを区別する検査は、健康診断などでは普通は行われませんが、より細かく分けた項目についての情報が、精度の高い検査や、病態の研究の進歩に結びつくかもしれません。
執筆者
Differential Association Between HDL Subclasses and the Development of Type 2 Diabetes in a Prospective Study of Japanese Americans.
Diabetes Care. 2015 Nov
[PMID: 26384391]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。